『ロッキー3』(1982、アメリカ)

脚本・監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、バージェス・メレディス、カール・ウェザース、ミスターT、ハルク・ホーガン
『英国王のスピーチ』(2010、イギリス・オーストラリア)

脚本:デビッド・サイドラー
監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン
大英帝国のロッキー・バルボア
え、『英国王のスピーチ』と『ロッキー』が同じ構造? それも『1』じゃなくて『3』? と思った人もいるかと思いますが、これはとても簡単なことなのです。
まずはこの記事を読んでみてください。⇒『ロッキー』(最後で負ける? あれは勝ったの!)
『ロッキー』の1作目、確かにロッキーはアポロに負けますが、試合の勝敗などほとんどどうでもいいことです。ロッキーは負け犬を返上すべく、自分自身と戦っているのですから。
「15ラウンドのゴングが鳴ったときまだ立っていられたら、俺は負け犬じゃないと証明できる」
タイトルマッチ前夜にロッキーがエイドリアンに言う言葉です。それを証明できたのだから、あれは「勝った」んですよ。
それは『2』でも『3』でも一緒です。アポロやミスターTに試合でも勝ちますが、ロッキーは自分自身にも勝っているわけです。
『ロッキー3』との類似点

英国王ジョージ6世は吃音があり、そのせいで内向的な人物に育ってしまい、自己肯定感の低い人間になってしまった。つまり神話で言えば、ダークサイドに堕ちたアンチヒーローですね。私も吃音の持ち主なので(軽いものですが)そのつらさはよくわかります。
そこで登場するのが、ジョージ6世の妻が見つけてきてくれたスピーチ・セラピストのジェフリー・ラッシュ。様々な奇抜な治療法を矢継ぎ早に出して、主人公が吃音を克服できるよう手を尽くします。
ここが『ロッキー3』との一番の類似点です。
別に『ロッキー』と同じ構造だといってもいいのですが、1作目のトレーナーはミッキーだけじゃないですか。彼はたいしたことしてないどころか、3作目に至って判明するのは、ロッキーが負けないように弱い相手とばかりタイトルマッチを組んでいたという事実です。
『英国王のスピーチ』でコリン・ファースをダークサイドから引き揚げるジェフリー・ラッシュに匹敵するトレーナーは、やはり、カール・ウェザース演じるアポロ・クリードでしょう。

ロッキーは、ミッキーのせいとはいえ、「自分は強い」という慢心をもってしまっている。彼もまたダークサイドに堕ちたアンチヒーローです。
そんなロッキーを再度ヒーローの位置まで引き上げてやるアポロの、「水泳をやって普段使ってない筋肉を使うんだ」という指導法は、ジェフリー・ラッシュの奇抜な矯正法と似ていませんか?

『英国王のスピーチ』のクライマックス。
ナチスとの戦いに国民を鼓舞すべく「キングズ・スピーチ」(原題)をせねばならないのですが、すぐ吃音が顔を出しそうになる。何とかそれを押しとどめてスピーチを最後まで成し遂げるジョージ6世は、ロッキーと同じく「自分自身との戦い」に勝利した、まぎれもないヒーローです。
だから、『英国王のスピーチ』を、「ミスターTのいない『ロッキー3』」と表現してもいいでしょう。
見直してみると、ミスターTのキャラクターは、ほとんど「ない」に等しい。ただ、猛者で野獣で勝気にあふれた一匹の獣というだけ。人間の血が通っているとは思えない。ロッキーはやはり目の前の誰かとではなく、『3』においても、目の前の誰かと戦っているふりをしながら、その実、自分自身と戦っているのです。
ジョージ6世のように。
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同じ構造をもつ物語①『波止場』と『王様のレストラン』
同じ構造をもつ物語②『ロッキー』と『ターミネーター』
同じ構造をもつ物語③『お熱いのがお好き』と『天使にラブソングを…』


脚本・監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、バージェス・メレディス、カール・ウェザース、ミスターT、ハルク・ホーガン
『英国王のスピーチ』(2010、イギリス・オーストラリア)

脚本:デビッド・サイドラー
監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン
大英帝国のロッキー・バルボア
え、『英国王のスピーチ』と『ロッキー』が同じ構造? それも『1』じゃなくて『3』? と思った人もいるかと思いますが、これはとても簡単なことなのです。
まずはこの記事を読んでみてください。⇒『ロッキー』(最後で負ける? あれは勝ったの!)
『ロッキー』の1作目、確かにロッキーはアポロに負けますが、試合の勝敗などほとんどどうでもいいことです。ロッキーは負け犬を返上すべく、自分自身と戦っているのですから。
「15ラウンドのゴングが鳴ったときまだ立っていられたら、俺は負け犬じゃないと証明できる」
タイトルマッチ前夜にロッキーがエイドリアンに言う言葉です。それを証明できたのだから、あれは「勝った」んですよ。
それは『2』でも『3』でも一緒です。アポロやミスターTに試合でも勝ちますが、ロッキーは自分自身にも勝っているわけです。
『ロッキー3』との類似点

英国王ジョージ6世は吃音があり、そのせいで内向的な人物に育ってしまい、自己肯定感の低い人間になってしまった。つまり神話で言えば、ダークサイドに堕ちたアンチヒーローですね。私も吃音の持ち主なので(軽いものですが)そのつらさはよくわかります。
そこで登場するのが、ジョージ6世の妻が見つけてきてくれたスピーチ・セラピストのジェフリー・ラッシュ。様々な奇抜な治療法を矢継ぎ早に出して、主人公が吃音を克服できるよう手を尽くします。
ここが『ロッキー3』との一番の類似点です。
別に『ロッキー』と同じ構造だといってもいいのですが、1作目のトレーナーはミッキーだけじゃないですか。彼はたいしたことしてないどころか、3作目に至って判明するのは、ロッキーが負けないように弱い相手とばかりタイトルマッチを組んでいたという事実です。
『英国王のスピーチ』でコリン・ファースをダークサイドから引き揚げるジェフリー・ラッシュに匹敵するトレーナーは、やはり、カール・ウェザース演じるアポロ・クリードでしょう。

ロッキーは、ミッキーのせいとはいえ、「自分は強い」という慢心をもってしまっている。彼もまたダークサイドに堕ちたアンチヒーローです。
そんなロッキーを再度ヒーローの位置まで引き上げてやるアポロの、「水泳をやって普段使ってない筋肉を使うんだ」という指導法は、ジェフリー・ラッシュの奇抜な矯正法と似ていませんか?

『英国王のスピーチ』のクライマックス。
ナチスとの戦いに国民を鼓舞すべく「キングズ・スピーチ」(原題)をせねばならないのですが、すぐ吃音が顔を出しそうになる。何とかそれを押しとどめてスピーチを最後まで成し遂げるジョージ6世は、ロッキーと同じく「自分自身との戦い」に勝利した、まぎれもないヒーローです。
だから、『英国王のスピーチ』を、「ミスターTのいない『ロッキー3』」と表現してもいいでしょう。
見直してみると、ミスターTのキャラクターは、ほとんど「ない」に等しい。ただ、猛者で野獣で勝気にあふれた一匹の獣というだけ。人間の血が通っているとは思えない。ロッキーはやはり目の前の誰かとではなく、『3』においても、目の前の誰かと戦っているふりをしながら、その実、自分自身と戦っているのです。
ジョージ6世のように。
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