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山下達郎の音楽はもう聴かない、ライブには行かないと表明する人が続出しているとか。

ことの発端は、松尾潔という音楽プロデューサーが、ジャニー喜多川の性加害問題に言及したのが遠因となって、所属事務所からマネジメント契約の中途解消を言い渡され、その事務所を紹介してくれた山下達郎氏も会社の判断を支持したとか。

山下氏とその妻・竹内まりや氏の両氏はジャニーズ事務所への楽曲提供を行っていることから、「多くの被害者を出しているお得意様を大事にして、仲間を裏切るのか」ということで炎上しているらしい。

それはわかります。何しろ性加害は直接の被害者がいることなのでね。別に山下氏が加害者ではないが、加害者をかばっているわけで同罪と考えるのは少しも納得のいかないことじゃない。もう彼の音楽を聴かないという言葉に少しも違和感は感じません。

私が違和感を覚えるのは、3年前の山下氏の言説を聴いての「もうライブは行かない」と発言している人がいることに対してです。

まったく知りませんでしたが、コロナ禍の最初の春、最初の緊急事態宣言が出ていた頃、山下氏がラジオでこんな発言をしたとか。

「政治的な対立を一時休戦して、いかにウイルスと闘うかを、この国のみんなで、世界中のみんなで助け合って考えねばならないときです。何でも反対、何でも批判の政治的プロパガンダはお休みにしませんか。責任追及や糾弾は終息後にいくらでもすればいい」

これを自民党批判をするなというのか、なぜ無為無策の政府を批判してはならないのかと、義憤に駆られてライブに行かないようになった、今回のジャニーズ問題での言動でもっと嫌いになった、もう彼の音楽は聴かない、とまで発言している人がいます。

後半に関しては何の異議もありませんが、政府批判をするなという言説に対して、もうライブに行かないというのはあまりに過剰反応じゃないでしょうか。

3年前も今回も、「長い物には巻かれろ」的ないやな考え方が根底にある、というのはわかります。でも、明らかな被害者がいる「事件」と、政治的発言は次元が違うと思う。

そう思うのは津川雅彦さんとの思い出ゆえです。


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撮影所時代、津川さんとは『編笠十兵衛』という時代劇で3ヶ月半ほどご一緒しました。

テレビや映画で見ていたイメージと違って、ご本人はとても礼儀正しく、腰が低く、私のようなどこの馬の骨かわからない若造にもやさしくしてくださいました。だからとても尊敬していました。

下っ端だったのでお話する機会はありませんでしたが、後年、『そこまで言って委員会』などに出演した津川さんが、安倍政権を支持して、日本は戦争できる「大人の国」になるべきだ、と言っているのを聞いて、アチャーと幻滅しました。

それでもすぐに津川さんへの尊敬の念は復活し、幻滅した気持ちを滅殺してくれました。逆にいえば、「政治なんてその程度のものだ」と思うのです。

人への想い、音楽なら音楽、自分の好きなものへの想いを、たかだか政治なんてくだらないことで封印してしまうのはもったいないと思う。

繰り返しますが、今回のジャニーズ事務所を擁護する山下達郎氏の言動には私も反吐が出ますが、政治的発言で彼の音楽を嫌いになったり、ライブに行かないと宣言したりすることはとてももったいないことだと思います。

これからもこういうことは多々あるだろうから筆を執りました。妄言多謝。





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