どこで知ったのか自分でもわからない本が図書館に届いたとメールがあり、取りに行ったらこんな本でした。
面白そうだなとすぐさまページをめくりました。本当にこんな言葉が、こんな漢字があるの? と息せきこんでしまう内容でした。
以下に「とにかく驚いた日本語」「使ってみたい日本語」「ただただ美しい日本語」にジャンルを分けてご紹介しましょう。(それにしても外国語というか外来語がすごく多いですね。ま、それも日本語のうちでしょうけど)
とにかく驚いた日本語
「彳亍」(てきちょく)
これは「行」という字を横に広げているのではありません。「彳」と「亍」なのです。「彳」が左足、「亍」が右足の意味で、「彳亍」で「たたずむ」という意味だそうな。目からウロコ!!!
「ぐりはま」
手順や結果が食い違うこと。「はまぐり」をひっくり返した言葉で、冗談ではなく実在する言葉らしい。冗談といえば、「はまぐり」って「蛤」と書くじゃないですか。何とこの字を逆さにした字が「ぐりはま」と読むらしいんです。パソコンやスマホでは出ませんが。「ぐれる」という言葉は「ぐりはま」が語源とか。
「丿乀」(へつほつ)
「丿」は右から左へ曲がる様、「乀」は右から左へ曲がる様を表し、「丿乀」で、船が揺れ動くさまを表現しているとか。そのまんまじゃないかと著者は怒っているが、私は面白いと思う。漢字は象形文字だから「絵」なわけだし。
「魚魚」(ぎょぎょ)
こんな言葉があったとは。別に魚がたくさんいる様を表しているのではなく、「端正なさま」という意味らしい。「あの女優は魚魚な顔立ちをしていた」みたいな使い方をする。
「魚魚
魚魚」という感じもあるらしい。読み方は「きょう」で、意味はこれこそ「魚が盛んな様」とのこと。
「匹夫」(ひっぷ)
かつて中国では、一人の男と一人の女を意味する「匹夫匹婦」という言葉があったが、当時の中国は一夫多妻制だったので、一人しか妻を娶れない「卑しくつまらない男」という意味で「匹夫」が使われたとか。へぇ~~~!
「ぎなた読み」
文章の区切りを間違えて読むこと。
「弁慶がなぎなたをもって」は「弁慶が、なぎなたをもって」が正しい読みだけど、これを「弁慶がな、ぎなたをもって」と間違った読みをしたところから生まれた言葉とか。
「幽霊名字」
実在するのかどうか定かでない名字。
世の中には、「 雲
雲龍雲
龍龍 」という文字が存在するらしいです。八十四画。読みは「たいと」「おとど」。
こんな名字を名刺に刷った人が証券会社を訪れ、大量の株を注文した。本当にこんな名前があるのかと社内が騒然となった逸話から「幽霊名字」という言葉が生まれたそうな。八十四画の漢字が存在するのかどうかも怪しいが、このエピソード自体も実話かどうか怪しい。でも面白い。ありそうでなさそうな。なさそうでありそうな。
「孑孒」(ぼうふら)
何と、ぼうふらってこう書くとは! ちなみに世間では「孑孑」と書くことが多いが間違いとのこと。そもそも「孑孑」という字すら知りませんでしたがね。
「埒」(らち)
「埒が開かない」というときの「埒」。これは普通に使うぞという向きもありましょうが、「埒」が何を意味するか知ってますか? 京都賀茂の競馬(くらべうま)を見に来た人たちが、馬場の柵がようやく開くことを指して「埒が開いたぞ」なんて言ったところからきているそうな。知らなかった。
「綺羅星」
もともとは「綺羅星(きらぼし)」という星があるんじゃなくて、「綺羅、星のごとく」と切り方が違うのであった。これも「ぎなた読み」だろうか。「綺羅」とは「美しい衣裳」の意だとか。
「薩摩守」
車や船などにただで乗ること。
平安末期の武将で歌人でもあった平忠度(たいらのただのり)からきているという。単に名前が「ただのり」だから薩摩守が無賃乗車を意味するようになったとか。ふうん。
「なんじゃもんじゃ」
その地域でめったに見かけない珍しい大木のこと。へぇ~~~!
「赤猫」
放火のこと。知らんかった! 日本人なのに。
「和子」(わこ)
身分の高い人の男の子。
へぇ~~~! そういえば、神戸牛のレストランで働いていた時分、和子(わこ)という名の子が同僚だった。彼氏ができたのはいいのだけど、それをあまりに自慢気に吹聴しまくって同僚女子の反感を買って辞めざるをえなくなった。あの子はいまどこでどうしているのだろう?
「乱波」(らっぱ)
スパイや忍者のこと。これも驚き。甲州より西では「素波(すっぱ)」といったらしい。「すっぱ抜く」とは「素波が思わぬところから入ってくる」ことから来たとか。ふうん。
使ってみたい日本語
「猫の魚辞退」
本当はほしいのに遠慮したふりをすること。関西では「遠慮の塊」なんて言葉もありますな。
「人参で行水」
最高の治療をすること。
この人参は「高麗人参」のことらしいが、そんな貴重で高価なものを行水に使うほど金に糸目をつけず最高の治療をすること、という意味らしい。私も最初の主治医には人参で行水をさせてもらったなぁ。
「狷介」(けんかい・頑固で他人と妥協しないこと)
「懶惰」(らんだ・怠けて怠ること)
「惑溺」(わくでき・何かに夢中になって本心を見失うこと)
「鬱勃」(うつぼつ・意気盛んなさま)
「揺曳」(ようえい・揺れながらなびくこと)
こういう言葉たちって、明治末期から昭和初期の小説なんかを読んでるとたくさん出てくる。いつか使ってみたいなぁと思っていても、実際に書いているときにはなかなか浮かんでこない。とはいえ、味のある言葉たちだ。
「衍字」(えんじ)
間違って入り込んだよけいな文字。
これはいい言葉を教えてもらいました。誤字、脱字という言葉はあっても、「余った字」を意味する言葉なんてないと思ってたので。友人のシナリオを読んで「字が余ってたよ」みたいに言うの、とても不便だと思ってました。これからは「衍字があったよ」で事足りる。
ただただ美しい日本語
「秋の扇」
男に捨てられた女。
好きな男が、夏は団扇を使うけど秋になったら用なしとばかり捨てるように、自分も捨てられるのではないかと、一人の女が不安でしょうがない気持ちを歌った歌が古代中国にはあるそうな。典雅な言葉だ。
「雲路」(くもじ)
鳥や月などが通るとされる雲の中の道のこと。
風流である。ロマンチックである。
「水無し川」(みなしがわ)
水が流れていない川といえば? ……そう、天の川!!
「天泣」(てんきゅう)
天気雨のこと。
昔の人は、雨のことを天の涙と考えたんですね。ロマンチック~~~!
というわけで、『死ぬまで使わない日本語』、いかがだったでしょうか。本屋で見つけたら手にとってつかぁさい。
面白そうだなとすぐさまページをめくりました。本当にこんな言葉が、こんな漢字があるの? と息せきこんでしまう内容でした。
以下に「とにかく驚いた日本語」「使ってみたい日本語」「ただただ美しい日本語」にジャンルを分けてご紹介しましょう。(それにしても外国語というか外来語がすごく多いですね。ま、それも日本語のうちでしょうけど)
とにかく驚いた日本語
「彳亍」(てきちょく)
これは「行」という字を横に広げているのではありません。「彳」と「亍」なのです。「彳」が左足、「亍」が右足の意味で、「彳亍」で「たたずむ」という意味だそうな。目からウロコ!!!
「ぐりはま」
手順や結果が食い違うこと。「はまぐり」をひっくり返した言葉で、冗談ではなく実在する言葉らしい。冗談といえば、「はまぐり」って「蛤」と書くじゃないですか。何とこの字を逆さにした字が「ぐりはま」と読むらしいんです。パソコンやスマホでは出ませんが。「ぐれる」という言葉は「ぐりはま」が語源とか。
「丿乀」(へつほつ)
「丿」は右から左へ曲がる様、「乀」は右から左へ曲がる様を表し、「丿乀」で、船が揺れ動くさまを表現しているとか。そのまんまじゃないかと著者は怒っているが、私は面白いと思う。漢字は象形文字だから「絵」なわけだし。
「魚魚」(ぎょぎょ)
こんな言葉があったとは。別に魚がたくさんいる様を表しているのではなく、「端正なさま」という意味らしい。「あの女優は魚魚な顔立ちをしていた」みたいな使い方をする。
「魚魚
魚魚」という感じもあるらしい。読み方は「きょう」で、意味はこれこそ「魚が盛んな様」とのこと。
「匹夫」(ひっぷ)
かつて中国では、一人の男と一人の女を意味する「匹夫匹婦」という言葉があったが、当時の中国は一夫多妻制だったので、一人しか妻を娶れない「卑しくつまらない男」という意味で「匹夫」が使われたとか。へぇ~~~!
「ぎなた読み」
文章の区切りを間違えて読むこと。
「弁慶がなぎなたをもって」は「弁慶が、なぎなたをもって」が正しい読みだけど、これを「弁慶がな、ぎなたをもって」と間違った読みをしたところから生まれた言葉とか。
「幽霊名字」
実在するのかどうか定かでない名字。
世の中には、「 雲
雲龍雲
龍龍 」という文字が存在するらしいです。八十四画。読みは「たいと」「おとど」。
こんな名字を名刺に刷った人が証券会社を訪れ、大量の株を注文した。本当にこんな名前があるのかと社内が騒然となった逸話から「幽霊名字」という言葉が生まれたそうな。八十四画の漢字が存在するのかどうかも怪しいが、このエピソード自体も実話かどうか怪しい。でも面白い。ありそうでなさそうな。なさそうでありそうな。
「孑孒」(ぼうふら)
何と、ぼうふらってこう書くとは! ちなみに世間では「孑孑」と書くことが多いが間違いとのこと。そもそも「孑孑」という字すら知りませんでしたがね。
「埒」(らち)
「埒が開かない」というときの「埒」。これは普通に使うぞという向きもありましょうが、「埒」が何を意味するか知ってますか? 京都賀茂の競馬(くらべうま)を見に来た人たちが、馬場の柵がようやく開くことを指して「埒が開いたぞ」なんて言ったところからきているそうな。知らなかった。
「綺羅星」
もともとは「綺羅星(きらぼし)」という星があるんじゃなくて、「綺羅、星のごとく」と切り方が違うのであった。これも「ぎなた読み」だろうか。「綺羅」とは「美しい衣裳」の意だとか。
「薩摩守」
車や船などにただで乗ること。
平安末期の武将で歌人でもあった平忠度(たいらのただのり)からきているという。単に名前が「ただのり」だから薩摩守が無賃乗車を意味するようになったとか。ふうん。
「なんじゃもんじゃ」
その地域でめったに見かけない珍しい大木のこと。へぇ~~~!
「赤猫」
放火のこと。知らんかった! 日本人なのに。
「和子」(わこ)
身分の高い人の男の子。
へぇ~~~! そういえば、神戸牛のレストランで働いていた時分、和子(わこ)という名の子が同僚だった。彼氏ができたのはいいのだけど、それをあまりに自慢気に吹聴しまくって同僚女子の反感を買って辞めざるをえなくなった。あの子はいまどこでどうしているのだろう?
「乱波」(らっぱ)
スパイや忍者のこと。これも驚き。甲州より西では「素波(すっぱ)」といったらしい。「すっぱ抜く」とは「素波が思わぬところから入ってくる」ことから来たとか。ふうん。
使ってみたい日本語
「猫の魚辞退」
本当はほしいのに遠慮したふりをすること。関西では「遠慮の塊」なんて言葉もありますな。
「人参で行水」
最高の治療をすること。
この人参は「高麗人参」のことらしいが、そんな貴重で高価なものを行水に使うほど金に糸目をつけず最高の治療をすること、という意味らしい。私も最初の主治医には人参で行水をさせてもらったなぁ。
「狷介」(けんかい・頑固で他人と妥協しないこと)
「懶惰」(らんだ・怠けて怠ること)
「惑溺」(わくでき・何かに夢中になって本心を見失うこと)
「鬱勃」(うつぼつ・意気盛んなさま)
「揺曳」(ようえい・揺れながらなびくこと)
こういう言葉たちって、明治末期から昭和初期の小説なんかを読んでるとたくさん出てくる。いつか使ってみたいなぁと思っていても、実際に書いているときにはなかなか浮かんでこない。とはいえ、味のある言葉たちだ。
「衍字」(えんじ)
間違って入り込んだよけいな文字。
これはいい言葉を教えてもらいました。誤字、脱字という言葉はあっても、「余った字」を意味する言葉なんてないと思ってたので。友人のシナリオを読んで「字が余ってたよ」みたいに言うの、とても不便だと思ってました。これからは「衍字があったよ」で事足りる。
ただただ美しい日本語
「秋の扇」
男に捨てられた女。
好きな男が、夏は団扇を使うけど秋になったら用なしとばかり捨てるように、自分も捨てられるのではないかと、一人の女が不安でしょうがない気持ちを歌った歌が古代中国にはあるそうな。典雅な言葉だ。
「雲路」(くもじ)
鳥や月などが通るとされる雲の中の道のこと。
風流である。ロマンチックである。
「水無し川」(みなしがわ)
水が流れていない川といえば? ……そう、天の川!!
「天泣」(てんきゅう)
天気雨のこと。
昔の人は、雨のことを天の涙と考えたんですね。ロマンチック~~~!
というわけで、『死ぬまで使わない日本語』、いかがだったでしょうか。本屋で見つけたら手にとってつかぁさい。
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