「男優」とか「女優」って言わなくなりましたよね。男も女も「俳優」という。

yuukimoe1

それはつまり、LGBTQの人、特に男性でもあり女性でもあるT=トランスジェンダーやQ=性自認や性的嗜好が定まっていない人で俳優をやっている人に「男優」「女優」と、性がまるで二つしかないかのように押しつけたくないという「政治的正しさ」というやつですね。

それに加えて、男は「俳優」で、女は「女優」だとそれって性差別じゃない? というこれまた政治的正しさというやつが顔を出す。

確かに、男は「俳優」で女だけ「女優」はいけません。私もここで何かを書くときは「男優」「女優」と区別するか、両方とも「役者」と表記するか、どちらかにしています。


D2-q0q6UgAAZN52

さて、そんな書き分けに苦心する日々ですが(というほどのことではないが)、ちょっと違和感を感じることがあるんです。

それが、「女性俳優」という呼び方。

女優も男優も「俳優」というのであれば、「女性俳優」はおかしくないですか?

ちょっと前から、ヴェネツィア映画祭や、アメリカの映画批評家協会賞で、「主演男優賞」「主演女優賞」をやめて「主演俳優賞」にする団体が増えてきています。私などは別に何でもかんでもPC=政治的正しさを求めるのはおかしいというかいやなので、「主演女優賞」でいいんじゃない? と思うのですが、正しさに縛られたいまの現代人は日本でも海外でも多いみたいで、「主演俳優賞」が増えてるんですね。

だから、主演者のうち男女ひっくるめて一人しか受賞できない。まぁ最悪それならそれでもいいのですが、年の瀬に「2024年にブレイクした女性俳優トップテン」なんつー催しを見たときの違和感といったら!

男女を区別するのがおかしいということで両者ひっくるめて「俳優」って言ってるなら、「女性俳優」という呼称はおかしいです。

男と女にどうしても分けたいなら最初から「2024年にブレイクした女優トップテン」にすべきです。

「俳優」という呼称を用いていても、「女性」をつけてしまったら、それは「女優」と言っているのと同じですよね。


hujiimina4 (1)

ああいうのは、「これを書いてる俺/私って性差別反対の看板を掲げてるんですよ」と宣伝してるだけ。看板は確かに合ってるけど、心の中は差別心でいっぱいですよね。看板に偽りありならぬ、心に偽りあり。ダメじゃん!

もうかなり前に、ツイッターで「#海外俳優四天王」というハッシュタグがありました。偏愛する海外俳優を四人あげるんですけど、みんな男優だけ四人、女優だけ四人と、男女に分けるんですよね。あくまでも「海外俳優四天王」であって、「男優」でも「女優」でもないのに。

私はあのとき、人間というのは、無意識に男と女を区別する生き物なんだな、と痛感させられました。

区別はよい。問題は差別だ。

その通りでしょう。ですが、区別を放っておくと差別に直結してしまうのです。

気をつけたいものです。


関連記事
毎日映画コンクールの偽善について

Mina Fujii 07-08: 藤井美菜写真集
西條彰仁
学研プラス
2009-02-01



このエントリーをはてなブックマークに追加