イブ・ボワッセが80年代にハリウッド俳優のリー・マービン主演で撮った『狼獣(けだもの)たちの熱い日』を見ましたが、これがとっても変な映画で面白かったです。(以下ネタバレあり)
『狼獣(けだもの)たちの熱い日』(1983、フランス)
脚本:ミシェル・オーディアール、イブ・ボワッセ、ジャン・エルマン&ドミニク・ルレ
監督:イブ・ボワッセ
出演:リー・マービン、ミュウ・ミュウ、ダービッド・ベネント、ベルナデット・ラフォン、ジャン・カルメ
そこは変態家族の家だった
これまでずっと強盗で食ってきた感じのリー・マービンが、現金輸送車を襲って大金を手に入れる。が、警察に追われて地方の名もないような村にやってくる。何とか金は農場のある場所に埋め(これを見ていた子どもが盗むのが面白い)一家の納屋にひそむ。
すると、そこは色情狂一家の家で、見るからに色情狂の女もいれば、オンナを物としか思ってない亭主、その亭主を長い間いつ殺そうかと画策中の妻(ミュウ・ミュウ)、そのミュウ・ミュウはリー・マービンに「夫を殺して」と頼む。それはいいけど、「私を抱いて。いつ抱くかは私が決める」と、夫を亡き者にするより、セックスでの主導権を握りたいという本音が漏れてしまっていて笑ってしまった。
そう、これはコメディです。ハッピーエンドで終わる物語はすべて喜劇であるというシェイクスピアの言葉をもちだすまでもなく。
ミュウ・ミュウは、結局自分で夫を殺すのですが、あの女は何か怪しいと睨んで尾行してきた刑事を逆に捕まえ、セックスの相手にする。そして何だかあほらしくなってその刑事を射殺する。ご丁寧にリー・マービンの拳銃を使い、マービンの特徴である「膝を撃つ」というのもやって、罪を全部リー・マービンになすりつける。
大金の行方は?
子どもが盗んだ大金。この子は、何とあの『ブリキの太鼓』の主役だそうです。どうりでなかなかいい芝居をしてましたぞ。
リー・マービンが金を隠すときも何やらぶつぶつつぶやいていた。あれは俺のカネだみたいなこと。
そして、その金でまだ年端も行かない子どものくせに、娼館で女を買うんですね。これはあの親父さんや色情狂ばかりの家で育った影響でしょう。ぜんぜん変じゃない。むしろああでないとあの家に生まれ育った子どもという感じがしない。リアリティがあります。
何だかんだの末に、リー・マービンは力尽きて狙撃犯に腹を撃たれたのちに自分で脳天をぶち抜き自殺してしまう。そして、人質にされていたあの子どもが「俺が殺したんだぞ」と出てきて、一件落着。
子どもにすれば、大金をすべて自分と母親のものにできるうえに、大嫌いな父親が死んでくれた。
ミュウ・ミュウにすれば、大嫌いな夫を首尾よく殺せたうえに、セックスで主導権を握るあほらしさも学んだ。一家の何人か嫌いな人間も死んでくれた。これからは長男と一緒に新しい夫を迎えて楽しく生きていこう。
リー・マービンはこのハッピーエンドのための出汁に使われたわけですね。
主役じゃなかった
リー・マービンは主役じゃなかった。ミュウ・ミュウと『ブリキの太鼓』の男の子が主役だった。ラストシーンを見て初めてそれがわかりました。
しかし、それなら、最初のリー・マービンがロケット砲を撃つようなド派手なファーストシーンはいらないんじゃないでしょうか。主役じゃないんだから。いや、違う。あれはミスリードなのだ。あのような派手な見せ場で主役と思わせておいて、実は途中から出てくる人が主役という塩梅。なるほど。
でも、それならミュウ・ミュウの出番をもう少し増やしてほしかった気もしますね。ちょいと物足りない。佇まいが他の女優とは一味違う。貧乳ですが魅力的な胸も見せてましたし。
面白かったです。これは見て損はない。オススメ。
『狼獣(けだもの)たちの熱い日』(1983、フランス)
脚本:ミシェル・オーディアール、イブ・ボワッセ、ジャン・エルマン&ドミニク・ルレ
監督:イブ・ボワッセ
出演:リー・マービン、ミュウ・ミュウ、ダービッド・ベネント、ベルナデット・ラフォン、ジャン・カルメ
そこは変態家族の家だった
これまでずっと強盗で食ってきた感じのリー・マービンが、現金輸送車を襲って大金を手に入れる。が、警察に追われて地方の名もないような村にやってくる。何とか金は農場のある場所に埋め(これを見ていた子どもが盗むのが面白い)一家の納屋にひそむ。
すると、そこは色情狂一家の家で、見るからに色情狂の女もいれば、オンナを物としか思ってない亭主、その亭主を長い間いつ殺そうかと画策中の妻(ミュウ・ミュウ)、そのミュウ・ミュウはリー・マービンに「夫を殺して」と頼む。それはいいけど、「私を抱いて。いつ抱くかは私が決める」と、夫を亡き者にするより、セックスでの主導権を握りたいという本音が漏れてしまっていて笑ってしまった。
そう、これはコメディです。ハッピーエンドで終わる物語はすべて喜劇であるというシェイクスピアの言葉をもちだすまでもなく。
ミュウ・ミュウは、結局自分で夫を殺すのですが、あの女は何か怪しいと睨んで尾行してきた刑事を逆に捕まえ、セックスの相手にする。そして何だかあほらしくなってその刑事を射殺する。ご丁寧にリー・マービンの拳銃を使い、マービンの特徴である「膝を撃つ」というのもやって、罪を全部リー・マービンになすりつける。
大金の行方は?
子どもが盗んだ大金。この子は、何とあの『ブリキの太鼓』の主役だそうです。どうりでなかなかいい芝居をしてましたぞ。
リー・マービンが金を隠すときも何やらぶつぶつつぶやいていた。あれは俺のカネだみたいなこと。
そして、その金でまだ年端も行かない子どものくせに、娼館で女を買うんですね。これはあの親父さんや色情狂ばかりの家で育った影響でしょう。ぜんぜん変じゃない。むしろああでないとあの家に生まれ育った子どもという感じがしない。リアリティがあります。
何だかんだの末に、リー・マービンは力尽きて狙撃犯に腹を撃たれたのちに自分で脳天をぶち抜き自殺してしまう。そして、人質にされていたあの子どもが「俺が殺したんだぞ」と出てきて、一件落着。
子どもにすれば、大金をすべて自分と母親のものにできるうえに、大嫌いな父親が死んでくれた。
ミュウ・ミュウにすれば、大嫌いな夫を首尾よく殺せたうえに、セックスで主導権を握るあほらしさも学んだ。一家の何人か嫌いな人間も死んでくれた。これからは長男と一緒に新しい夫を迎えて楽しく生きていこう。
リー・マービンはこのハッピーエンドのための出汁に使われたわけですね。
主役じゃなかった
リー・マービンは主役じゃなかった。ミュウ・ミュウと『ブリキの太鼓』の男の子が主役だった。ラストシーンを見て初めてそれがわかりました。
しかし、それなら、最初のリー・マービンがロケット砲を撃つようなド派手なファーストシーンはいらないんじゃないでしょうか。主役じゃないんだから。いや、違う。あれはミスリードなのだ。あのような派手な見せ場で主役と思わせておいて、実は途中から出てくる人が主役という塩梅。なるほど。
でも、それならミュウ・ミュウの出番をもう少し増やしてほしかった気もしますね。ちょいと物足りない。佇まいが他の女優とは一味違う。貧乳ですが魅力的な胸も見せてましたし。
面白かったです。これは見て損はない。オススメ。
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