1984年のスポ根映画の名作『ベスト・キッド』を再見したんですが、これがどうにも腑に落ちなくて困っています。
『ベスト・キッド』(1984、アメリカ)

脚本:ロバート・マーク・ケイメン
監督:ジョン・G・アビルドセン
出演:ラルフ・マッチオ、ノリユキ・パット・モリタ、エリザベス・シュー、ランディ・ヘラー
まずは楽しいところから

やはり何といっても、ワックス掛けさせられたり、ペンキぬらされたり、さんざんこき使われた挙句、それらがすべて空手の修行だったと知らされるシーンの快感は、ラストで勝利する快感以上のものがありましたよね。
「人生で大事なのはバランスだよ」というセリフもとてもいいし、エリザベス・シューとの恋路も応援したくなるし、でもやっぱり師匠と弟子の関係性に独自のものがあったように思います。
師匠と弟子といえば……
一番悪いのは誰?

師と二人でいじめっ子たちが通う空手道場に行くと、そこの先生が悪の権化みたいな人で、ノリユキ・パット・モリタ師匠は「先生が悪いんだ。あれが悪いことを教えている」と言います。
ラストの試合でも、ラルフ・マッチオの足をつぶせと子どもたちに命令するので、あぁ、ノリユキ・パット・モリタ師匠の言ってたことは本当だったんだな、と思いました。誰よりも悪いのはあの先生であり、いじめっ子はその影響を受けているにすぎない、と。
こういう画もありました。

上の画像と見事に相似形をなしています。いじめっ子は悪役然としていますが、最後の試合のシーンで折れた足を狙えと命じられると明らかに迷いを見せます。彼にはまだ良心が残っています。
本当に悪い奴は野放し?

なのに、ラルフ・マッチオがいじめっ子を倒して終わりというのはどういうことでしょう?
一番悪い奴を野放しにしたまま終わるというのは解せません。昔はこんなこと思わなかったけど、シナリオを書いたりしてたもんだから気になってしょうがない。
いじめっ子はあの悪の権化先生の「影」でしかありません。悪の「本丸」を倒さないと本当のハッピーエンドにはならない気がするんですけどねぇ。
それに、この『ベスト・キッド』はすぐれた「神話」です。ラルフ・マッチオというヒーローが、アンチヒーローを倒すのが主眼のはずです。最も悪いのがアンチヒーローなのだから、あの敵道場の先生に怒りの鉄槌を下さないと神話としても片手落ちです。
昔から変だと思っていた、ラルフ・マッチオが勝った瞬間の、いじめっ子がトロフィーを差し出して、「やったな、ダニエル。君の勝ちだ」と言う、めちゃとってつけたようなエンディング。
あれは結局、彼が「倒されるべきキャラクター」じゃないからでしょう。いや、倒されるべきキャラクターではあるけど、いわゆる「ラスボス」じゃない。ラスボスじゃないのにラスボスとして幕引きを図らされたから、ああいう中途半端なセリフしか出てこざるをえなかったということじゃないでしょうか。
ジャッキーが師匠を演じた2010年版はどうなってるんでしょうね。見てみるかな。劇場に行ったことは行ったけど寝てしまったもんで。(恥)
『ベスト・キッド』(1984、アメリカ)

脚本:ロバート・マーク・ケイメン
監督:ジョン・G・アビルドセン
出演:ラルフ・マッチオ、ノリユキ・パット・モリタ、エリザベス・シュー、ランディ・ヘラー
まずは楽しいところから

やはり何といっても、ワックス掛けさせられたり、ペンキぬらされたり、さんざんこき使われた挙句、それらがすべて空手の修行だったと知らされるシーンの快感は、ラストで勝利する快感以上のものがありましたよね。
「人生で大事なのはバランスだよ」というセリフもとてもいいし、エリザベス・シューとの恋路も応援したくなるし、でもやっぱり師匠と弟子の関係性に独自のものがあったように思います。
師匠と弟子といえば……
一番悪いのは誰?

師と二人でいじめっ子たちが通う空手道場に行くと、そこの先生が悪の権化みたいな人で、ノリユキ・パット・モリタ師匠は「先生が悪いんだ。あれが悪いことを教えている」と言います。
ラストの試合でも、ラルフ・マッチオの足をつぶせと子どもたちに命令するので、あぁ、ノリユキ・パット・モリタ師匠の言ってたことは本当だったんだな、と思いました。誰よりも悪いのはあの先生であり、いじめっ子はその影響を受けているにすぎない、と。
こういう画もありました。

上の画像と見事に相似形をなしています。いじめっ子は悪役然としていますが、最後の試合のシーンで折れた足を狙えと命じられると明らかに迷いを見せます。彼にはまだ良心が残っています。
本当に悪い奴は野放し?

なのに、ラルフ・マッチオがいじめっ子を倒して終わりというのはどういうことでしょう?
一番悪い奴を野放しにしたまま終わるというのは解せません。昔はこんなこと思わなかったけど、シナリオを書いたりしてたもんだから気になってしょうがない。
いじめっ子はあの悪の権化先生の「影」でしかありません。悪の「本丸」を倒さないと本当のハッピーエンドにはならない気がするんですけどねぇ。
それに、この『ベスト・キッド』はすぐれた「神話」です。ラルフ・マッチオというヒーローが、アンチヒーローを倒すのが主眼のはずです。最も悪いのがアンチヒーローなのだから、あの敵道場の先生に怒りの鉄槌を下さないと神話としても片手落ちです。
昔から変だと思っていた、ラルフ・マッチオが勝った瞬間の、いじめっ子がトロフィーを差し出して、「やったな、ダニエル。君の勝ちだ」と言う、めちゃとってつけたようなエンディング。
あれは結局、彼が「倒されるべきキャラクター」じゃないからでしょう。いや、倒されるべきキャラクターではあるけど、いわゆる「ラスボス」じゃない。ラスボスじゃないのにラスボスとして幕引きを図らされたから、ああいう中途半端なセリフしか出てこざるをえなかったということじゃないでしょうか。
ジャッキーが師匠を演じた2010年版はどうなってるんでしょうね。見てみるかな。劇場に行ったことは行ったけど寝てしまったもんで。(恥)
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