
脚本家の吉田恵里香さんの発言が炎上している。
私は渦中の『ぼっち・ざ・ろっく』というアニメを見ていないのだが、吉田さんの言葉が「上から目線」とか「的はずれ」とかじゃなく、きちんと的を射たものであることはよくわかる。
吉田恵里香さんは、「アニメ作品のありかたについて」こんなことを言ったらしい。
「キャラが性的に消費されることに強い抵抗がある。原作では、ひとりちゃんが水風呂に入るシーンで裸になっているんですが、アニメでは水着にしてもらいました。ぼざろ(『ぼっち・ざ・ろっく!』)が、そういう描写が売りの作品ならいいと思いますが、そうではないと思いますし、覇権を狙ううえでは、そうした描写はノイズになると思ったんです」
つまり、女性のヌードを売りにした作品(ポルノとか『氷の微笑』みたいな作品)ならいいが、そうじゃないのならノイズになる。つまり不要と。
『ドラえもん』のしずかちゃんの入浴シーンみたいなもんですかね。子どもの頃、しずかちゃんのアレは胸ときめいたもんですが、それは私が男だからであって、女の子の読者・視聴者はいやな気持ちがしていたのかもしれない。少なくとも吉田さんはそういう女性だということですよね。自分と同じ女性が性的に消費されることに我慢がならないという。
それはよくわかります。で、この発言の何がダメなの?
(⇐『ぼっち・ざ・ろっく』)ネット上では↓こんな言説↓がまかり通っているとか。
《思想強すぎだろ 他人の原作使わせて貰ってる時くらい自分を出すなよ》
《他人の作品を好き勝手弄って搾取してる側の人が、原作を何度もノイズ呼ばわりする神経には呆れるしか無い。物書きならもう少し言葉を選べよ》
「他人の原作を使わせてもらってる」
「他人の作品を好き勝手いじって搾取してる側の人間が」
何という事実誤認でしょう。脚本家は自分の意志で原作を使うのではなく、あくまでも製作会社のプロデューサーから発注を受けて原作を使うだけなんですけどね。
しかも、「脚本家は原作者を搾取」してるんですって。ならプロデューサーも監督も声優も搾取してることになるけど、この発言者の頭の中では「脚本家だけが」搾取する側らしい。事実誤認! もうちょっと勉強してから語れ!
それに、私はオリジナル脚本しか書いたことないけど、脚色って難しいと思いますよ。だって、原作ファンを納得させながら、なおかつ文章やマンガとは違うメディアとして屹立させなきゃならないし、自分の色も出さなきゃだし、もちろん面白く仕上げなきゃいけないし。がんじがらめの状態で書くように思います。想像ですが。
「原作を何度もノイズ呼ばわりする神経」
いやいや、原作をノイズと呼んでいるのではなく、原作のキャラを性的に消費するシーンをのみノイズと言ってるのがわからないのかな。もうちょっとリテラシーを身につけてから語ってほしい。
現場からは以上です。

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