冬の新ドラマ・アニメの後半戦です。例によって見始めた順に感想をつらつらと書き記します。
『SAKAMOTO DAYS』

坂本さんは個人商店を営み、妻子にも恵まれ、すっかり太ってしまった中年男性だけど、その素顔は……本物の殺し屋……!
太ったいまでも鋭い動きを連発し、相手も殺し屋たちなのに次々に血祭りにあげていく。しかし主人公は坂本さんではない。彼の元部下であり、エスパーでもある朝倉シンという若者こそ主人公。その若者の目を通して坂本さんの異常な強さが表現されていくという手法。よくある手だけどこれは鉄板物の手法ですね。
さて、坂本さんがこれからは大ピンチになるだろうし(妻子を人質に取られたらどうするのか)やたらめったら面白そうなので継続視聴します。
『ババンババンバンバンパイア』

主人公は森蘭丸。冗談ではなくあの織田信長の近習だったあの森蘭丸である。有名な話だが、信長とは衆道(同性愛)の関係にあったとされる。(違うという説もあり。どっちでもええが)
そんな森蘭丸が、本能寺の変で主君・信長の血を吸いつくして死なせ、自らは500年後の現代まで生き延びているという設定。面白い。
そんな森蘭丸は現在、とある銭湯で10年以上働いており、いまは3代目が営んでいるが、いずれ家業を継ぐであろう、4代目の李仁(りひと)という15歳の高校に入学したばかりの少年の血が吸いたくてたまらない。が、童貞でなければならない。童貞でなければ極上の味がしない。
ということで、高校入学とともに同級生に恋してしまった李仁の恋路を邪魔するのが蘭丸のとりあえずの目標。なかなか面白い。絵があまり好きになれないし、BLも趣味じゃないが、これは継続視聴案件ですな。
が、2話を見てリタイアを決意。やっぱりBL要素が好きになれないし、何より絵が苦手で。
『ホットスポット』

バカリズム作品特有のガールズトークから一転、物語は「宇宙人もの」へと舵を切る。
いくらほんとに宇宙人でも、あんなに簡単に「俺、実は宇宙人でさ」なんて告白したりしない。というのが「世界の原理」。とはいっても、できるだけ早く宇宙人だと告白しないと話がいつまでたっても転がらない。というのが「映画の原理」。
バカリズム脚本のすごさは、あるあるテイストのガールズトークから、ないないテイストのメインプロットへの話の進め方の迅速さにあると思う。
イマジナリーラインを意図的に超える演出もなかなかよかった。あれは宇宙人タカハシの驚きを示す場面なので、ああいう文法を逸脱する見せ方でよかったと思います。
2話目も面白かったが、まだ何が核心なのかわからない。このまま普通にタカハシの怪力仕事と、彼に依存しながら半分馬鹿にする女子たちのガールズトークに終始するのか否か。夏帆が仲良し三人組じゃなくて主人公の同僚というところがミソのような気もしますが、どうでしょうか。
唯一ケチをつけるなら、2話のバレーボールを取るシーン。三人組のガールズトークとタカハシのバレーボール取りがカットバックされますが、タカハシのシーンが「バレーボールを取る必死のタカハシ」という「説明」にしかなっていないこと。「ドラマ」にならないなら省略すべきではなかったでしょうか。
『まどか26歳、研修医やってます!』
芳根京子が出てるから見てみたんですが、うーん、、、これは従来の医療ドラマやお仕事ドラマと何がどう違うというのでしょうか。焼き直しにすぎないじゃないですか。違うというなら、何がどう違うかを1話で提示しないとみんな逃げていきます。
鈴木伸之のキャラクターに何か謎がありそうですが、特に興味なし。
『御上先生』

文部科学省の官僚が高校に教師として派遣される(実は左遷)。東大生を多く輩出する大手の私立高。そこで自分はエリートだと勘違いしている生徒たちに「君たちはただの上級国民予備軍にすぎない」と斬って捨てる松坂桃李が魅力的。
生徒の中の頭目的存在の奥平大兼は、松坂のスキャンダルを暴いたつもりが、返り討ちに遭う。ここらへんはすごく面白かった。
ただ、冒頭の国家公務員総合職試験の会場で起こった刺傷事件が、1話で言及されるのはちょっと違うかなと思う。冒頭の事件がいつ松坂桃李に関係してくるかというサスペンスで引っ張ったほうがよかったように思うし、そこに本当の闇があるなら奥平大兼の取材力をもってしてもわからないはずなので、それを松坂自らばらすのはもったいないと思いました。
とはいえ、生徒一人ひとりを望遠レンズで撮るなど、画面に力があり、これは継続視聴案件でしょう。
『トーキョーカモフラージュアワー』

ヒコロヒー脚本ということで見てみました。毎日新聞の書評を読むかぎりでも、かなりの文才の持ち主みたいですしね。
とはいえ、これは原作があるのでした。バカリズムみたいにオリジナル脚本なのかと思っていたので、ちょっと肩透かし。
最初は、東京あるあるばかりをちらつかせる嫌味な内容だと思ったけど、画像の二人が出てきてから画面が締まりましたね。名前は知らないがあの女優さんは魅力的。
東京あるあるとオトコあるあると二人の恋路がどうなるか。脚本家はヒコロヒーだけじゃないらしいし、どのように分担されるのか。興味津々。とりあえず次は見ます。
『クジャクのダンス、誰が見た?』
広瀬すずが出てるので見てみました。あとリリー・フランキーとか松山ケンイチとか磯村勇人とか、役者陣が豪華ですよね。
放火殺人の被害者遺族が、容疑者の冤罪を晴らすべく弁護士に依頼する、というアイデアは秀逸。
ただ、そのためには、リリー・フランキーが生前したためていた手紙が必要で、広瀬すずはリリーを無条件に信じるほどのファザコンである必要がある。
そのうえさらに、広瀬すずには信頼できる親族がいないことも必要になってくる(でないと弁護士に会いに行くのを止められてしまう)。加えて、何の根拠もない、被害者とその娘がそう思い込んでいるだけの冤罪に立ち向かうお人よしの弁護士が必要になってくる。
以上、「必要」と書いたのは、ドラマを盛り上げるうえで必要なのではなく、作者の都合通り展開するために必要ということです。つまりはご都合主義。
それに、話の進め方が速すぎます。私は常日頃から話を急げ的なことを言ってますが(↑『ホットスポット』に関しても)この作品は速すぎると思う。できるだけ駆け足で行こうとするから一人ひとりの人物描写がおろそかになっていると思います。肝心要の主人公・広瀬すずがどういう人物なのかよくわからないし魅力もない。松山ケンイチにいたってはなぜ依頼を受けるのか、その動機がまったくわからない。ただ目の前の女性がそう言ってるから、というだけでは……ねえ……。
広瀬すずがリリー・フランキーの手紙の内容を盲信しているということは、おそらく手紙の文面のどこかに嘘があり、中盤あたりで広瀬すずがショックを受けるというシーンがあるのでしょう。それぐらいは見当がつきますが、誰が真犯人とかは現段階でわかるはずもありません。このままわからないままでいいので、1話でリタイアです。
前半戦と合わせて、生き残っているのは5本のみ。前クールに続く豊作には至りませんでした。『トーキョーカモフラージュアワー』も2話でリタイアする確率高そうですしね。見ないかもしれません。だって今日の毎日新聞書評欄でヒコロヒーが原作マンガを紹介してるんですけど、「オムニバス」って言ってるんですよ。てことは、あの魅力的な女優さんが出てこないってことでしょ。それはうーん。
関連記事
2025冬の新ドラマ・アニメあれやこれや前半戦(べらぼう、全修。のことなど)
『SAKAMOTO DAYS』

坂本さんは個人商店を営み、妻子にも恵まれ、すっかり太ってしまった中年男性だけど、その素顔は……本物の殺し屋……!
太ったいまでも鋭い動きを連発し、相手も殺し屋たちなのに次々に血祭りにあげていく。しかし主人公は坂本さんではない。彼の元部下であり、エスパーでもある朝倉シンという若者こそ主人公。その若者の目を通して坂本さんの異常な強さが表現されていくという手法。よくある手だけどこれは鉄板物の手法ですね。
さて、坂本さんがこれからは大ピンチになるだろうし(妻子を人質に取られたらどうするのか)やたらめったら面白そうなので継続視聴します。
『ババンババンバンバンパイア』

主人公は森蘭丸。冗談ではなくあの織田信長の近習だったあの森蘭丸である。有名な話だが、信長とは衆道(同性愛)の関係にあったとされる。(違うという説もあり。どっちでもええが)
そんな森蘭丸が、本能寺の変で主君・信長の血を吸いつくして死なせ、自らは500年後の現代まで生き延びているという設定。面白い。
そんな森蘭丸は現在、とある銭湯で10年以上働いており、いまは3代目が営んでいるが、いずれ家業を継ぐであろう、4代目の李仁(りひと)という15歳の高校に入学したばかりの少年の血が吸いたくてたまらない。が、童貞でなければならない。童貞でなければ極上の味がしない。
ということで、高校入学とともに同級生に恋してしまった李仁の恋路を邪魔するのが蘭丸のとりあえずの目標。なかなか面白い。絵があまり好きになれないし、BLも趣味じゃないが、これは継続視聴案件ですな。
が、2話を見てリタイアを決意。やっぱりBL要素が好きになれないし、何より絵が苦手で。
『ホットスポット』

バカリズム作品特有のガールズトークから一転、物語は「宇宙人もの」へと舵を切る。
いくらほんとに宇宙人でも、あんなに簡単に「俺、実は宇宙人でさ」なんて告白したりしない。というのが「世界の原理」。とはいっても、できるだけ早く宇宙人だと告白しないと話がいつまでたっても転がらない。というのが「映画の原理」。
バカリズム脚本のすごさは、あるあるテイストのガールズトークから、ないないテイストのメインプロットへの話の進め方の迅速さにあると思う。
イマジナリーラインを意図的に超える演出もなかなかよかった。あれは宇宙人タカハシの驚きを示す場面なので、ああいう文法を逸脱する見せ方でよかったと思います。
2話目も面白かったが、まだ何が核心なのかわからない。このまま普通にタカハシの怪力仕事と、彼に依存しながら半分馬鹿にする女子たちのガールズトークに終始するのか否か。夏帆が仲良し三人組じゃなくて主人公の同僚というところがミソのような気もしますが、どうでしょうか。
唯一ケチをつけるなら、2話のバレーボールを取るシーン。三人組のガールズトークとタカハシのバレーボール取りがカットバックされますが、タカハシのシーンが「バレーボールを取る必死のタカハシ」という「説明」にしかなっていないこと。「ドラマ」にならないなら省略すべきではなかったでしょうか。
『まどか26歳、研修医やってます!』
芳根京子が出てるから見てみたんですが、うーん、、、これは従来の医療ドラマやお仕事ドラマと何がどう違うというのでしょうか。焼き直しにすぎないじゃないですか。違うというなら、何がどう違うかを1話で提示しないとみんな逃げていきます。
鈴木伸之のキャラクターに何か謎がありそうですが、特に興味なし。
『御上先生』

文部科学省の官僚が高校に教師として派遣される(実は左遷)。東大生を多く輩出する大手の私立高。そこで自分はエリートだと勘違いしている生徒たちに「君たちはただの上級国民予備軍にすぎない」と斬って捨てる松坂桃李が魅力的。
生徒の中の頭目的存在の奥平大兼は、松坂のスキャンダルを暴いたつもりが、返り討ちに遭う。ここらへんはすごく面白かった。
ただ、冒頭の国家公務員総合職試験の会場で起こった刺傷事件が、1話で言及されるのはちょっと違うかなと思う。冒頭の事件がいつ松坂桃李に関係してくるかというサスペンスで引っ張ったほうがよかったように思うし、そこに本当の闇があるなら奥平大兼の取材力をもってしてもわからないはずなので、それを松坂自らばらすのはもったいないと思いました。
とはいえ、生徒一人ひとりを望遠レンズで撮るなど、画面に力があり、これは継続視聴案件でしょう。
『トーキョーカモフラージュアワー』

ヒコロヒー脚本ということで見てみました。毎日新聞の書評を読むかぎりでも、かなりの文才の持ち主みたいですしね。
とはいえ、これは原作があるのでした。バカリズムみたいにオリジナル脚本なのかと思っていたので、ちょっと肩透かし。
最初は、東京あるあるばかりをちらつかせる嫌味な内容だと思ったけど、画像の二人が出てきてから画面が締まりましたね。名前は知らないがあの女優さんは魅力的。
東京あるあるとオトコあるあると二人の恋路がどうなるか。脚本家はヒコロヒーだけじゃないらしいし、どのように分担されるのか。興味津々。とりあえず次は見ます。
『クジャクのダンス、誰が見た?』
広瀬すずが出てるので見てみました。あとリリー・フランキーとか松山ケンイチとか磯村勇人とか、役者陣が豪華ですよね。
放火殺人の被害者遺族が、容疑者の冤罪を晴らすべく弁護士に依頼する、というアイデアは秀逸。
ただ、そのためには、リリー・フランキーが生前したためていた手紙が必要で、広瀬すずはリリーを無条件に信じるほどのファザコンである必要がある。
そのうえさらに、広瀬すずには信頼できる親族がいないことも必要になってくる(でないと弁護士に会いに行くのを止められてしまう)。加えて、何の根拠もない、被害者とその娘がそう思い込んでいるだけの冤罪に立ち向かうお人よしの弁護士が必要になってくる。
以上、「必要」と書いたのは、ドラマを盛り上げるうえで必要なのではなく、作者の都合通り展開するために必要ということです。つまりはご都合主義。
それに、話の進め方が速すぎます。私は常日頃から話を急げ的なことを言ってますが(↑『ホットスポット』に関しても)この作品は速すぎると思う。できるだけ駆け足で行こうとするから一人ひとりの人物描写がおろそかになっていると思います。肝心要の主人公・広瀬すずがどういう人物なのかよくわからないし魅力もない。松山ケンイチにいたってはなぜ依頼を受けるのか、その動機がまったくわからない。ただ目の前の女性がそう言ってるから、というだけでは……ねえ……。
広瀬すずがリリー・フランキーの手紙の内容を盲信しているということは、おそらく手紙の文面のどこかに嘘があり、中盤あたりで広瀬すずがショックを受けるというシーンがあるのでしょう。それぐらいは見当がつきますが、誰が真犯人とかは現段階でわかるはずもありません。このままわからないままでいいので、1話でリタイアです。
前半戦と合わせて、生き残っているのは5本のみ。前クールに続く豊作には至りませんでした。『トーキョーカモフラージュアワー』も2話でリタイアする確率高そうですしね。見ないかもしれません。だって今日の毎日新聞書評欄でヒコロヒーが原作マンガを紹介してるんですけど、「オムニバス」って言ってるんですよ。てことは、あの魅力的な女優さんが出てこないってことでしょ。それはうーん。
関連記事
2025冬の新ドラマ・アニメあれやこれや前半戦(べらぼう、全修。のことなど)

コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。