ウディ・アレンがモスクワ国際映画収監にリモート出席したことが明らかになり、ロシアに侵略を受けているウクライナ外務省が厳しい非難声明を発表しました。

「ウッディ・アレンのモスクワ国際映画週間への参加は恥辱であり、ロシアの戦争犯罪者によって殺害または負傷したウクライナの俳優や映画製作者たちの犠牲に対する侮辱である。プーチンの支持者や代弁者たちが集まる映画祭に参加することで、アレンは11年間にわたってロシアがウクライナで毎日犯している残虐行為に目を向けることを拒否している。文化は決して犯罪の粉飾や宣伝の道具として使われてはならない」


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これに対してウディは、

「プーチンは完全に間違っているが、芸術的対話を断つことは決して良い解決策ではない」

「ウクライナ紛争に関して言えば、ウラディミール・プーチンは完全に間違っていると強く信じている。彼が引き起こした戦争は恐ろしいものです。しかし、政治家たちが何をしようと、芸術的対話を断つことが助けになるとは思いません」

その通りですよ。ウクライナ戦争はプーチンはじめその取り巻き連中といった愚かな政治家どもが始めたことであって、映画などの芸術家が始めたわけじゃない。

それはスポーツの世界を見ても明らかですよね。

サッカーではいまだにロシアのクラブは欧州チャンピオンズリーグに出場する権利がないし、テニスなんかの個人競技でも、プレーはできるけど、例えば「マリア・シャラポワ(ロシア)」と普通なら表記されるところを、「マリア・シャラポワ」のみとなっている。「ロシア」という国名は削除。そんなことに何の意味があるの?

戦争や政権中枢に何の関係もない人たちを迫害している。それは今回のウディも同じでしょう。

そりゃ、数年前に(またも)性的虐待疑惑が持ち上がったウディは引退声明に等しい言葉を発表したこともあります。ロシアにすり寄れば資金提供を受けられるかもしれない、夢をもう一度、もう一度映画を撮りたい、ということなのかもしれません。

でも、仮にそういう下心があったとしても、「プーチンは完全に間違っているが、芸術的対話を断つことは決して良い解決策ではない」という言葉が絶対的に正しいことに違いはない。この映画祭参加を糸口にウクライナ戦争をよい方向へ……というのはファンタジーでしょうか。でも、少なくとも戦争を悪化させることはない。可能性は小さいけど戦火を収める可能性ならある。

トランプ関税、連邦職員の大量首切りなど、トランプ関連のアメリカ政治がこれ以上悪化したら、来年のワールドカップは「これは愚かな政治家にすり寄るスポーツ屋どもの大会だ。スポーツは決して犯罪の粉飾や宣伝の道具として使われてはならない」などと言ってボイコットされるのでしょうか? 否、そんなことは起こりません。

文化にしてもスポーツにしても、小さいけどそこを糸口に対話の場を広げていける「穴」が必ずあるでしょう。ウディはその小さな「穴」を見つけようとしているだけだと思う。

やはり、話題の主が数々のスキャンダルにまみれたウディ・アレンだからというのもあるんでしょうね。これがトム・クルーズであっても批判はあるとは思うけど、トーンはだいぶ違うような……?

ウクライナの人たちの気持ちもわからんではないんですけどね。元コメディアンのゼレンスキー大統領はこの出来事をどう思っているのだろうか。


唐突ながら ウディ・アレン自伝
ウディ・アレン
河出書房新社
2023-05-26


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