とりとめのない話その①「お父さんはプロゴルファー」
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今日の『ボクらの時代』に出演した反町隆史が、娘さんが幼い頃、自分の職業をプロゴルファーと勘違いしていた話を披露したとか。

何でも、いまでもゴルフ好きの反町は「当時はもっとハマってて、毎朝5時にゴルフバッグをもって家を出てて、それを見た娘は僕のことをプロゴルファーだと思ってたらしいですね」と語っていたとか。

実は私もなんですよ。

父親はダンロップ(正確には住友ゴム)に勤めていて、毎週日曜日になるとゴルフバッグをかついで「ゴルフに行ってくる」と出ていく。で、新聞を見ると「ダンロップゴルフトーナメント」なんて書いてあるから、「なるほど、お父さんはこれに出てるんだな」と思ってたんですよ。接待ゴルフなんて幼稚園児が知るはずもないので、完全にそう思ってました。

もう少し大きくなってプロゴルファーじゃないと判明したときに、自分の誤解を打ち明けると、家族じゅうからバカにされて笑われましたよ。


とりとめのない話その②「お父さんとパパ」
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上の話にははっきりウソがあります。

園児の頃は、「お父さん」なんて呼び方はしてなかった。「パパ」と呼んでました。兄二人もそうで、なぜか三人とも小学校を卒業するまでは「パパ」「ママ」と呼んでたのに、中学に入ると同時に「お父さん」「お母さん」になった。

当然、一番上が最も早く「お父さん」「お母さん」になるので、真ん中と私に「おまえらいつまでパパママなんて言ってるんや」とか偉そうに言ってくるんですよ。でも、そのときはまだ真ん中もパパママと呼んでいたので、私たちが多数派で勢力が強かったんですが、真ん中も中学に入ってお父さんお母さんと呼ぶようになると豹変して、一番上と同盟を組んで「おまえ、いつまでパパママなんて言ってるのか」と偉そうに言ってくるんですよ。もう完全に少数派になってしまって、しかもどうしてもパパママと言ってるのが何となく子どもみたいで恥ずかしい思いもあって、委縮してしまった。かといって、小学校のうちはパパママで通す、となぜか強く思ってましたね。

そんな私も中学に入るとお父さんお母さんと呼ぶようになり、同級生が自分の親をパパママと呼んでるとわかると「おまえまだ~」と偉そうに言い出すのだから、人間というのはよくわからないというか面白いというか。なぜみんな中学入学と同時に豹変したのだろう?

そんなことより、この話の肝は「多数派」「少数派」でして。

よく昔の思い出話に花が咲くと、長兄が末っ子の私に味方して同盟を組み、真ん中と戦ったりしてたんですよね。家の中で紙風船でバレーボールなんかもよくしたけど、よくそんなチームの組み方してた。

でも、パパママの件に関しては、真ん中は常に多数派じゃないですか。下についても上についても多数派。そういえば……

私は肉、魚、野菜の中では野菜が一番好きで、よくファミレスのサラダバーなんかでサラダだけバリバリ食ってたんですが、よく同級生から「なぜ野菜が好きなのか」「なぜ好き嫌いがないのか」と訊かれました。

これはもう次兄のおかげなんですよ。

どういうことかというと、誰でも小さいときはピーマンをはじめ野菜が大嫌いでしょ。でも長じるにつれて食べれるようになる。長兄が先に何でも食べれるようになって、次兄もそれに続いて、私だけがピーマンを残してたりすると、「おまえ、まだピーマンも食べれないのか」と偉そうに言ってくるんですよ。それがいやでいやで、意地でも言わせまいと思って無理やり食べてるうちにうまくなってきたんですよね。口から」入ってくるものに体が合わせようとしたんでしょうね。

それはそうと、これだって、次兄は常に多数派でしょ。自分がピーマンを食べれなかったら私について長兄とやり合う。自分が食べれるようになったら長兄について私とやり合うというふうに。

どうしても一番上と末っ子が同盟を組むから真ん中は損。なんてことをよく母親が言ってたので真に受けてたけど、確かにそういう一面もあるとはいえ、真ん中ならではの得もあったのだな、と50を超えて初めて気づいたのでありました。


とりとめのない話その③ネギ

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野菜が好きといえば、野菜の中ではネギが一番好きでして。という話をすると、じゃあ、おまえの一番好きな食材はネギなんだな。だって野菜が一番好きなんだし。と言われるんですけど、必ずしもそうとはかぎらない。

野菜が一番好きというのは、野菜の平均点が一番高いということですから。

例えば、肉。いろんな肉があるけど、仮にこの世に牛、豚、鶏しかいないとして、それぞれの肉が好きな度合いを点数化して、

牛肉=80点
豚肉=70点
鶏肉=30点

とします。ほんとは鶏肉はもっと好きだけど、例えばです。この場合、肉の平均点は60点ですよね。

で、野菜はとても数が多いので、仮にすべての野菜を70点にしましょうか。でもそれだとネギが一番好きということにならないから、ネギだけ75点、ジャガイモを65点、あとはすべて70点にすると、平均点は70点です。

すると、ジャンルとしては肉=60点より、野菜=70点のほうが高い得点ですが、ひとつひとつの食材の得点を見ると、牛肉=80点が最も高いということになります。

「野菜が一番好き」かつ「野菜の中でネギが一番好き」、ゆえに「食材の中でネギが一番好き」とはかぎらないので注意が必要です。


とりとめのない話その④「平均点」
平均点といえば、中島らもさんがいい例を挙げてました。

あるクラスで全員が50点を取ったら平均点は当然50点。別のクラスではちょうど半数が100点を取り、残りの半数が0点だった。これも平均点は50点。でも、同じ平均点でも、その内実はまったく違う。平均点にごまかされてはダメだ、と。ほんと、らもさんから学んだことは多いなぁ。いまの私を形成しているのは中島らもだといっても過言じゃない。

それはそうと、専門学校時代に林海象監督が特別講師として来たとき、「俺は一年に一回しか映画館に行かない人に向けて映画を作ってるんだ」と言ってて、らもさんに感化されていた私はそれはおかしいだろうと思いました。


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これはいつのデータか知りませんが、映画館に1年に何回行くかというアンケート結果です。1回しか行かないという人は4分の1しかしません。

現在というか、コロナ禍になってからだと観客は激減してるはずなので、2019年の観客動員数を調べてみると、2億人弱ということで、一人当たり1.5回映画館に言ってる計算になるんですが、私が京都の専門学校に行ってた時分は1人1回程度でした。

いずれにしても、1人平均1回という抽象的な数値から「1年に1回だけ映画館に行く人」という具体的な人間像を想定するのは間違いです。

例えば、いまのデータは知らないけど、京都時代のアメリカの人口はだいたい2億5000万くらいで、日本の2倍ほど。で、観客動員数が日本の8倍くらいあったと記憶してます。おそらくアメリカ全土で10億人くらい。

人口が2倍で観客動員数が8倍ということは、一人当たり4回見に行ってるわけですね。

抽象的な数値同士を比較するのには意味があるけど、抽象的な数値から具体的な人間を想定するのはおかしいです。

上の円グラフでは国民の4分の1が1年に1回しか映画館に行かない人になってるけど、可能性としては、そういう人はごくごく少数派で、私みたいにアホみたいに見に行ってる人が平均値を底上げしてることだってあるわけだし。コロナ禍以降はそういう傾向が強まってるんじゃないですかね?


というわけで、とりとめのない話を書いていたはずが、映画の話に落ち着いてしまいました。ことほどさように私は映画に憑りつかれているのだなぁと思った、春のように暖かい真冬の夕暮れでした。





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