半年前に劇場に見に行ったものの体調不良のために20分で劇場脱出の憂き目にあった『シン・仮面ライダー』。ようよくアマゾンプライム1か月お試しで鑑賞しました。(以下ネタバレあり)


『シン・仮面ライダー』(2023、日本)
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脚本・監督:庵野秀明
出演:池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、森山未來、塚本晋也、西野七瀬、長澤まさみ、竹野内豊、斎藤工


主役は浜辺美波!?
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まったく事前情報なしで見たので(ツイッターなどでの他人の感想は見ている作品のものしか読みませんので)仮面ライダーがうじうじ悩んでばかりの奴とも知らなかったし、何より浜辺美波が主役顔負けの役と知って驚きました。

とはいえ、私の目には浜辺美波っていまだに子どもにしか見えないので、「あなたとは覚悟が違うの」なんて大人のセリフを聞かされても、悪い冗談にしか聞こえないのです。

とはいえ、この『シン・仮面ライダー』の浜辺美波は予想以上によく、何より面構えが進歩した気がしました。映画の顔になってきた感じ。

特に最後のこのシーンは目を瞠りました。

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『シン・仮面ライダー』は、浜辺美波を初めて色気のある女優として撮った初めての映画として記憶されるべきでしょう。


人間ドラマ?
我々が見たいのは「アクション・エンターテインメント」であって、「この手で人間を殺してしまった」とか「お父さんは殺されるとき僕ら家族より他人を心配する人でした」とか、そういう「人間ドラマ」を見たいわけじゃない。

多くの人の不満はそこなんでしょ? よく知らないけど。ショッカーという組織が何なのかもよくわからないし。子どもの頃に見ていた『仮面ライダー』にはショッカーとはどういう組織とかってありましたっけ? まったく憶えてない。

塚本晋也演じる浜辺美波の父親も元ショッカーで改造人間を作っており、浜辺美波も目から脳へ見たことをインストールできる、人間とコンピュータのハイブリッドなら、仮面ライダーも当然バッタと人間のハイブリッド。他の蠍オーグとか蝙蝠オーグと同じ。

仮面ライダーも組織を裏切ってショッカーと戦っているのだけど、浜辺美波や塚本晋也と違って彼の「裏切り」の動機が何なのかよくわからない。

まぁ、いずれにしても、私が声を大にして批判したいのはそこじゃない。


これは役者への冒瀆でしょう
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例えば蝙蝠オーグ。特殊メイクのため誰が演じているのか声だけではわからんなぁと思っていたら、allcinemaで調べると、どうも手塚とおるらしい。うーん、知ってる顔なのにわからないとは。

他にも、松尾スズキ、仲村トオル、安田顕、市川実日子なんてビッグネームが出ていたことに気づかなかった。

誰が何の役かわからないように撮るというのは、役者への冒瀆でしょう。

せめて、戦闘の最後で特殊メイクが取れたり仮面が脱げたりして、誰かわかるように見せるべきでは? そういうことを考えるのも脚本家や監督の仕事だと思う。それぞれの「見せ場」をちゃんと用意するという。

物語を転がしたり、実相寺昭雄テイスト風に撮ることばかり考えてたんじゃないですかね。それか、実写もアニメと同じだと考えていたか。

西野七瀬や長澤まさみはどの作品に出ても魅力的であることをまたも証明し、浜辺美波をかろうじて魅力的に撮った反面、何人もの役者の見せ場をないがしろにした。

私は、この映画は役者への冒瀆だと思う。


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