では後半戦です。


『できても、できなくても』
後輩・宇垣美里の主演作ということで見てみました。女優をやるのは初めてなのかな。

さて、不妊症が発覚した彼女に対し彼氏がやたら無神経な男で……というのはもう古くないでしょうか。

男がとことんいい人で、「君は何も悪くない。もしかしたら僕にも問題があるかもしれないわけだし」みたいなことを言うわかった男のほうが、主人公の女性は「自分のせいだ。私が全部悪いんだ」と、より罪悪感を抱くのではないだろうか。そこにこそ「新しい葛藤・対立」があるような気がする。

彼氏に捨てられ、会社も辞めた宇垣とたまたま出会った男が、あまりに下手すぎる役者でこれも萎えた。1話でリタイア。


『フェイクマミー』
「なりすまし」というのはいかにも映画的な題材なので見てみました。

うーん、主役の波瑠のほうから、川栄李奈の娘のフェイクマミーを買って出るというのはちょっと違うんじゃないでしょうか。転職がうまくいかないとか、川栄李奈の娘が大変な数学の才能の持ち主だから中学受験の面接で母親になりすましてあげたいという気持ちはわかります。

でも、もうちょっと何か、もう一押しないとリアリティがないように感じました。


『良いこと悪いこと』
同窓会でタイムカプセルを開けて盛り上がるという話の切り口はもう古いと思うものの、1話を見て、まずネットで解説記事を読みました。

すると、「考察ばやりの当節において、若者たちに積極的に考察をやってもらおうと画策したドラマ」みたいなことが書かれてあってげんなり。昨今の「考察」って考察じゃないですよね。あれは「推理」です。

私も一緒になって考察する? いや推理する? うーん、私はテレビドラマにそういうものを求めてないので。

じゃあ何で見たかって? そりゃま新木優子が出てるからですが、何か?


『ザ・ロイヤル・ファミリー』
主役の妻夫木がいつも泣きそうな顔でいるのがよくないと思う。滔々としゃべりだしたかと思えば、強烈なエディプスコンプレックスの持ち主だったとか、本筋に何か関係あるのだろうか。

佐藤浩市の馬主も、「馬は数字だけじゃ測れない」などと理想論を言い、簡単に税理士の妻夫木に馬を触らせる。あそこは「昨日今日会った人間に俺の馬は触らせねえ」ぐらいのことを言ってもいいのでは、と思った。

前半戦と合わせても、今季の実写ドラマは1話でリタイアばかり。もう今季はアニメで満足しようかと思ったら……真打ち登場です!


『ちょっとだけエスパー』
OG (1)

野木亜紀子さんの新作ということで見てみました。

主役の大泉洋はいい歳をして無職。ノナモーレという会社を受けてみたら社長の岡田将生に気に入られ、最終面接で、ひとつのカプセルを飲んでほしいといわれる。『マトリックス』のアレですな。大泉洋は恐る恐るそのカプセルを飲む。岡田将生は「はい、今日からあなたはエスパーです」という。

エスパーとは何か、何でエスパーなのか、エスパーになったとしてなぜ岡田将生はエスパーを募集しているのか、エスパーになった大泉洋に何をさせるのか。

といったとりあえずの疑問を置いておいて、得体のしれないカプセルを飲めとの天の声(コーリング)を大泉洋は確かに受け取った。召命を受けた。カプセルが何か。飲んだらどうなるか。そんな些末なことを脇に置いておいて、とりあえずその場で一番偉い人間の言うことに従った。成り行きに任せた。それが「ちょっとだけエスパー」への道を切り開いた。

成り行きに任せることの大切さが滲み出た冒頭シークエンスだったんじゃないでしょうか。

そして1話の肝は、会社名ノナモーレが、イタリア語で「ノン・アモーレ」=誰も愛してはならない、という意味であること。「正体を知られてはいけない」は2番目に大事なことで、「誰も愛してはならない」は最も大事なことだと。

そう聞いた大泉洋は、思わずかりそめの夫婦を演じる宮崎あおいを見る。ここですでに彼が彼女に恋心を抱いていることがわかる。言葉はいらない。「愛してはならない」と聞いた主人公がヒロインを見さえすればすべては了解される。もう一度言う。言葉はいらない。

うまいですね。真打ちとはこういうのを言うのです。

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