濱口竜介監督と三宅唱監督と映画評論家の三浦哲哉さんによる鼎談本『演出をさがして 映画の勉強会』をとても興味深く読みました。ただし、興味深く読んだというのはネガティブな意味で、です。
『演出をさがして 映画の勉強会』(濱口竜介、三宅唱&三浦哲哉、2025)
なぜ蓮實重彦が好きな映画作家ばかり?

俎上に載せられるのは濱口、三宅両氏のこれまでの代表作とされる『ドライブ・マイ・カー』『ケイコ 目を澄ませて』に加え、ロベール・ブレッソン、ビクトル・エリセ、トニー・スコット、ホウ・シャオシェンという彼らが師と仰ぐ蓮實重彦が好む映画作家ばかりなのがまず気になりました。
濱口、三宅の両氏だって蓮實のお気に入りですしね。もっとお気に入りだったのは青山真治監督だったのかもしれないけど。
他にも、
ジョン・フォード
クリント・イーストウッド
といった蓮實好みの映画作家が参照されたりします。
逆に、蓮實好みじゃない作家や作品名もあって、
『この世界の片隅に』
宮崎駿
『マトリックス』
『君の名は。』
がそれに当たりますが、ブレッソンやトニスコみたいに、大きく取り上げる映画作家に蓮實が高く評価しない人がいたっていいように思うんですが、彼らは完全に蓮實チルドレンらしい。青山さんは何かの本で(確か中原昌也との対談だったか)「俺は別に蓮實のおっさんが言うことがすべて正しいなんて思ってないけど」って言ってましたよね。
でも、この『演出をさがして』のお三方は、どうも蓮實からほめられたくて映画を語っているように思えました。
例えば蓮實が高評価していた『ゾディアック』のデビッド・フィンチャーが200回は見たという『明日に向って撃て!』のジョージ・ロイ・ヒルについて語るとか。またはフィンチャーが大好きだという『大統領の陰謀』のアラン・J・パクラについて語るとか。あるいは何の関係もないけど『候補者ビル・マッケイ』『がんばれ! ベアーズ』のマイケル・リッチーを俎上に載せても面白いかもしれません。
この「映画の勉強会」は定期的に開かれていて、本にする分量がたまったら出版する予定らしく、それならジョージ・ロイ・ヒルやアラン・J・パクラという名前がいつかは出るのかもしれないけど、いやいやいやいや、やっぱり増村とか深作とかリチャード・フライシャーとかホークスとかが俎上に載せられる可能性のほうがよっぽど高いんじゃないでしょうか。
黒沢清監督は「僕にはトニー・スコットがわからない」と言っていて、やはり書物ではなく生身の蓮實に完膚なきまでに叩き潰された人は「蓮實が絶対」とは思ってないらしい。いいことだ。
問題は蓮實を書物で知った人たちですよね。私もそうだけど。

何だかんだ言っても私も蓮實には影響されまくってるような気がしますが、でも、だからこそ逆に、蓮實を全否定してやろうと思ってこんなブログを日夜書いてるわけです。だから公の出版物に蓮實への愛が詰まったのを読むのは、何とも気色が悪い。
かつて蓮實は、「私は教師のはしくれとして、いかに教師を軽蔑するかということを学生たちに教えてきたつもりです」と言っていました。
だから私は蓮實を軽蔑したくてこんなブログをやってるんですけど、この本のお三方は蓮實に心酔しきっている。
確かに、濱口、三宅両氏の自作を語るところはすこぶる面白い。現場を知っている人でないと語れないことばかりでポジティブな意味で興味深く読みましたが、ブレッソンやトニスコとなると蓮實みたいなことばかり言っててつまらない。
昔、『映画叢書』という雑誌があって、阿部和重のことを「蓮實重彦は二人いらない」といって非難してましたが、私もこの『演出をさがして 映画の勉強会』にも同じことを言いたい。
蓮實重彦は二人いらない!
『演出をさがして 映画の勉強会』(濱口竜介、三宅唱&三浦哲哉、2025)
なぜ蓮實重彦が好きな映画作家ばかり?

俎上に載せられるのは濱口、三宅両氏のこれまでの代表作とされる『ドライブ・マイ・カー』『ケイコ 目を澄ませて』に加え、ロベール・ブレッソン、ビクトル・エリセ、トニー・スコット、ホウ・シャオシェンという彼らが師と仰ぐ蓮實重彦が好む映画作家ばかりなのがまず気になりました。
濱口、三宅の両氏だって蓮實のお気に入りですしね。もっとお気に入りだったのは青山真治監督だったのかもしれないけど。
他にも、
ジョン・フォード
クリント・イーストウッド
といった蓮實好みの映画作家が参照されたりします。
逆に、蓮實好みじゃない作家や作品名もあって、
『この世界の片隅に』
宮崎駿
『マトリックス』
『君の名は。』
がそれに当たりますが、ブレッソンやトニスコみたいに、大きく取り上げる映画作家に蓮實が高く評価しない人がいたっていいように思うんですが、彼らは完全に蓮實チルドレンらしい。青山さんは何かの本で(確か中原昌也との対談だったか)「俺は別に蓮實のおっさんが言うことがすべて正しいなんて思ってないけど」って言ってましたよね。
でも、この『演出をさがして』のお三方は、どうも蓮實からほめられたくて映画を語っているように思えました。
例えば蓮實が高評価していた『ゾディアック』のデビッド・フィンチャーが200回は見たという『明日に向って撃て!』のジョージ・ロイ・ヒルについて語るとか。またはフィンチャーが大好きだという『大統領の陰謀』のアラン・J・パクラについて語るとか。あるいは何の関係もないけど『候補者ビル・マッケイ』『がんばれ! ベアーズ』のマイケル・リッチーを俎上に載せても面白いかもしれません。
この「映画の勉強会」は定期的に開かれていて、本にする分量がたまったら出版する予定らしく、それならジョージ・ロイ・ヒルやアラン・J・パクラという名前がいつかは出るのかもしれないけど、いやいやいやいや、やっぱり増村とか深作とかリチャード・フライシャーとかホークスとかが俎上に載せられる可能性のほうがよっぽど高いんじゃないでしょうか。
黒沢清監督は「僕にはトニー・スコットがわからない」と言っていて、やはり書物ではなく生身の蓮實に完膚なきまでに叩き潰された人は「蓮實が絶対」とは思ってないらしい。いいことだ。
問題は蓮實を書物で知った人たちですよね。私もそうだけど。

何だかんだ言っても私も蓮實には影響されまくってるような気がしますが、でも、だからこそ逆に、蓮實を全否定してやろうと思ってこんなブログを日夜書いてるわけです。だから公の出版物に蓮實への愛が詰まったのを読むのは、何とも気色が悪い。
かつて蓮實は、「私は教師のはしくれとして、いかに教師を軽蔑するかということを学生たちに教えてきたつもりです」と言っていました。
だから私は蓮實を軽蔑したくてこんなブログをやってるんですけど、この本のお三方は蓮實に心酔しきっている。
確かに、濱口、三宅両氏の自作を語るところはすこぶる面白い。現場を知っている人でないと語れないことばかりでポジティブな意味で興味深く読みましたが、ブレッソンやトニスコとなると蓮實みたいなことばかり言っててつまらない。
昔、『映画叢書』という雑誌があって、阿部和重のことを「蓮實重彦は二人いらない」といって非難してましたが、私もこの『演出をさがして 映画の勉強会』にも同じことを言いたい。
蓮實重彦は二人いらない!


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