『災 劇場版』(2025、日本)
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原案:5月
脚本・監督:関友太郎&平瀬謙太朗
出演:香川照之、中村アン、竹原ピストル、宮近海斗、中島セナ、松田龍平、坂井真紀、安達祐実

(以下ネタバレあります。ご注意ください)


まったくもってわからない
先週末の新聞に「終始不穏な空気が漂い~~~」みたいな絶賛記事を読んでいてもたってもいられず見に行ったんですが、完全に失望しました。

もとのWOWOWの連ドラを見てないので比較検討などできませんが、おそらく、香川照之が毎回一人ずつ殺していく内容なのでしょう。

それを時系列をいじって同時多発的に「不穏な香川照之」が神出鬼没がごとく現れては犠牲者を見つけ、殺していく。

それはそれでいいのですが、肝心の動機とかぜんぜんわからないですよね?

竹原ピストルの刑事を殺すのはわかりすぎるほどわかります。自分を疑ってるみたいだから殺そうと。それからゴミの分別にうるさいおばちゃんを殺すのもわからんではない。しかし、松田龍平の奥さんを殺したり、数学を頑張る女子高生を殺すのはまったく理解不能です。

常人には理解できない動機で殺しているのでしょうか。しかしあのハンニバル・レクターだって、自分が嫌いな奴を殺して食べるというわかりやすい動機があったじゃないですか。この『災』にはそれが何もない。

「不穏な空気」というのだって、たとえば黒沢清監督の『CURE/キュア』と比べたら大人と子どもですよね。


中村アン
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中村アン刑事は、香川照之が被害者の髪を変なふうに必ず切るということに気づき、そのへんで捜査をして行くも香川照之には行きつかない。

というか、最後で二人は顔を合わせますよね。ガソリンスタンドの店員と客として。あの直前、中村アンは香川照之が以前勤めていた職場の履歴書を見ていた。ということは顔写真も見ていたということ。なのに気づかない? ありえない。

それにそもそも、髪を変なふうに短く切る、というのはどういう意図、または理由があるのでしょうか。刻印みたいなもの? わざわざ自分の刻印を被害者の体に刻む変質者ということ?

何から何までわからないことずくめ。謎を出しておいてそれを少しも解明しないというのは、私は「無責任」だと思います。

そりゃ謎が謎のまま終わる映画もたくさんありましょう。しかし、そういう映画は、謎が解明されないまさにそこのところに「テーマ」があるものです。謎は解明されないがテーマは追究できたというのが、この手の映画が傑作になるための条件でしょう。

この『災』はテーマが何かわからない。あの香川照之の気色悪い顔で一体何を言いたいのか。

それから、中村アンの頑張りが実を結ばないのなら、この映画に「刑事」は不要じゃないでしょうか。

と問題提起して筆を擱きます。



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