安倍晋三を銃殺した山上徹也をモデルに作られた映画『REVOLUTION+1』を見ました。私自身が主人公みたいな映画でした。


『REVOLUTION+1』(2022、日本)
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脚本:井上淳一&足立正生
監督:足立正生
出演:タモト清嵐、岩崎聡子、高橋雄祐、紫木風太、森山みつき、イザベル矢野


行き当たりばったり
この映画は早くして父を自殺で失い、その後、母親が統一教会に献金ばかりして困窮した家庭で育った山上徹也という男が、統一教会とズブズブの関係だった安倍晋三を射殺するまでの物語です。

が、私には安倍とか統一教会とかどうでもよかった。

問題は、家庭は行き詰まり、母親は言うことを聞かず、学校ではひどいいじめに遭い、というなかで、山上が「仕事を長く勤められなくなった」ことです。

工場とかそういうところで派遣社員として働くも、すぐ上司と衝突する。ある程度の金が貯まれば辞め、その金がなくなればまたどこかで働く。自己責任? くそくらえ!

とは言わないが、そんな感じの生活だったらしい。

私も仕事が長く続かないという意味では山上とまったく一緒である。彼は宗教二世として、私は躁うつ病として長く苦しんできた。親という桎梏に苦しめられたという意味でも同じかもしれない。

私は彼のように大胆な犯行に及ぶことはないと思うが(わからないけど)誰かを妄想狂的に恨みぬいたら単眼的になってやってしまうものなのかもしれない。

すぐに仕事をやめるといえば、私は「人生設計」という言葉が嫌いである。

この世に生まれてきたことが暴力以外の何物でもないと思っている人間として、無理やり生まれさせられて、何で「設計」なんかしなきゃいけないの? というのが正直なところなのである。

ある職場で社長さんが、「神林さんの前職を辞めた理由、とてもいいと思いましたよ」といっていた。「行き当たりばったりというのは好きじゃないんでね」だって。まさにその「行き当たりばったり」で辞めたんですけどね。向こうに文脈を読む力がなかったらしい。

人生って設計しなきゃいけないの? そりゃ入る金より多くの金を使ってたら破滅するしかないし、そんな馬鹿なことはいくら何でもしないが、行き当たりばったりに生きたらなぜダメなんだろう?

ある職場の誰かは、「25歳までにこれをして、28歳までにはこう、そして35歳までには……」と語っていたが、私は内心「あほらし」と思って聞いていた。


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山上のあの犯行は行き当たりばったりだったのだ。直前に安部の遊説先が岡山から山上が住む奈良に急遽変更されたこともあるだろうが、安倍が奈良へ来ると聞いた山上はおそらく「運命」を感じたのだろう。運命とは「設計」ではない。神は運命を設計できるかもしれないが、人間には無理。

それに、運命と感じたのは山上の主観であり、肥大化した自己憐憫からくる裏返しの自己愛だと思うから。

そして、私も自己愛にまみれた人間だ。


署名活動の是非
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論点がいきなりずれるけど、事件後、山上を減刑してほしいと署名活動が起こったが、あれは間違いだと思う。

私の好きな復讐映画は何といっても阪本順治監督の『トカレフ』なのだが、あの「あいつされ殺せればこの俺はどうなってもいい」というところが好きなんですよね。この命と引き換えにあいつを殺るんだ、と。

山上だって行き当たりばったりだったにしても、やはり「あいつさえ殺せればこの俺はどうなってもいい」と思っていたはずなので(思っていなければ復讐など考えてはいかん)本懐を遂げた以上、減刑など望まず、周りもそれを要求したりせず、粛々と刑に服すべきだと思うのであります。

足立正生監督、いい映画でした。


REVOLUTION+1
紫木風太


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