公開時、結構話題になっていたような(?)映画『お隣さんはヒトラー?』を見ました。(以下ネタバレあり)


『お隣さんはヒトラー?』(2022、イスラエル・ポーランド)
脚本:レオン・プルドフスキー&ドミトリー・マリンスキー
監督:レオン・プルドフスキー
出演:デビッド・ヘイマン、ウド・キア、オリヴィア・シルハヴィ、キネレト・ペレド


ヒトラーに似てない?
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右側のウド・キアという役者がヒトラーじゃないかと主人公は疑うのですが、似てないですよね。

でも、最初はそれでいいと思ったんです。だって、主人公は陰謀論の虜になってしまっていて、ヒトラーじゃない人をヒトラーだと思い込んでいるだけだから。

何だかんだの末に、ウド・キアの正体が暴かれます。彼はヒトラーでありヒトラーではなかった。つまり、ヒトラーの影武者だったんですね。主人公もユダヤ人としてつらい目に遭ったけど、ウド・キアはウド・キアでつらい目に遭っていた。どちらも被害者。

これは予想もつかないいい「正体」だなと思ったんですが、となると、ウド・キアがヒトラーに似ていないということがネックになってきます。

主人公は陰謀論者だからいいとしても、イスラエルのナチ狩りをしている人たちが「(ウド・キアの)絵のタッチがヒトラーに似ている」といって主人公の家に押しかけてきますよね。絵のタッチ云々より、顔がまず似てないことをどう説明するのか。

ウド・キアでも誰でもいいけど、ヒトラーの影武者役の役者には特殊メイクを施してヒトラーそっくりに似せる必要があったのではないか。主人公だけが陰謀論の虜になっている可笑しみは消えてしまうけど、終盤の変なところは解消される。

でも、この映画、見れば見るほど低予算映画なので、特殊メイクを施すお金なんかなさそうですよね。難しい。

いずれにしても、ウド・キア=ヒトラーという図式は成り立っていない。これが成り立つのは陰謀論者の主人公においてだけ、というところは押さえておきたいです。


ヒトラーとの接触?
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中盤あたりで、ウド・キアが主人公に握手を求めますよね。

あそこで主人公がどういうリアクションを取るのかと思ったら、シーンが変わって、主人公が自分の家で手を念入りに洗っている。これには怒りました。

確かに、手を洗い終えた主人公は鏡を見ていやな顔をする。そりゃ何百万もの同胞を殺した男と握手したのだからいやでしょう。しかしながら、それなら、握手のシーンを直截的に描かないといけないんじゃないでしょうか。

そうすれば、より主人公のウド・キアへのいやな気持ちや怒りやいろんな何とも言えない感情がないまぜになって、主人公のヒトラーへの感情が迸る名シーンになっていたと思うだけに、直截描写しなかったのは痛恨の極みだと感じました。


ただ、やっぱり「ヒトラーの影武者」というウド・キアの正体は非凡なアイデアですよね。それだけに惜しい!


お隣さんはヒトラー?
ハイメ・コレア
2024-11-02


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