さて、大晦日恒例の新作映画ベストテン。いつもなら10本に絞るのがめんどくさいので15本前後並べるんですが、今年は映画館にあまり行けなかったので鑑賞本数が少なく、簡単に10本に絞れたので、かなり久しぶりに10本ちょうどです。
では行きましょう。
殺し屋。
殺し屋とはいったい何でしょうか。専門学校時代に「殺し屋は映画の中にしかいない」と断言する者がいました。そうかもしれません。でも、餃子の王将の社長を殺したのは殺し屋ですよね。
いずれにしても、私は「ファンタジーとしての殺し屋」に妙に惹かれるのです。だから生まれて初めて書いたシナリオの主人公も殺し屋でした。
①と⑩の主人公もまた殺し屋です(どちらもネットフリックス独占配信作品)。特に①の『ザ・キラー』のマイケル・ファスベンダー。粛々と殺しの仕事をこなしていく彼を見ていると、これこそが「純粋映画」なのではないか。そんな想いにも囚われました。映画の純粋形態は毎日のルーティーンをきちんと守り、ストイックすぎるほどストイックな人物を主人公にしてこそ可能なのかもしれない。映画そのものの形態が純粋なものを純粋映画というんじゃなく、まじりっけなしの純粋な主人公(性格が純粋ということにあらず)を描いた映画のことを純粋映画というのではないか。そんなことを思いました。
というわけで、『ザ・キラー』がベストワンです。一番面白かったかどうかは別にして。(そういえば、今年は他を圧倒する作品にはついに出会わなかったですね。見てる数が少ないからでしょうけど)
②は映画館で見ました。というか、映画館で見ないと面白さ半減でしょう。新しい鉱脈を発見したサスペンス・アクションの快作。これをベストワンにすべきだったか。
③④は現在のハリウッドの最良の作品ではないでしょうか。上映時間がどんどん長くなってるのが難ですが。
どちらもU-NEXTで視聴。映画館で見たらもっと乗れかもしれない。特に、次兄が劇推ししてきた『グランツーリスモ』はスクリーンで見ていたらベストワンだったかも、と映画館へ行けなくなった運命を呪いたくなります。
そういえばトム・クルーズももう還暦。いまでも危険なシーンはスタントマンを使わず全部自分で演じてるらしいけど(当然命綱はつけてるでしょうが)死ぬんじゃないかと心配だからもうやめてほしいな。トムが死んだら本当にハリウッドは終焉してしまうかも。(今年『ハリウッド映画の終焉』という本が出ましたな)
⑤は裏ベストワン。『銀平町シネマブルース』の決して声高にならず、静かに映画愛を歌い上げる「節度」に感涙。かつて『ニュー・シネマ・パラダイス』に対して、「映画をもって映画愛を歌い上げる下品さ」などと評していた評論家さんがいたけど、あれは我が意を得たりだった。でも『銀平町シネマブルース』は下品じゃないんですよ。そこがいい。心が洗われるとはまさにこのこと。U-NEXTにて鑑賞。
⑥は今年一番笑った映画。ナチスと一人で戦闘を完遂するおじいちゃんのお話。笑えまっせ。笑える以上に、人を殺すことの「痛み」をきちんと描けているのがなおのことよかった。
⑦⑧はオールタイム好きな監督10傑を選んだらおそらく入るであろう、ダルデンヌ兄弟とバーホーベンの新作。抜群の安定感。
⑨は見てる人は少ないでしょうが、なかなか味わい深い映画でした。
以上からわかるように、今年は映画館で見たものより配信で、つまりテレビ画面で見た映画のほうが多いのです。4:6。
こうなった以上は、「映画館でかかった作品だけが映画だ」なんて口が裂けても言えなくなった。どうしても体力的・金銭的に見に行けない映画が多いので配信に頼ることになる。配信でしか見れない映画もある。
何が「映画」なのかを真剣に考えるときがすでに来ていたことに愕然となります。いままで配信映画を見れる環境になかったけど、ネットにつなげられるテレビを買ったら、映画鑑賞にまつわる環境がこんなにも激変している、しかも、劇場派の私がそこにすんなり順応していけたことに愕然となりました。アカデミー賞とかでも映画館でかかった映画だけが対象じゃないですか。いまでも。私も同じように考えてましたが、これだけ配信映画が隆盛になっているのを知ると、配信のみの映画も対象に加えてもいいんじゃないかしら。なぁんてことを思います。
ワーストにはあえて大好きなシリーズの最新作『スクリーム6』(監督:マット・ベティネッリ・オルピン&タイラー・ジレット)を挙げます。
いくら何でもあの真犯人はありえないと思うし、ミステリとして反則と言いたい展開もあったので。同じ監督による前作がかなり面白かっただけに、そして、今作もアクションがかなりよかっただけにあの内容はとても残念でした。
『7』は監督も変わって、その新監督も降板、主演女優二人も降板と受難続きみたいですが、面白いのを期待しています。
では、良いお年を!
では行きましょう。
①ザ・キラー(監督:デビッド・フィンチャー)
②FALL/フォール(監督:スコット・マン)
③ミッション:インポッシブル デッド・レコニング PART ONE(監督:クリストファー・マッカリー)
④グランツーリスモ(監督:ニール・ブロムカンプ)
⑤銀平町シネマブルース(監督:城定秀夫)
⑥SISU シス/不死身の男(監督:ヤルマリ・ヘランダー)
⑦トリとロキタ(監督:ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ)
⑧ベネデッタ(監督:ポール・バーホーベン)
⑨インスペクション ここで生きる(監督:エレガンス・ブラットン)
⑩ザ・マザー(監督:ニキ・カーロ)
殺し屋。
殺し屋とはいったい何でしょうか。専門学校時代に「殺し屋は映画の中にしかいない」と断言する者がいました。そうかもしれません。でも、餃子の王将の社長を殺したのは殺し屋ですよね。
いずれにしても、私は「ファンタジーとしての殺し屋」に妙に惹かれるのです。だから生まれて初めて書いたシナリオの主人公も殺し屋でした。
①と⑩の主人公もまた殺し屋です(どちらもネットフリックス独占配信作品)。特に①の『ザ・キラー』のマイケル・ファスベンダー。粛々と殺しの仕事をこなしていく彼を見ていると、これこそが「純粋映画」なのではないか。そんな想いにも囚われました。映画の純粋形態は毎日のルーティーンをきちんと守り、ストイックすぎるほどストイックな人物を主人公にしてこそ可能なのかもしれない。映画そのものの形態が純粋なものを純粋映画というんじゃなく、まじりっけなしの純粋な主人公(性格が純粋ということにあらず)を描いた映画のことを純粋映画というのではないか。そんなことを思いました。
というわけで、『ザ・キラー』がベストワンです。一番面白かったかどうかは別にして。(そういえば、今年は他を圧倒する作品にはついに出会わなかったですね。見てる数が少ないからでしょうけど)
②は映画館で見ました。というか、映画館で見ないと面白さ半減でしょう。新しい鉱脈を発見したサスペンス・アクションの快作。これをベストワンにすべきだったか。
③④は現在のハリウッドの最良の作品ではないでしょうか。上映時間がどんどん長くなってるのが難ですが。
どちらもU-NEXTで視聴。映画館で見たらもっと乗れかもしれない。特に、次兄が劇推ししてきた『グランツーリスモ』はスクリーンで見ていたらベストワンだったかも、と映画館へ行けなくなった運命を呪いたくなります。
そういえばトム・クルーズももう還暦。いまでも危険なシーンはスタントマンを使わず全部自分で演じてるらしいけど(当然命綱はつけてるでしょうが)死ぬんじゃないかと心配だからもうやめてほしいな。トムが死んだら本当にハリウッドは終焉してしまうかも。(今年『ハリウッド映画の終焉』という本が出ましたな)
⑤は裏ベストワン。『銀平町シネマブルース』の決して声高にならず、静かに映画愛を歌い上げる「節度」に感涙。かつて『ニュー・シネマ・パラダイス』に対して、「映画をもって映画愛を歌い上げる下品さ」などと評していた評論家さんがいたけど、あれは我が意を得たりだった。でも『銀平町シネマブルース』は下品じゃないんですよ。そこがいい。心が洗われるとはまさにこのこと。U-NEXTにて鑑賞。
⑥は今年一番笑った映画。ナチスと一人で戦闘を完遂するおじいちゃんのお話。笑えまっせ。笑える以上に、人を殺すことの「痛み」をきちんと描けているのがなおのことよかった。
⑦⑧はオールタイム好きな監督10傑を選んだらおそらく入るであろう、ダルデンヌ兄弟とバーホーベンの新作。抜群の安定感。
⑨は見てる人は少ないでしょうが、なかなか味わい深い映画でした。
以上からわかるように、今年は映画館で見たものより配信で、つまりテレビ画面で見た映画のほうが多いのです。4:6。
こうなった以上は、「映画館でかかった作品だけが映画だ」なんて口が裂けても言えなくなった。どうしても体力的・金銭的に見に行けない映画が多いので配信に頼ることになる。配信でしか見れない映画もある。
何が「映画」なのかを真剣に考えるときがすでに来ていたことに愕然となります。いままで配信映画を見れる環境になかったけど、ネットにつなげられるテレビを買ったら、映画鑑賞にまつわる環境がこんなにも激変している、しかも、劇場派の私がそこにすんなり順応していけたことに愕然となりました。アカデミー賞とかでも映画館でかかった映画だけが対象じゃないですか。いまでも。私も同じように考えてましたが、これだけ配信映画が隆盛になっているのを知ると、配信のみの映画も対象に加えてもいいんじゃないかしら。なぁんてことを思います。
ワーストにはあえて大好きなシリーズの最新作『スクリーム6』(監督:マット・ベティネッリ・オルピン&タイラー・ジレット)を挙げます。
いくら何でもあの真犯人はありえないと思うし、ミステリとして反則と言いたい展開もあったので。同じ監督による前作がかなり面白かっただけに、そして、今作もアクションがかなりよかっただけにあの内容はとても残念でした。
『7』は監督も変わって、その新監督も降板、主演女優二人も降板と受難続きみたいですが、面白いのを期待しています。
では、良いお年を!
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