小規模公開ながら興収が4億円を超えるスマッシュヒットとなっている香港映画『トワイライト・ウォリアーズ』を見てきました。が、私の口には合いませんでした。アクションの描写がちょっと、というのがこの記事の主旨です。


『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』(2024、香港)
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原作:ユー・イー
脚本:オー・キンイー、ソン・クワンシン、チェン・タイリ&ジャック・ライチュン
監督:ソイ・チェン
アクション監督:谷垣健治
出演:ルイス・クー、サモ・ハン、リッチー・レン、レイモンド・ラム


なぜバストショットばかり?
お話はよく理解できませんでした。最近、躁うつ病の具合が変で、躁を抑える薬を増やすとしんどくなるし、減らすとハイになる。いま減らしているのでハイで集中力がなく、人物の関係とか物語の背景とか物語そのものとかあまり(というかぜんぜん)理解できませんでした。

だから物語については何も言いません。そもそもこの手のアクション映画では物語なんて二の次ですから。

問題はそのアクションなんですよ。アクションそのものではなく、ひとつひとつのアクションをどう見せるか、つまり演出の問題。

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こういうバストショットで見せる箇所がとても多かったんですが、これでは誰が誰を殴ったのか、とか、どっちが優勢でどっちが劣勢とか、そういうのがすごくわかりづらい。観客に対してとても不親切な見せ方になってしまっていると思いました。

アクションといえば私はジャッキー・チェンの世代なので、彼の作品を参照すると、こういう場面があります。




『スパルタンX』でのジャッキーとベニー・ユキーデという本当に強い格闘家とのアクションです。

見ていただければわかるように、バストショットやクロースアップもありますが、それは人物の感情や心の中で思っていること、例えば「こいつなかなかやるな」とか、「このままじゃやられてしまう」といったことを観客に提示するために接写しているだけで、肝心要のアクションを見せるショットは、すべてフルショットですよね。『トワイライト・ウォリアーズ』ではウエストショットも散見されましたが、『スパルタンX』のこのシーンではウエストショットすらありません。フルショットで徹底しています。

何も考えないで撮っているようで、かなり考え抜かれているのがよくわかります。監督は奇しくも『トワイライト・ウォリアーズ』に出ていたサモ・ハンですが、どれぐらい引いて撮るか、引きすぎたら熱くなれないし、寄りすぎたよくわからないということになってしまう。ということでフルショットのサイズが採用されたのでしょう。

サモ・ハンは『トワイライト・ウォリアーズ』の現場で、「はたしてこんな撮り方でいいんだろうか?」とかなり疑問に思っていたと思うんですが、どうでしょうか。

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こういうショットもありました。これならよくわかるし、熱さも冷めない。もっとフルショットを!

期待値が高かっただけに、とても残念でした。




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