鈴木保奈美の『あの本、読みました?』で紹介されていた、谷川俊太郎さんの最後の詩集『今日は昨日のつづき どこからか言葉が』を読んだんですが、またしても谷川さんの言葉にやられました。
特に気になった2編について書きます。
①「意見は言わずに」
私は座っていますが
椅子は四本の脚で立っている
健気に何も考えずに立っているらしい
でも座る私は考える
考えてしまう
このままでいいのだろうか
老い先短い私は
このままあっちへ行くつもりですが
自分はさておき
いのちをもらったこの世が心配
心配の種は人間自身が蒔いたらしいが
そうかどうかも他人の意見の受け売りです
意見は言わずに
詩を書きたい私です
書き続けるうちに意味に頼らない言葉が
どこからか雪のように舞い降りてくる
あるいは雑草に混じって芽を出す
そんな平凡な奇跡を気長に私は待っています
含蓄に富んだ詩だと思いませんか?
この詩のポイントは、「意見を言わずに詩を書きたい」というところです。
私はこのブログでほぼ常に「意見」を言ってきました。映画の感想、テレビドラマの感想、本の感想、日々のニュースを見て思ったこと、etc.
でも、詩やシナリオ、小説よりも意見を言うほうが簡単なんです。だって思っていることをそのまま出せばいいだけだから。詩の本文にあるように、意見は「他人の意見の受け売り」かもしれないから。
谷川さんは年老いてもあえて高みを目指そうとした。私は若くして低きに流れてしまった。いくら偉そうなことを言っても、「意見」なんてものは便所の落書きの域を出ません。
「意見」言い募ろうとする者に、以下のような詩は書けないでしょう。
②「感謝」
目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きてるんだ
今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない
どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?
神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る
どうですか。この見事な言葉の連なり。結局私が谷川さんや長田弘さん、茨木のり子の詩に震えるのは、言葉の純度が高いからでしょう。純度が高いということは、言葉の意味がそぎ落とされている状態のこと。言葉そのものがむき出しになって触れるのも怖い、そんな状態の言葉の数々。「意味に頼らない言葉」とはそういうものでしょう。
しかしながら、この詩の最後の「感謝の念だけは残る」というのは、最期を迎えた谷川さんなりの言葉なのだろうけど、ちょっと「意味」にまみれてしまっている気がします。人間誰でも最期が近くなるとこうなってしまうのでしょうか。
あ、いや、これもまた「意見」でした。
すみません。
特に気になった2編について書きます。
①「意見は言わずに」
私は座っていますが
椅子は四本の脚で立っている
健気に何も考えずに立っているらしい
でも座る私は考える
考えてしまう
このままでいいのだろうか
老い先短い私は
このままあっちへ行くつもりですが
自分はさておき
いのちをもらったこの世が心配
心配の種は人間自身が蒔いたらしいが
そうかどうかも他人の意見の受け売りです
意見は言わずに
詩を書きたい私です
書き続けるうちに意味に頼らない言葉が
どこからか雪のように舞い降りてくる
あるいは雑草に混じって芽を出す
そんな平凡な奇跡を気長に私は待っています
含蓄に富んだ詩だと思いませんか?
この詩のポイントは、「意見を言わずに詩を書きたい」というところです。
私はこのブログでほぼ常に「意見」を言ってきました。映画の感想、テレビドラマの感想、本の感想、日々のニュースを見て思ったこと、etc.
でも、詩やシナリオ、小説よりも意見を言うほうが簡単なんです。だって思っていることをそのまま出せばいいだけだから。詩の本文にあるように、意見は「他人の意見の受け売り」かもしれないから。
谷川さんは年老いてもあえて高みを目指そうとした。私は若くして低きに流れてしまった。いくら偉そうなことを言っても、「意見」なんてものは便所の落書きの域を出ません。
「意見」言い募ろうとする者に、以下のような詩は書けないでしょう。
②「感謝」
目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きてるんだ
今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない
どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?
神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る
どうですか。この見事な言葉の連なり。結局私が谷川さんや長田弘さん、茨木のり子の詩に震えるのは、言葉の純度が高いからでしょう。純度が高いということは、言葉の意味がそぎ落とされている状態のこと。言葉そのものがむき出しになって触れるのも怖い、そんな状態の言葉の数々。「意味に頼らない言葉」とはそういうものでしょう。
しかしながら、この詩の最後の「感謝の念だけは残る」というのは、最期を迎えた谷川さんなりの言葉なのだろうけど、ちょっと「意味」にまみれてしまっている気がします。人間誰でも最期が近くなるとこうなってしまうのでしょうか。
あ、いや、これもまた「意見」でした。
すみません。


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