前半戦の7本は大豊作でしたが、後半戦の7本はどうだったでしょうか。例によって見始めた順に感想をつらつらと。


『Qrosの女』
桐谷健太が出ているので見てみました。

が、何か劇中で岡部たかし編集長が「俺たちマスゴミ」と言ったりしますが、マスゴミというイメージそのまんまで、これは古いんじゃないかしら。

アイドルの不倫ネタをそのマネージャーから提供されていたというのは驚きでしたが、面白かったのはそれくらい。

あのとき実はこうでしたあのとき実はこうでした、という後説(あとせつ)が多いのも難。

Qrosが何かもまだわからないけど、これはリタイアします。


『宙わたる教室』
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木村文乃が出ているので見てみました。脇役だけど。

肝心の中身は、窪田正孝が訳ありの夜間高校教師。理科を教えていて、タイトルにもあるように天文が専門みたい。

彼と、落ちこぼれ(といってもディスレクシアなだけで実は秀才)の二年生徒とのあれやこれやがい1話で描かれました。2話以降どうなるのかわかりませんが、窪田正孝の、自分は教師という自覚のなさが災いして展開したりするんでしょう。

とりあえず2話は見ますが、完走の自信はまだまだありません。→2話を見て完走できるかな、と少しだけ思いました。先の読める展開なのでサスペンスが薄いんですよね。でも、勉強のできない人や差別されてる人への温かい眼差しが好もしいので続けて見ます。文乃嬢も相変わらずかっこいい。→3話を見て完走を確信しました。リスカした少女を起立性調節障害という「病気」としてだけ扱わず、そこから来る葛藤をきちんと描いていたので。『火星の人』という本、読みたくなりました。


『ライオンの隠れ家』
柳楽優弥とか坂東龍汰など贔屓にしている役者が出ているので見てみました。

うーん、ここでもまた病気……。「障害」とか「病気」は「キャラクター」じゃないと何度も言ってるんですが、最近こういうの多いですね。

例えば、『レインマン』の主役トム・クルーズを困らせる役として自閉症のダスティン・ホフマンが出てましたけど、あれは物語を盛り上げるために病気を利用しているだけだと思うんですよね。

この『ライオンの隠れ家』でも、柳楽優弥を困らせる役として弟の坂東龍汰が出ています。最後まで見たら自閉症スペクトラム障害というものを描き尽くして、なぜ坂東龍汰にこの障害が必要だったかを語りつくしてくれるのかもしれませんが、1話を見るかぎりはただ便利扱いしているだけ。

『宙わたる教室』の小林虎之介演じる不良学生はディスレクシアだと言いましたが、文章が読めないばかりに親からバカにされ、周囲からも厄介者扱いされ、まともなところに就職できず。ここまでなら『ライオンの隠れ家』の坂東龍汰や『レインマン』のダスティン・ホフマンと同じかも知れません。

しかしながら、『宙わたる教室』の小林虎之介は、障害がもたらした逆境にあらがって、自分の意志で定時制高校に通うようになる。ここにすでに、障害とその人物との「ドラマ=対立・葛藤」がありますよね。だからいい。障害や病気を便利扱いしてない。

それから、弟の病気のため、変化を極度に恐れるようになった柳楽優弥に変化を強いるものが闖入してくる。たったこれだけのお話で60分も使うんですか? ちょっと語りの経済効率が悪すぎると思う。1話でリタイア。


『わたしの宝物』
松本若菜が出てるので見てみました。

テーマはカッコウの生態である「托卵」。つまり、人間に当てはめれば、夫以外の男との間にできた子どもを、夫の子として育てる行為。こういうことする女性って意外に多いんですって。

テーマそれ自体は面白いけど、托卵するためには、その前にまず不倫をせねばならないのですが、ここが大きな難点だと感じました。

夫の山本圭があまりに悪い人すぎるんですよね。横柄で思いやりのかけらもない。昔の『失楽園』を思い出しました。夫/妻がいやな人だから他の女/男に走る。気持ちはわかるし現実にはそういう人は多いんでしょうが、フィクションでの動機となると「弱い」と感じます。デビッド・リーンの名作『逢びき』のように、夫はいい人すぎるほどいい人なのに、それでもこの人が好きと不倫に走る。それだと本当に好きなんだろうなと思える。

だけど、この『わたしの宝物』のような設定だと、不倫相手が好きなのではなく、ただ逃げてるだけのように感じられてしまう。

DNA鑑定で夫の子でない、不倫相手の子だと判明してもなお産もうとするのは、彼のことが好きだからか、はたまたもうこの世にいないからか(本当に? 死んだのは読みが同じの別人では?)それとも、夫への復讐か。

いずれにしても、人物(特に夫)の感情の描き方が乱暴なこの作品はここでリタイアします。


『マイダイアリー』
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清原果耶が出てるので見てみました。

どのシーンもいつかどこかで見たような既視感にあふれているんですが、清原果耶の表情がいちいちかわいいので許せます。

とはいえ、私は上述のように「病気はキャラクターじゃない」と言っていますが、その「病気」と似たようなのが出てきました。

清原果耶と恋に落ちるであろう男が「ギフテッド」なんですね。で、アメリカの大学に留学するもドロップアウトしてしまった。これも『宙わたる教室』の病気のように扱うべきと思います。ギフテッドかどうかだけ描いてもそのキャラクターを描いたことにはならない。

もっとそこの葛藤を描いてこそと思います。いくら主役じゃないといっても、重要な設定っぽいので、1話のうちにどういう科目が得意だったとか、なぜドロップアウトしたとか、家族構成はとか、あのキャラクターの背景説明はしたほうがよかったように思いました。

とりあえず2話は見ます。


『海に眠るダイヤモンド』
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野木亜紀子さんの新作ということで見てみました。神木隆之介が主役というのはひっかかったけど。だって、池田エライザはともかく、斎藤工ですら主役を張れない作品で神木隆之介ですか。

さて、名のある俳優の数が半端じゃないし、CGの量も半端じゃない本作。まだ全貌がわからないので何とも言えませんが一番気になるのは、現代の宮本信子ですよね。70年前のいったい誰なのか。土屋太鳳? 杉咲花? それともまだ未登場の人物なのか(←でも、それじゃ半分詐欺では?)。

1話が面白かったかと聞かれたら特に面白くはなかったけど、でも、まだ作品の肝心なところが姿を現してないようなので、とりあえず2話は見ます。


『民王Ⓡ』
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実に9年ぶりの『民王』続編、ということで見てみました。菅田将暉と高橋一生はあれ以後ブレイクしたので、おそらくギャラが高くなったためにお役御免ということでしょう。ワンシーンと声以外、出ていません。菅田将暉は「民神」として毎回声だけの出演になりそうですが。

絶大な人気を誇る政治家で次期総理と噂される溝端淳平へのつなぎとして、総理総裁の座を任されることになった我らが遠藤憲一首相。今回も体の入れ替わりが起こります。

秘書官として到着したばかりの、めっちゃ頭がよくないとは入れない機関の出身らしい、あのと入れ替わります。男女が入れ替わると『君の名は。』でもあったように、男のほうがおっぱいもんだり、そういうのがあったほうが自然なのに、この『民王Ⓡ』はそういうのがない世界観となっています。確かにメインが政治の話だからないほうがいいに決まってるけど、うーん、どうにもリアリティがないように感じてしまう。

あのはまだ政治の世界側の人間だからまだいいけど、次は山で死体を埋めていた人で、「全国民が入れ替わりの対象」とか。

これは面白くなるか、はたまた混沌の極みとなるか、大博奕ですね。乗ります。

というわけで、14本見始めて8本も生き残ってる。これは大豊作を通り越して超豊作でしょう。

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