1975年製作ロマンポルノ『新・団地妻 ブルーフィルムの女』を見たんですが、面白かったけど、ブルーフィルムという特異な(この時代はそうでもないのか)小道具を中心に据えている作品にしては、ちょいと物足りなかったですかね。


『新・団地妻 ブルーフィルムの女』(1975、日本)
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脚本:木俣堯喬
監督:林功
出演:珠瑠美、井上博一、浜口竜哉、南ゆき、しば早苗


作中に印象的なセリフがありました。

主役の女・珠瑠美が出演しているブルーフィルムの相手役の男性役として出演していた俳優・井上博一が、

「俺はな、ブルーフィルムなんか作っちゃいるが、自分の女を作品に出そうなんざ思っちゃいないんだ!」

うーん、一見、男らしいセリフにも聞こえますが、なんかちょっと変ですね。

この『新・団地妻 ブルーフィルムの女』の物語を説明しますと、くだんのブルーフィルムに出演した女・珠瑠美が、いまは団地妻としてサラリーマンの男・浜口竜哉と結婚してつつがなく暮らしている。そこへ、浜口竜哉がそのフィルムを見てしまい、妻だとはっきり認識する。

浜口は珠に乱暴狼藉のかぎりを働き、会社では離婚歴が不利に働くからと、離婚してほしいという珠の願いを聞き入れず、完全な家庭内別居状態。珠は何とかしようと、くだんのブルフィルムの行方を探索し、買い戻していく。

というのがあらましですが、この浜口竜哉の言い分も変ですよね。

「俺がコツコツコツコツ働いているのにおまえはあんないやらしい映画に出てからに!」

みたいなことを言うんですが、確かにブルーフィルムは違法です。違法なフィルムに妻は出演した。製作や販売、上映あるいは所持に携わっていることがばれたら逮捕される。見ること自体は違法じゃないらしいですが、それでも、「あんないやらしい映画」と唾棄するように言う映画をこっそり淫靡な部屋で見ていたのは誰なんでしょう?

ブルーフィルムの相手役の井上博一もおかしいですよね。自分自身はブルーフィルムに大いに出る。でも自分の女は出さない、と。

それは、浜口竜哉も井上博一も、女を自分の所有物としか思ってないからです。

井上博一の、自分の女をブルーフィルムなんかに出さないとはえらくかっこいい言い分のようですが、その女の自由意志などないかのように扱っています。

珠瑠美がブルーフィルムを買い取ろうとして接触した男たちも、すべて彼女を「物」としてしか見ていなかった。

浜口竜哉の、珠瑠美の所業が会社の成績に悪影響を及ぼさないかと心配ばかりするのも同様でしょう。もっと親身になってブルーフィルムに出た理由を問いかけてもいいようなものだし、百歩譲って会社の成績が気になるのが正当だとするなら、もっとよく調べてから結婚すべきです。自分の落ち度を少しも考慮せず、妻の不義ばかりをなじる。

最後で浜口竜哉は珠瑠美に殴られるのですが、これは非常に痛快でした。

でも、最後に珠瑠美が井上博一と元の鞘に収まるのは、ちょっと納得いきませんでしたが。








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