NETFLIXオリジナルシリーズ『地面師たち』、ようやく見ました。去年は一度もNETFLIXに入らなかったのでね。(以下ネタバレあり)


『地面師たち』(NETFLIX、2024)
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原作:新庄耕
脚本・監督:大根仁
出演:綾野剛、豊川悦司、ピエール瀧、小池栄子、北村一輝、リリー・フランキー、池田エライザ、アントニー、染谷将太、山本耕史、清水伸、松尾諭、谷川昭一朗、松岡依都美、吉村界人、マキタスポーツ、赤堀雅秋


詐欺師を主人公にするなんてもう地上波では無理でしょうから配信ドラマならではの企画だと思ったんですがねぇ。配信だといろいろ好き勝手できるから、ってこともないんでしょうけど、でも私にはそう感じられました。好き勝手しすぎ、と。


ハリソン山中=豊川悦司の悪漢哲学
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いみじくもグループの首領ハリソン山中を演じる豊川悦司が綾野剛に言いますよね。

「『ダイ・ハード』という映画を憶えていますか? あの映画を傑作たらしめているのは悪役のアラン・リックマンであって、薄汚い正義の主人公ではありません。あの優雅さ、エレガントさ、最高です」

みたいなこと。

でもハリソン自身は少しもエレガントじゃないじゃないですか。

地面師グループに首を突っ込んできたマキタスポーツを手下どもに殺させたのをはじめとして、反旗を翻した北村一輝を生まれながらのサディストばりになぶり殺し、この仕事を最後にしたいと言っていたピエール瀧と小池栄子も手下どもに殺させる。そして最後は手塩にかけて地面師に育て上げた綾野剛もその毒牙にかけようとする。

私は「騙せるか!? それとも見破られるか!?」みたいな知恵比べを期待していたのに、最終的にはナイフに拳銃、手榴弾と武器がわんさか出てきて「殺るか!? 殺られるか!?」みたいなところに着地したのは非常に残念でした。

北村一輝も小池栄子もピエール瀧も、5人しかいない地面師メンバーの中核なのに、ものすごく小物感がありすぎますよね。役者としてはみんな大物なのに。完全な役不足です。


リリー・フランキー
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それからハリソン=豊川悦司がリリー・フランキー刑事を殺す場面。ボスがあんなところまで出向いて殺しますかね。たしかに、あそこは『ダイ・ハード』のアラン・リックマンの死に様とリンクする見事な場面といえますが、しかし、あんなどこに目撃者がいるかわからないような場所で殺しますかね? ちょっと、いや、だいぶ引いた。リリーさんがあんなに早く殺されるとは思ってなかっただけに、池田エライザ部下一人だけで大丈夫なのかと心配にはなったけど、でもやっぱりボスがあんなところに出向いてまで殺すのはリスクが大きすぎます。

それから、ホストの吉村界人を殺すのは反旗を翻した北村一輝ですが、何かもうみんな暴力まみれじゃないですかね? ピエール瀧なんかは人を殺したことはなさそうですが、すぐに血を見るやり方は好きじゃありません。詐欺師=知能犯なんだから。

前述した通り、私が見たかったのは「知恵比べ」であって、凄惨な殺しの場面ではありません。期待してたのと違った。いや、違いすぎました。


豊川悦司の言葉は?
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尼さんの地主になりすます女を調教していた手配師の小池栄子。女の動機は息子の心臓病のためすぐに現金がいるから。でもその息子が急死してしまい、女が来れなくなる。豊川悦司は小池栄子の髪の毛を引っこ抜かんばかりの勢いで「髪を剃っておまえが自分でやれ」と命じるのですが、ここも結局暴力でしょう? ハリソン=豊川悦司の悪漢哲学の理想は「『ダイ・ハード』のアラン・リックマン」のはずなのに、少しも優雅でもなければエレガントでもない。

豊川悦司の言葉って基本的に敬語じゃないですか。綾野剛にものを言うときだって。それがいざというときは乱暴な言葉遣いになるのは、やはり少しもエレガントじゃない。アラン・リックマンだって拳銃撃ったりしてましたが、それは一人だけ人質にならなかったブルース・ウィリスが拳銃やマシンガンをもっていたからで、シャブ中で何をするかわからない北村一輝はともかくとして、ひとつも武器をもってない綾野剛やピエール瀧、小池栄子たちに最終的に武器でもって解決しようというのは、ちょっと安易じゃないですかね。

おまえが尼さんの役をやれ、と小池栄子に言うときも、暴力で髪を抜こうとするんじゃなくて、もっと深くて大きな言葉でもって「説得」すればよかったんじゃないですかね。「恐怖」を盾に取った説得でOKなんですけど、直接的な暴力は見たくなかったな。

実際の積水ハウス地面師詐欺事件を知らないし、ハリソン山中のモデルになった人物もどういう人か知らないけど、そういう「実際」はどうでもよろしい。私はフィクションの話をしている。フィクションの悪役はやはり『ダイ・ハード』のアラン・リックマンみたいでないといけないと思うんですよね。そもそもハリソン自身が言ってることなんだから。

『ダイ・ハード』のアラン・リックマンより上の悪役といえば、私には『北北西に進路を取れ』のジェームズ・メイスンくらいしか浮かばないけど、あの映画のジェームズ・メイスンは自分から暴力なんか振るわないでしょ。ああいうの目指してほしかった。








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