7月下旬から9月にかけて始まった晩夏のテレビドラマについて感想をつらつらと書き連ねます。


『スカイキャッスル』
韓流ドラマのリメイクらしいですが、元ネタはタイトルすら知りません。

巨大総合病院の金持ち勤務医の妻たちのマウント合戦を描いているらしいですが、そういうの興味ないので乗れなかった。単に木村文乃が出てるから見始めただけなので。


『素晴らしき哉、先生!』
これはひどすぎて10分ももたずにリタイアしました。

教育現場は現代ニッポンの最大のブラック業界と言われて久しいですが、そんな教育現場で働く生田絵梨花が、親や世間への愚痴を同居している彼氏に吐きまくる冒頭は、何ともいやな気持になりました。

愚痴を吐くんじゃなくて一生懸命働いているところをまず見せるべきじゃないの? 愚痴はそのあとにしてほしかった。それなら見続けられたかもしれないのに。

愚痴ばかりこぼす生田絵梨花が、これまた下手すぎで見ていられなかった。


『錦糸町パラダイス ~渋谷から一本~』
だいぶ前に始まった作品ですが未見でした。評判がいいのでU-NEXTで見てみました。

評判がいいからすでに放送終了していた7話くらいまで見たら面白いのかもしれませんが、1話だけ見ると、登場人物の紹介や世界観を提示するくらいしかしておらず、続けて見たいとは思わない。続けて見たら楽しめるのかもしれないけど、第1話であの程度のことしかやってない作品をわざわざ見ようとは思わない。いくら見放題であっても。


『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(単発)
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8月ジャーナリズムも嫌いだから、「8月ドラマ」(という言葉があるのかどうか知らんが)も嫌いなので、最初見なかったのだけど、ひどく評判がいいので再放送で見てみました。

うん、なかなかよかったです。特に、田中さんが、講演会を終えて、「戦争なんか教科書に載っている」と講演会に反対だった秀才の、「なぜ軍国少年から戦争反対者に急に変われるのか」という質問に真摯に答え、「いままで言葉にしなかったからよくわからなかったけど、言葉にしてみて初めてわかった」という言葉がよかった。

よく、こんなブログなんか書いていると言われるんですよ。「なぜあんなまとまったことを考えられるのか」と。

違うんですよね。「考えがまとまってるから書く」んじゃなくて、「書いているうちに考えがまとまってくる」のです。

だから、田中さんも自分の気持ちを言葉にすることでやっと考えがまとまり、落ち着いて死ぬことができた。

あと、田中さんはいやなことを言われてもまず「ありがとう」といいますよね。相手の言葉をまず受け入れる。はねつけない。はねつけていたら、田中さん自身の言葉は出てこなかったはず。まず、受け入れる。昔、人が言うことをいちいち「それは嘘だ」とはねつけていた人間を一人知っていますが、まことに損なことをする人だったと思う。まず受け入れるところからすべては始まる。この作品はそう言っているように感じられました。

ただ……

このドラマは誰が「主人公」なんでしょうね? 田中さんは何も変化しないから違うし、小学生のあの子も何も変化しない。

あの嫌味な秀才を主人公にして田中さんとのぶつかり・変化をやればよかったんじゃないか、そのほうが主題が深まったのではないかという憾みが残りました。そのぶん75分では無理でしょうが、連続ものなら……。


『Shrink シュリンク ~精神科医ヨワイ~』
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精神科医が主人公と聞いて飛んできました。

中村倫也がいいですね。相変わらず声がいい。実にいい声をしている。あの声で話をされたらどんな病気も治ってしまいそう。

それはともかく、1話が扱っていたのはパニック症で、夏帆がなかなかの熱演を見せてましたが、病気に関して通り一遍のことしか教えてくれずじまい。私はパニック症ではないのでほとんど何も知らないから、もっと深いところまでいろいろ教えてほしかった。

ただ、「精神病は心の病気ではありません。脳の誤作動です」というセリフはもっと世間に浸透してほしいと思う。心は脳に宿ってるって? 違いますよ。最新の脳科学では、心は脳に宿っているのではないそうです。じゃあどこに? たぶん、心がどこにあるかは永久にわからないというのが私の予想です。

患者を治しつつ、中村倫也のハーバードに留学していた秀才だという過去や、なぜそれだけの頭脳をもってこじんまりとした開業医に収まっているのか、という「過去」があぶり出されるのでしょう。土屋太鳳にも何か過去があるのだろうか。自分から試用期間を設けてほしいと奇特なことを願い出たそうだけど。

というか、彼女は新参者なので、夏帆と一緒に、中村倫也の言葉に驚いていた。役がかぶってないだろうか。かぶっていると見せかけて何か彼女ならではの「ドラマの種」をもっているのか。まさか1話のような役だけで土屋太鳳レベルの女優をキャスティングしないはずだから気になる。

来週は、双極性障害(躁うつ病)を扱うそうです。楽しみ楽しみ。


『団地のふたり』
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小泉今日子と小林聡美共演と聞いて飛んできました。

小泉今日子は大学の非常勤講師でれっきとした文学博士。小林聡美はイラストレーター。

二人は小中学校の同級生で、高校からは違う道を歩んだものの、小泉今日子は33歳で離婚し、小林聡美も事実婚を経て現在独身。小林聡美は団地で独り暮らし。小泉今日子は同じ団地の実家にパラサイトしている。

何でもない日常のあるあるを描くのが主眼みたいで、1話を見るかぎり、かなりうまくいっている感じがします。

メルカリならぬウルカイというアプリで中古品を売りさばいてハイタッチするところなんざ、橋爪功でなくとも「子どもみたい」と思ってしまうが、私がこの歳まで生きてきたわかったのは、人間はみんな一生子どもである、ということ。

そんな子どもみたいな中年、実年、老年たちのドラマ。超高齢化社会にはこういうのがますます必要ですね。


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THE やんごとなき雑炊
中村倫也
KADOKAWA
2024-03-14





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