早いものでもう4月下旬です。もう1本、4月末日から放送の『日曜の夜ぐらいは……』がありますが、とりあえずここまでの感想を例によってつらつらと綴ります。見た順です。


『推しの子』
推し活やら何やら、「推し」といえば現代社会を象徴するキーワードなので見始めたんですが、いきなり主人公が死んだと思ったら、推してたアイドルの子どもに転生するところでストップ、リタイアを決意。

もともと最近のアニメには「転生」とかそういうのがタイトルに入っている場合が多く、それだけで見る気なくすのでね。「転生」だけでなく「異世界」とかも。

一方的な偏見ですが、偏見にまみれているのが人間です。あしからず。


『あなたがしてくれなくても』
いまセックスレスの夫婦を題材にするなら、もっと従来とは違うアプローチがあるのかなと期待してたんですがね。

交尾してる虫をうらやましいと思い、夫とは一緒に雨にぬれてもセックスには至らず、挙げ句、彼はAVを見ている。そこに、もう一匹別の魅力的なオスがいて……という性的な描写や思いのオンパレードってどうなんだろう。

性的なテーマを性的じゃないアプローチで何とか料理できなかったのかな。いや、それがかなり難しいことはわかってますが、そうしてくれないと従来のセックスレスドラマと何も変わらない、というのが正直なところ。何も妙案が浮かばないのでアレですけど。


『勝利の方程式』
かつて親友の殺人容疑者・北乃きいを救ってやれず、刑務所送りにしてしまった弁護士・志田未来は、偶然にも彼女と同じ名前で「絶対に負けない弁護士」としてブログを綴っていた風間俊介と知り合う。そして、彼の助けを受け、ブライダルプランナーで会社からはめられた女性の勝訴を勝ち取る。

真実が明るみになって、その通りの判決が出るのは痛快ですが、ちょいと都合よすぎというか、なぜ風間俊介が書く台本通りにみんな喋るのか不思議。志田未来は読んで憶えてるからいいとしても。

そこのご都合主義が好きになれるかどうかじゃないでしょうか。私はあまり好きになれなかった。

風間俊介が、北乃きい事件の真相を知っていそう、というか、彼が犯人? と匂わせる描写も続きに期待をもたせるやり方としてはよかったと思いますが、私はあまり興味もてないなぁ。

やはり志田未来の顔が好きになれないからじゃないか、と思いました。じゃあ見るなよ、ってな話ですが、やはり脚本家が大きな役で出るとなると気になってね。1話でリタイア。


『シガテラ』
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ノーマークだったんですが、古谷実さんの原作と知って、慌ててティーバーで2話まで一気見。便利な時代になりましたな。

絶賛いじめられ中の主人公は、そんなことよりバイクに夢中。で、教習所で見つけた美女と「あんな子とつきあえたらいいなぁ」という願望がそのまま現実となる。

ここまでの展開でよかったのは、田島という名の彼女の友だちが「連絡してやんな」と番号を渡してくるのだけど、彼はそれを頼りに連絡しないということ。何だかんだ理屈をつけて、自力で「友だちになってください」「つきあってください」と申し込む。そこがいい。周りの助力があるから突破できるというのは現実ではたくさんありますが、フィクションではそういうのは「主人公の資格がない」ということになっちゃいますから。

マドンナをめでたく彼女にできたはいいが、いじめっ子や、一緒にいじめられてる生徒も嫉妬に狂うだろうし、どんな苦難が待っているのやら。恐ろしいような楽しみなような。観客って残酷ですね。

3話を見ての感想。

甘かった。いじめっ子や一緒にいじめられてる子が嫉妬に狂うとかそんな凡百な描写はなかった。むしろ、主人公が結構女子から人気と知ったいじめっ子が新しいいじめられっ子を探し出してきて「おまえはもう用なし」といじめ終了宣言がなされたり、かと思えば、一緒にいじめられて、あの日から不登校になってた男子は、「学校を辞める。てか、俺がいじめられてたのって、君のせいじゃない?」などと不穏なことを言う。

面白くなってきましたねぇ。美女と初キスとかうれしい描写があればあるほど、彼の身にこれから起こる不穏な出来事が暗示されてるようで戦慄してしまう。さすがは古谷実さんですね。紋切型をうっちゃる技術がすごい。


『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』
うーん、これはどうなんでしょう。

チェリーボーイの助手をいじるのがいい笑いのアクセントになってて面白かったけど、肝心の悪役・高嶋政伸とのあれやこれやがつまらなすぎ。高嶋政伸がいくら何でも下衆すぎませんかね? 悪役にはもっとエレガントであってもらいたいと思う私としては白けるばかり。

戸田菜穂を助けるのもショベルカーで強引にこじ開けるだけだし、元弁護士の探偵にしてはあまり頭を使わないんですね。

何かにつけて「昭和」「昭和」といって小馬鹿にする風潮が蔓延してて、この作品でも「昭和」というワードが何度も出てくるけど、昭和を馬鹿にするばかりなのはちょっと食傷気味。昭和を肯定する作品や人物もあるといいな。1話でリタイア。


『ラストマン ー全盲の捜査官‐』
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大泉洋は不思議な役者で、少しも主役の顔をしてないのに堂々と主役を張ってるんですよね。しかも様になってる。

ちなみに、この『ラストマン』の主役は大泉洋であって福山雅治ではありません。日本の警察を振り回す福山雅治を描いているのではなく、彼に振り回される大泉洋を描いているのですから。

さて、この『ラストマン』1話。面白いといえば面白かったような気もするけど、全盲の人間が拳銃もった人間をやっつけるところが一番痛快だったということは、まぁ『座頭市』みたいなもんですかね。

何より、目の焦点を合わせないよう芝居する福山雅治がちょっと気持ち悪かった。笑顔が変だし。

爆弾犯の正体は今風の人物かもしれないけど、特に新味がなく、製造犯と実行犯の関係もいまひとつわかりにくかった。

福山雅治は40年前の事件を調べにアメリカから日本へ来たという設定らしいけど、その40年前の事件がどんなものかという興味が湧かないのでリタイアします。


というわけで、後半戦は大凶作でした。


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