創作

2021年02月13日

昨日、昼休みに同僚さんとおしゃべりしていたら、いま書いている小説の話になりまして、難航しているとか何とか喋ったんですけど、頭の中では過去のあれやこれやが渦を巻いていました。

以前、こんな記事を書きました。
いつか本を書きたいという人の心性について

いつか本を書きたいと言っていた友人がいました。バイト仲間がいました。お互い嫌い合っていた同僚さんがいました。関係は違いこそすれ、みな「書きたい」と言いながら「何も書いていない」のでした。

書いたけどうまくいかないから読んでみてほしい。

というのならわかります。でも、「いつか書きたい」という憧れは憧れのまま終わります。

だって、本当に書きたいならもうすでに書いてるはずでしょ。子どもが絵を描きたいと思ったら「いつか絵を描きたい」なんて言わずに落書きを始めますよね。

確かにいい歳をした大人が落書きなんて描きたくない。ちゃんとした絵を描きたい。その気持ちはわかります。

でも、まず落書きから始めなければちゃんとした絵に到達することはできません。

落書きを見せるなんて恥ずかしい。などと言っている人にこそ言いたい。

何かを作る、何かを表現するということは、恥をかくということです。恥をかきたくないと言っている人は一生何かを作ることなどできません。


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星飛雄馬の記念すべき大リーグボール1号は「バットに当てる魔球」でした。

桁外れの剛速球、針の穴を通すコントロールをもちながら、ただ体が小さいという理由だけで軽い球しか投げられず、最初はスピードで強打者の度肝を抜いても、そのうち簡単にホームランを打たれるようになる。

そう盟友の伴宙太に告げられた飛雄馬は自暴自棄になりながら、次第に「打たせて取る魔球」の開発に挑みます。

それが大リーグボール1号。いくら打たれまいとしても飛雄馬のボールはプロの打者には簡単に打ててしまう。だから「打たれて結構。いやもう一歩進んで打ってもらおう」という逆転の発想なのでした。


ashamed

恥をかくのはいやだ? 落書きなんて見せられない?

そんなことを言っていてはだめ。

笑われて結構。いやもう一歩進んで自ら笑ってもらおう。

そういう意識が創作者には必要だと信じて疑いません。

おそらくそういう意識のことを「才能」というのです。


創作の極意と掟 (講談社文庫)
筒井康隆
講談社
2017-07-14





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2021年02月11日

今日見てきた『花束みたいな恋をした』』の脚本家・坂元裕二さんから教わったことを開陳しちゃいましょう。しかし『はな恋』、いい映画でした。さすが坂元さん、歳食ってもすごい! と唸りましたぜ。


sakamotoyuuji


超簡単! キャラクターのつくり方
まず「男のあるある」を順番に端から全員言わされました。憶えているものを挙げると、

「虚勢を張ることが男らしいことだと勘違いしている」
「プライドが高い」
「女に対して支配欲がある」
「ナルシストが多い」
「意外に傷つきやすい」
「彼女の過去の恋愛にこだわりすぎ」

次に「女のあるある」に移り、

「みんな福山雅治が好き」
「レディファーストされるのが当たり前だと思っている」
「女だってスケベなくせに下ネタを言う男が嫌いとかわけのわからないことを言う」
「男に勘違いさせるために生まれてきたのではないか」
「行列に並ぶのが好き」
「クーポンを使う男が嫌い」
「何でもカワイイを連発する」

などなど。

全員が一つ一つ言うわけですからこれだけでもかなりの時間がかかります。いったい何のために? と思っていたら、驚愕しました。

「ここに挙げられた男と女をすべて入れ替えてみましょう」と坂元さんはホワイトボードの「男」を「女」に、「女」を「男」に書き替えました。ついでに「好き」を「嫌い」、「嫌い」を「好き」にも適宜書き換えられました。するとどうでしょう!

男のキャラクター案
「福山雅治が好きな男」
「下ネタを言う女が嫌いな男」
「行列に並ぶのが好きな男」
「クーポンを使う女が好きな男」
「何でもカワイイを連発する男」

女のキャラクター案
「虚勢を張ることが女らしいと思っている女」
「レディファーストされるのを嫌がる女」
「下ネタを言う男が大好きな女」
「プライドが高く、男に対して支配欲のある女」
「ナルシストで意外に傷つきやすい女」
「クーポンを使う男が好きな女」
「彼氏の過去の恋愛にこだわる女」

簡単なようであまり思いつかない人物像が浮き上がってきました。男と女を入れ替えるだけで斬新なキャラクターが作れてしまうということに瞠目せざるをえませんでした。

これはあくまでも一例です。ご自分でいろいろやってみてください。

私はこれをヒントに、いまやっているキャラクター作りを進めました。上記の通りのやり方は実践してきましたが、今回新たに思いついたのは、「主人公と脇役のキャラクターを考える順番を逆にしてみる」というもの。

ずっと、まず主人公を作ってそれから脇役を作るという順番でやってきましたが、脇役を作ってから主人公を作ったら思いもしなかった人物が見えてくる気がしたので。うまく行くかどうかはわかりませんが、坂元さんから教わった「逆転の発想」は大事にしたいな、と。


坂元さんのヤングシナリオ大賞受賞秘話
これは余談ですが、坂元裕二さんがフジテレビのヤングシナリオ大賞を受賞して世に出た人だとは広く知られていますけど、受賞作品が当初は2時間もののシナリオだったことはたぶんほとんどの人が知らないと思います。あるコンクールに出したら一次で落選し、未練があったので内容はそのままで削りに削って半分の長さに縮めたら大賞をもらったとか。

これは示唆的ですね。

キャラクターが斬新だとか、根本的にお話が面白いとかの前提が必要ではありますが、逆にいうと、仮に斬新で意外性がある内容でも不要な描写がたくさんあると少しも評価されないということですね。

頑張まっていきまっしょい。


脚本家 坂元裕二 (-)
ギャンビット
2018-10-11




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