腰椎圧迫骨折の憂き目に遭った母が、どうしても風呂に入りたい、私が体を拭くのは恥ずかしいからいやだというので、介護サービスを利用してデイサービスでお風呂に入れてもらうことになりました。

用意するのは、バスタオル1枚、フェイスタオル2枚、昼食とおやつで合計700円の現金、その他、着替えや本など。

朝8時から8時15分までに迎えに行くといったわりには、ひどく遅くて8時半ごろやっと来た。よろしくお願いしますと職員さんに挨拶して送り出した私は、この1か月ほど我慢していた映画に行こうと体が軽くなった。

が、その体がすぐ重くなるとは……。


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家に戻った私がリビングを覗くと、このところ母の寝床になっているソファが目に入った。母は半日プランと丸一日プランがあると聞いて、私のためを思って丸一日プランを選んだのだった。そのときは私も「ふふふ、久しぶりに映画に行くぜ」とほくそ笑んでいたのだけど、主のいないソファを見ていると、体よく厄介払いしたかのような、何とも言えない罪悪感が襲ってきて体がだるくなってきた。

結局映画には行かなかった。行けなかった。

現代の姥捨て山じゃないかとすら思った。


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帰ってきた母は、「もう疲れた!」と言ってすぐソファに寝転がりこんだ。あとで聞いたら、

「向こうに9時15分に着いて、しばらく何もすることがなく、本を読んでいた。10時くらいからお風呂。これはさっぱりした。だけど、それから昼食まで何もすることがない。食べたあと、腰が痛いので1時間ほど横にならせてもらった。2時からまた何もすることがなく、3時くらいからテレビゲームみたいなボーリングのゲームをした」

で、帰ってきたらしい。「何もする時間」が多くないか。デイサービスの施設でも厄介者扱いしているのだろうか。母がとても不憫になった。これでは本当に姥捨て山ではないか。

さすがに、「これからもお風呂には入りたいから行くけど、丸一日プランではなく半日プランにしたい」

と言っていた。それはそうだろう。

腰を骨折していながら、しかも介護保険を利用して、それでもくたびれ果て、嫌な思いを強いられてきた母を想い、夕飯は力を入れて作った。ま、私の作る飯はいつでもたいしたことないが。



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それにしても、前回、介護サービスの闇らしきものを見たと書いたけど、デイサービスの現場でも似たようなものなのか、と思った。

他の利用者との会話がはずんだりしてるのかと思ったけど、ほとんどしゃべってないらしい。誰もしゃべらないらしいのだ。

その施設や職員が彼らの生命力を殺いでいるんじゃないかと、現場を見てもいないのに邪推してしまった。

それぐらい、昨日の母の疲れ具合は尋常じゃなかった。腰がまだまだ万全じゃないので疲れるだろうとは思ってたけど、腰がどうという以前に、現場の雰囲気などがどうもイヤなものらしい。

風呂のために行かねばならないのだが、今日、昼飯のときに、

「一人でお風呂入れるようになったらデイサービス行かなくていいよね?」

と聞いてきたので、

「行かなくていいよ」とだけ答えておいた。


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要介護認定にひそむ闇(腰椎圧迫骨折の憂き目に遭った母のことなどパート3) 




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