劇場未公開でU-NEXTで見た『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』の感想を記します。ジェニファー・ローレンス目当てで見ただけなのに、これが意外と言っては失礼か、かなり面白かった。(以下ネタバレあり)
『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』(2023、アメリカ)

脚本:ジーン・スタプニツキー&ジョン・フィリップス
監督:ジーン・スタプニツキー
出演:ジェニファー・ローレンス、アンドリュー・バース・フェルドマン、マシュー・ブロデリック、ローラ・ベナンティ、ナタリー・モラレス
物語のあらまし

ジェニファー・ローレンス演じる主人公マディは税金を滞納していて、このままでは郡が家を売って路頭に迷うことになるのに、なぜかどこへも引っ越したくないと言っている。
職はあるけど税金滞納中のマディは、ネット広告で、引きこもりで友だちもいない引っ込み思案の息子の殻を破らせてほしい、報酬は中古のビュイック、20代前半の女性に限る、という広告を見て、32歳なのに図々しくも応募します。
「デート」とはやはり「セックス」のことで、要は童貞喪失の相手になってほしいというお願いでした。こんな両親いるのかな、それもアメリカに、と思ったものの、実際にマディの職場仲間が「こういう過保護な親ってのがいるんだよ」みたいなことを言っていたので、リアルな家庭環境なのでしょう。
で、経験豊富なマディは、息子のパーシーと山あり谷ありのデートを重ね、見事彼の童貞を奪います。
なぁんてことになるはずがありません。主人公の当初の目的とはかけ離れた結末になるから「映画」なのです。
二人のアンチヒーロー

物語で大事なのは、「問題の原因」は何か、ということです。
パーシーのそれは明らかですよね。過保護な両親です。だから、後半になって、マディが本当の恋人ではなく、雇われの身であることがばれ、怒ったパーシーは両親やマディを怒らせるような言動を取る。
でもパーシーは主人公ではありません。パーシーの「問題解決」はラスト近くで描かれたように、大学進学のときが来て、両親の助けを一切借りずに家を出ていく、それだけでOKですが、問題はマディ側の「問題の原因」は何か、また「解決」は? です。
マディは中盤のパーシーとのデートで、父親とのことを告白します。
「父は母と不倫していた。私は不義の子。父は私たちを捨ててニューヨークに住む元の家族を選んだ。プロムの日、なぜ私を捨てたのかと書いた手紙が未開封で返送されてきた。プロムどころじゃなくなった。だから私もあなたと同様、プロムは未経験なの」
終盤にパーシーがズバリと言い当てますが、マディが地元の町から出ていかないのは、父親が訪ねてくる可能性を捨てきれないからです。
パーシーも親に甘えていますが、マディも父親の愛情に飢えている。二人とも親が原因で成長が止まってしまっていたのです。
二人とも同じ原因で暗黒面に堕ちたアンチヒーローだったわけですね。
最終的に、職場の友人の勧めもあってマディはカリフォルニアに移住することを決めます。(あのシーンは『グッド・ウィル・ハンティング』みたいでしたね)
パーシーの成長はマディが促した。そしてマディの成長はパーシーが促した。二人はもう恋人同士も同然です。実際、セックスもした。挿入する前に射精してしまったけど。マディは「あれはセックスじゃない」と言い、パーシーは「あれはセックスだったよ」と言い張る。このへんもいいコンビって感じでした。
マディがプロム未経験という設定がよかったですね。経験は豊富だけれど、パーシーと同じくロマンチックな雰囲気とは無縁だった。だから、彼がピアノを弾いて歌うシーン(お見事!)でグッとくるんだと思います。しかも、メインの父親との確執をプロムにからめる巧妙さ。うまい脚本です。

私は基本的に「続編」というものが好きじゃないんですが、この二人の続きを見てみたいと切望しています。作って!

『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』(2023、アメリカ)

脚本:ジーン・スタプニツキー&ジョン・フィリップス
監督:ジーン・スタプニツキー
出演:ジェニファー・ローレンス、アンドリュー・バース・フェルドマン、マシュー・ブロデリック、ローラ・ベナンティ、ナタリー・モラレス
物語のあらまし

ジェニファー・ローレンス演じる主人公マディは税金を滞納していて、このままでは郡が家を売って路頭に迷うことになるのに、なぜかどこへも引っ越したくないと言っている。
職はあるけど税金滞納中のマディは、ネット広告で、引きこもりで友だちもいない引っ込み思案の息子の殻を破らせてほしい、報酬は中古のビュイック、20代前半の女性に限る、という広告を見て、32歳なのに図々しくも応募します。
「デート」とはやはり「セックス」のことで、要は童貞喪失の相手になってほしいというお願いでした。こんな両親いるのかな、それもアメリカに、と思ったものの、実際にマディの職場仲間が「こういう過保護な親ってのがいるんだよ」みたいなことを言っていたので、リアルな家庭環境なのでしょう。
で、経験豊富なマディは、息子のパーシーと山あり谷ありのデートを重ね、見事彼の童貞を奪います。
なぁんてことになるはずがありません。主人公の当初の目的とはかけ離れた結末になるから「映画」なのです。
二人のアンチヒーロー

物語で大事なのは、「問題の原因」は何か、ということです。
パーシーのそれは明らかですよね。過保護な両親です。だから、後半になって、マディが本当の恋人ではなく、雇われの身であることがばれ、怒ったパーシーは両親やマディを怒らせるような言動を取る。
でもパーシーは主人公ではありません。パーシーの「問題解決」はラスト近くで描かれたように、大学進学のときが来て、両親の助けを一切借りずに家を出ていく、それだけでOKですが、問題はマディ側の「問題の原因」は何か、また「解決」は? です。
マディは中盤のパーシーとのデートで、父親とのことを告白します。
「父は母と不倫していた。私は不義の子。父は私たちを捨ててニューヨークに住む元の家族を選んだ。プロムの日、なぜ私を捨てたのかと書いた手紙が未開封で返送されてきた。プロムどころじゃなくなった。だから私もあなたと同様、プロムは未経験なの」
終盤にパーシーがズバリと言い当てますが、マディが地元の町から出ていかないのは、父親が訪ねてくる可能性を捨てきれないからです。
パーシーも親に甘えていますが、マディも父親の愛情に飢えている。二人とも親が原因で成長が止まってしまっていたのです。
二人とも同じ原因で暗黒面に堕ちたアンチヒーローだったわけですね。
最終的に、職場の友人の勧めもあってマディはカリフォルニアに移住することを決めます。(あのシーンは『グッド・ウィル・ハンティング』みたいでしたね)
パーシーの成長はマディが促した。そしてマディの成長はパーシーが促した。二人はもう恋人同士も同然です。実際、セックスもした。挿入する前に射精してしまったけど。マディは「あれはセックスじゃない」と言い、パーシーは「あれはセックスだったよ」と言い張る。このへんもいいコンビって感じでした。
マディがプロム未経験という設定がよかったですね。経験は豊富だけれど、パーシーと同じくロマンチックな雰囲気とは無縁だった。だから、彼がピアノを弾いて歌うシーン(お見事!)でグッとくるんだと思います。しかも、メインの父親との確執をプロムにからめる巧妙さ。うまい脚本です。

私は基本的に「続編」というものが好きじゃないんですが、この二人の続きを見てみたいと切望しています。作って!

コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。