連続ドラマ

2021年08月14日

木村文乃が出てるからというただそれだけの不純な動機で見始めた『#家族募集します』。第3話を見終えての感想です。


いま必要とされているのは「おせっかい」
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もう1か月も間が空いたので、仲野太賀がなぜ「#家族募集します」というハッシュタグで家族を募ったのか、木村文乃の細かい設定(旦那とは離婚なのか死別なのかとか)とか忘れてしまった。重岡大毅はさすがに主役だから憶えてるし、岸井ゆきのはやはり濃いキャラなので憶えてますけど。

仲野太賀以外はみな子どもを一人連れた親一人子一人の家庭なので、お好み焼き屋の二階に一緒に住もうということになったんでしたよね、前回。

いざというときに頼れる人はいるかとの岸井ゆきのの問いに、重岡大毅は、母親は長野で親の介護をしているから無理だし、死んだ妻・山本美月の親は比較的近いがやはりそういう事情だから頼りにくい、という。岸井ゆきのも、元夫とはもう6年も会ってないから頼れない、という。

ところが木村文乃は「全部自分のことは自分でするつもりなんで」と第1話からの頑なな姿勢を崩さず、わが道を行くという感じ。

事情は人それぞれだけど、「いざというとき誰にも頼れない」という孤立した状態は同じ。それなら一緒に住んだほうがセーフティーネットになっていいじゃない? ということになる。木村文乃は反対するが。

何でもかんでも「自己責任」で片づけられ、挙げ句の果てには、未知のウイルスにかかっても自己責任でという始末のこの国ではもう「公助」は当てにできない。

それなら「共助」しかねーだろ! というのがこのドラマの主張でしょう。何かにつけて暑苦しい仲野太賀ですが、彼の「おせっかい」がなかったら、いまごろ3人のシングル親たちはどうなっていたかわからない。岸井ゆきの以外の二人はちゃんとした仕事があるといっても、支えてくれる人たちがいても大変なのだから、精神的破綻に追い込まれていてもおかしくない。

内田樹先生もよく言っているけれど、いまの日本に本当に必要なのは仲野太賀のような暑苦しいまでの「おせっかい」だと思います。

しかも、「生活保護を受ける人に税金を払っているわけではない」「ホームレスなんて排除すればいい」と発言して謝罪に追い込まれたメンタリストDaigoへの見事なアンチテーゼにもなってますよね。

生活保護を受けている人たちやホームレスのことを「自己責任」で片づけ、世の中の役に立たない人間は死んでもかまわないなんて、何という恥ずかしい言葉か。Daigoは謝罪の際、「勉強し直す」と言ってましたが、このドラマも見たほうがいいんじゃないでしょうか。(しかしいくら謝罪したところであの発言の代償は高すぎるほど高いと思いますがね)


「一緒に泣こう」
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第1話で息子に母親の死を伝えられていないと涙ながらに語った重岡大毅の芝居は素晴らしかったし、今回、ちゃんと向き合って真実を伝えられたのもよかった。

「淋しいときは一緒に泣こう」というセリフがいいですね。ひと昔前の作品なら「淋しくても男なんだから泣いてはいけない」というところでしょうが、「一緒に泣こう」というのはとてもいい。

民俗学者の柳田國男も「日本人は泣かなくなった」と嘆いていたといいます。泣かないほうがいい場面ももちろんあるでしょうが、親子二人でいるとき、仲間しかないときなら大いに泣けばいいと思う。泣くくらいつらいことを共有するのも「共助」のうち。

いや共有なんかせず自分だけで何とかしよう、という何でもかんでも自己責任論のいまの風潮を体現しているのが木村文乃の役なのですが、これがとても残念でした。


木村文乃の残念さ
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彼女はすべては自己責任だから他人に相談しないし、他人からの相談も受けない、というかなりドライな考えの持ち主。

でも、何だかんだと第1話からずっと仲野太賀が呼びかけると必ず来るし、今回もパンケーキ風お好み焼きの試食で呼ばれると、「実験台にしてほしくないんですけど」と文句を言いつつ来るのだから、やはり心のどこかで誰かに頼りたい、甘えたいという気持ちがある。だけど頼りたくない、頼ってはいけない、他人に迷惑をかけてはいけないというイデオロギーに毒されてしまっている。

だから、この『#家族募集します』で最も困ったキャラは岸井ゆきのではなく、木村文乃のはずなのに、第3話で重岡大毅の「一緒に泣こう」という言葉を聞くとコロッと変わって「みんなと一緒に住む」と言い出すのにはちょいとがっかりしました。

職場の同僚の「相談に乗りますよ」にも冷淡な言葉しか返さなかったのに(まぁ、あの男は下心が見え見えなのもありますがね)いとも簡単に共助グループに入ることになる。うーん。

もっとこう、仲野太賀が呼びかけても来ない。みんなで家に押しかける。よけい反発する。でも、みんなで頑張って彼女の心を解きほぐす。とか、「木村文乃を仲間に入れるエピソード」が1話だけでも必要だったんじゃないでしょうか。頑なな心があまりに簡単にほぐされすぎだと思いました。


重岡大毅の悲しみ
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再び主役の重岡大毅。

彼は会議の席で息子に母親の死をどうやって伝えるべきかを考えるあまりまったく話を聞いておらず、頓珍漢な発言をしてしまったとき、「すいません、ボーっとしてました!」と正直に謝っていました。「得なキャラしてますね」と後輩らしき女性から言われてましたが、おそらく彼は自分がそういうキャラだということを少しは計算して正直に言ったのでしょう。

しかしながら「正直でいい」と許される彼ですら、山本美月の死を子どもに伝えることができない。それぐらい彼女の死は彼にとって大きいものだということですね。

息子にちゃんと伝えたあと、家で妻の写真を抱きしめて号泣してました。息子には「一緒に泣こう」と言っていたのに、独りで泣く。息子が淋しくて泣いていたら一緒に泣くつもりでも、自分から泣くのを息子に見せられない。グッときましたね。

さて、来週から新しいシングル親が登場するようですが、これからどのように展開/転回していくのか、とても楽しみです。


『涕泣史談』を読む―柳田國男の「泣き」観―
阿部 秀雄
日本抱っこ法協会
2017-11-21





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2021年07月24日

梅雨が明けたら途端に猛暑といういつものパターンですが、いかがお過ごしでしょうか。

夏の新ドラマとアニメ、気がついたらついたら10本も見始めてました。

では早速見た順に感想をつらつらと。


探偵はもう、死んでいる
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略して『たんもし』。これは今季の目玉ですよね。主人公の前に突如現れた名探偵シエスタ。だが彼女はもう死んでいる。ただその心臓だけが、夏凪渚(いい名前)という女の子の胸の中で生きている。という設定が絶妙。主人公も頭がいいみたいだし、こういうのをもっと見たいですね。日本はアホが出てくるアニメが多すぎないか。


ぶらどらぶ
押井守の新作ということで見始めたけど、ぜんぜん面白くなかった。あの乳牛みたいな教師は何ですかね? 日本のアニメは超巨乳のキャラが必ず一人は出てくる。これをアニメ製作会社に勤める友人に訊いてみると、「そういうキャラを出したほうがキャラクターグッズが売れる」んだそう。やれやれ。1話でリタイア。


ハコヅメ ~たたかう!交番女子~
内容がどうとか脚本家が誰とかじゃなくて、ただ永野芽郁が見たい! という不純な動機で見始めましたが、やはり内容が面白くないと続きませんわ。
戸田恵梨香がなかなかいい面構えで先輩警察官を演じてくれるし、刑事課から左遷されてきた理由も気になるし、ムロツヨシも見たい。でも主役の永野芽郁があれではね。バカとドジをドラマから排除せよ! 1話でリタイア。


うらみちお兄さん
1話でリタイア。それも10分ももたず。絵が好きになれない。何か不必要にダーク。もっと正攻法で攻めるアニメが見たい。


小林さんちのメイドラゴンS
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これは先述の友人が前作にアシスタント・プロデューサーとしてクレジットされていたので見たらなかなか面白かったので絶対見ようと思い。今回の『S』はあの凶悪きわまりない放火事件から立ち直ろうとしている京アニの事件後最初の元請作品。
セカンドシーズンなので安定している。シリアスとコミカルのけじめのつけ方が良い。ただ、前作で「小林さんの入浴シーンが好き」とくだんの友人につぶやくと「ニッチな好みですなぁ」とあきれられた。今回はカンナに萌えている(画像右下)。このアニメにも乳牛みたいなキャラが出てくるんですよね。前作からだけど(画像右上)。


八月は夜のバッティングセンターで。
仲村トオルが好きというのもあるけど、何より、バッティングセンターだけで展開される物語というのに興味をもった。バッティングセンターをいわば「密室」に見立てた密室劇なんだろう、でもバッティングセンターだけで芝居をしようと思ったら、打ちながらかベンチに座って飲み物でも飲みながらの2種類ぐらいしかないが……どうやるのだろう? と期待と不安が入り混じってたんですが、何と主人公たちの妄想みたいなシーンで、普通の野球場で試合が行われるんですよね。ぜんぜんバッティングセンターだけで展開するお話じゃなかった。不安的中ということで1話でリタイア。


#家族募集します
kazokuboshushimasu

内容がどうとか脚本家が誰とかじゃなくて、ただ木村文乃が見たい! という不純な動機で見始めたんですが、これはいまのところなかなかいい。重岡大毅の泣きの芝居も素晴らしいけど、やはり重岡や木村文乃がいい味出せているのは、仲野太賀の受けの芝居がしっかりしているからではないか。キャッチャーがしっかりしていないとピッチャーは投げられないのだ。その仲野がコロナ感染ということで3話まで4週間も空くという。うーん。話数も減るんだろうし、脚本家さんは大変ですね。


男コピーライター育休をとる。
これ、タイトルがいいですよね。「男コピーライター」というのが。普通は「女刑事」とか「女教師」とか職業の前に女をつけたりしますが、ああいうのは差別的だからやめようというのはよくわかる流れ。それを逆手にとったタイトルでいいと思ったんですが、内容がいけません。もうほとんど憶えてないが、脚本というより演出かな。安っぽくテロップで説明したりするのやめてほしい。バカを出すのもやめてほしいが、視聴者をバカにするのはもっと恥ずべきこと。1話でリタイア。


Sonny boy
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何かの番宣で見て興味を抱いた。内容じゃなくて絵に。どこかで見たことのある画風だと思ったら、あの、いまだに『すすめ! パイレーツ』が印象深い江口寿史先生の絵なんですね。
何かの記事に「女性キャラの鼻の穴を描いて美しく見せる画風を確立」とかって書かれてたけど、確かにその通り。しかし見てる間、女性キャラの鼻の穴ばかり意識してしまって困るよ。
内容は異世界に来てしまった高校のあるクラスのサバイバル劇なのだけど、内容よりやはり絵に見入ってしまう。日本のアニメはどれも似たり寄ったりの絵というか、キャラクターデザインが同じようなのばかりだから、こういうのは大歓迎である。


漂着者
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秋元康はご多分に漏れず嫌いだが、斎藤工が見たい! というそれだけの理由で見始めたら、これがなかなか面白い。彼はいったい予言者なのか、殺人者なのか、何者なのか。斎藤工のムンムン匂ってくるような色気がたまらない。
白石麻衣というのはCM以外では動いてるところを初めて見たけど、やはり大人気のアイドルだっただけあって芝居を心得ていると思った。芸達者の生瀬勝久と互角に渡り合っている。
野間口徹は相変わらず善人役も悪人役もできるのでこいつも正体がわからない。これからどんどん面白くなる要素はたくさんあるが、期待に応えてくれるかどうかは五里霧中。


『漂着者』は始まったばかりでまだ海のものとも山のものともわからない。現在のところ一番質が高いのは『たんもし』じゃないかしら。実写では『#家族募集します』かな。って『漂着者』を除いたらそれしかないよ!

10本中生き残っているのは5本だけど、うち3本がアニメ。映画でも今年はアニメが大豊作らしいけど、テレビでもか? というかアニメを5本も見始めるとは思わなかった。







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