テレビドラマ・テレビアニメは、書籍と同じく、「今年見たもの」が対象です。とはいえ、本や映画と違って、ドラマやアニメはそんなに古いものを見るわけではないので、今年のものが中心となります。といっても、今年は新作が半分だけでした。(こういうのは珍しい)

では行きましょう。大嫌いな脚本家の作品がベストワンです。(お尻に年号を書いてないのは今年の作品)


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①ゴンゾウ 伝説の刑事(脚本:古沢良太、2008)
②ダンダダン(シリーズ構成・脚本:瀬古浩司)
③正直不動産(脚本:根本ノンジ、2022)
④クラスメイトの女子、全員好きでした(脚本:森ハヤシほか)
⑤団地のふたり(脚本:吉田紀子)
⑥新宿野戦病院(脚本:宮藤官九郎)
⑦舟を編む ~私、辞書つくります~(脚本:蛭田直美&塩塚夢)  
⑧まんぞくまんぞく(脚本:吉澤智子、2022、単発)
⑨魔夏少女(脚本:伴一彦、1987、単発)
⑩東京貧困女子。‐貧困なんて他人事だと思ってた‐(脚本:高羽彩、2023)


古沢良太といえば、テレ朝シナリオ大賞を受賞してデビューした才人ですが、その受賞作『アシ!』は面白く読ませてもらったものの、プロになってからの作品がどうしても楽しくなく、私にとって古沢良太という名前は三谷幸喜と同じくらい「有名だけどつまらない人」ってな感じになってました。

だから、1位に挙げた『ゴンゾウ』も、リアルタイムでは見る気がしなくて見てなかったんですが、その年の向田邦子賞を受賞していたのでいつかは見たい作品になってました。でも、「見たら見たでつまらないんだろうな」という不安がぬぐえぬまま15年以上の歳月が経過しました。

今年の中頃、TVerで全話無料配信されていると知り、テレビにかじりついて見ました。嚙りつかずにはおれぬほど面白かったのです。全話満点。あれはすごい。現代の神話になっているし、貴種流離譚としても、刑事サスペンスとしても、人情ものとしても秀逸。古沢良太おそるべし。しかし、三谷幸喜も『王様のレストラン』は例外的に大傑作だと思っているので、古沢良太が「二つ目の傑作」を見せてくれるかどうかが次の鍵ですかな。楽しみに待っています。


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アニメは何といっても『ダンダダン』でした。

オカルトとアクションとラブコメの融合という、いままであったようでなかった、まったく新しい物語が展開します。主人公の名前が何と「高倉健」で、二人の男女が惹かれあうきっかけがこの名前なんですが、『ダンダダン』を見た海外のファンが「ケン・タカクラって誰?」と世界中で高倉健が検索されたというから笑う。

第2期の製作がもう決まり、来年の7月期に放送だそうな。半年も待てない。こういうときにほしいのがドラえもんの時間貯金箱!


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『正直不動産』は、現在『2』が再放送中だけれど、『1』も『2』もリアルタイムでは見逃したというのが痛恨事といっていいくらい面白い。嘘がつけなくなると風が吹くという演出が最初は安っぽく感じられたけど、勧善懲悪の物語とビルドゥングス・ロマンと不動産の豆知識がいい塩梅で融合されてて、安っぽいとかそういうことはどうでもよくなり、どういうふうに正直さでもって事態を解決に導くのか、山Pのセリフについ聴き入ってしまう。それぐらい内容がとても面白い。山Pといえば、あの名作『野ブタをプロデュース。』から来年でちょうど20年。成長したなぁ。

クドカンでは世間的に評価の高い『ふてほど』より『新宿野戦病院』を推します。最終盤のコロナ以後の新たな疫病に侵された社会を描くという発想と力技が素晴らしかった。小池栄子の英語が変とかいう感想が散見されたけど、何でみんな「リアリティ」というものをそんなに珍重しているのだろう? フィクションなんだからあれぐらいバカバカしくてよろしい。英語のネイティブ・スピーカーなのだからもっと流暢にしゃべれ、とかいう人は、現実と虚構の区別がついていないのではないか。

10本の中で一番古い『魔夏少女』には笑った。いまではああいう残虐な描写は地上波では無理なんでしょうけど、80年代はアツかった、ということだろうか。U-NEXTさんに感謝。

ワーストには新春の『侵入者たちの晩餐』(脚本:バカリズム)を挙げて終わりとします。バカリズムは敬愛しているけど、これはないでしょうというぐらいのひどさでした。

来年1月期のテレビドラマでは、特にバカリズムの『ホットスポット』、アニメでは『SAKAMOTO DAYS』に期待しています。


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