早くも後半戦の感想です。例によって、見た順に感想を記します。


『もういっぽん!』
うーん、、、乗れなかった。以上です。


『大雪海のカイナ』
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渋谷時代の恩師、村井さだゆき先生のシリーズ構成最新作。共作としてクレジットされている山田哲弥さんは私の兄弟子に当たります。

さて、この『大雪海のカイナ』(オオユキウミのカイナと読むそう)は、村井さんがいつも手掛けているファンタジー色満載のアニメなんですけど、うーん、私はこういうの好きになれないんですよ。『シドニアの騎士』とかも早々に脱落しちゃったし。

同じ村井さんでも『夏色キセキ』なんかは大好きなんですけどね。あれは講義でも裏話や苦労話をたくさん聴けてよかった。もう何度も書いてるけど、私は劇場映画は別にして、テレビドラマやテレビアニメには『夏色キセキ』的なのを求めてるんでね。

じゃあ見るな? いやいや、そこは村井先生の新作ですから。とりあえず2話は見ますよ。


『火狩りの王』
押井守脚本ということで見始めたんですが、うーん、これも『大雪海のカイナ』と同じで、ファンタジー色が強くてあまり乗れなかったです。


『パパとなっちゃんのお弁当』
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何ということか。大河ドラマ『どうする家康』に『Get Ready!』だけでなく、こんなミニドラマにも當真あみが出ている。

主役はあくまでも藤木直人なのだけど邪魔。ずっと當真あみだけを映してほしい。藤木直人も結構好きな役者なんですけどね。平泉成も市毛良枝も好きです。でもこの際そんなことはどうでもよろしい。

當真あみ以外は人間も背景もすべてモザイク処理して声だけでいいんじゃないでしょうか。それぐらいこの子のオーラはすごいものがある。今年から来年にかけての大ブレイクは必至でしょう。

『ZIP!』なんて普段まったく見ないのだけど、この子が出てると知って録画して見ちゃいましたよ。いまCMに映画の声優にドラマにと、乗りに乗ってるのに地に足がついてる感じで、ほんとに16歳なんだろうかと、自分が16歳だったときとつい比較してしまう。

内容も、私がテレビドラマに求めている日常の中の非日常系のホームドラマで、なかなかいいんじゃないでしょうか。実話を基にしてるとか別にどうでもいいけど。いまだにいますよね、「実話だから面白い」「実話だから迫力がある」とか平気で言う人。そんなの、映像作品として脚色してる時点ですべてフィクションじゃないですか。映画の専門学校でもそういう人たくさんいました。

だから、第2話で最初のお弁当が走って追いかけたためにグチャグチャになった、という結末なのに、そのあとで実際の最初のお弁当(結構ちゃんとしてる)を映すのはいかがなものかと思いました。本当はどうだったかなんてどうでもいい。フィクションとして面白いかどうかが問題じゃないの? あれは白けた。


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それにつけても、こんな子が自分の娘だったら、もう門限3時ですね。家から絶対出さない。外にはバイキンがうようよしてますから。私みたいなバイキンがね。(うっせーわ!)


『罠の戦争』
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そういえば草彅剛の大ファンが前の職場にいたなぁ、なんてことを思い出しながらも、見始めた動機は井川遥が出てるから。同じ職場に、「あたし女だけど、井川遥にはクラクラする」と言ってた人がいた。とんでもなく裏表の激しい人だったけど、あの言葉はウソじゃないんだろうな。

それはともかく、『罠の戦争』は主役の草彅が少しも凄腕の大臣秘書官に見えず、何度も停止ボタンを押してリタイアしようリタイアしようと思いながらも何とか思いとどまり、最終的にこれは完走できそうだと思いました。

『銭の戦争』『嘘の戦争』につぐ「戦争」シリーズ3作目らしいですが、前2作は未見です。だから比較なんてまったくできないけど、この『罠の戦争』は物語がめっぽう面白い。草彅の眠そうな目、茫洋とした顔はどうにかしてほしいけど、権力者から罠にはめられ、子どもを傷つけられた主人公がどう反撃するのか、とても楽しみ。


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それにしても、井川遥のいまにも泣き崩れそうな顔を見てるだけでまったく退屈しない。守ってあげたくなる。それと宮澤エマもいいですよね。

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この凛とした面構えが素晴らしい。

小野花梨を含めた女たちが、「セクハラもパワハラも当たり前」の時代錯誤の永田町を舞台に、既得権益を守ろうとする男どもにどのように天誅を下すのか見もの。って、これ、私がはまった少女マンガ『深夜のダメ恋図鑑』とまったく同じじゃないですか。なるほど、時代はこういうものを求めてるわけですな。

でも、それだと草彅いらないですよね。テーマからいっても、やはり女を主役にすべき物語では?


『星降る夜に』
これは吉高由里子目当てで見始めました。あの子はセックスアピールに乏しいのに、なぜか魅力を感じる。なぜだろう? おそらく、あの不思議ちゃん的なところが魅力の源泉だと思われますが、それが当たってるかどうかはよくわからない。

って、そんなことはどうでもよく、この『星降る夜に』は回想シーンが多くて辟易しました。産婦人科医の吉高由里子が、母体は救ったけど赤ちゃんを死なせてしまって訴訟を起こされ、大病院を辞めたとか、母親の岸本加世子とのあれやこれやも全部回想で、ってそれはどうなんだろう。

基本的に回想シーンは禁じ手じゃないでしょうか。映像が扱えるのは「現在」だけです。高橋洋さんは「映像に時間は流れていない。過去と未来はもちろん、現在すらない」と言っていて、どちらが正しいのかまったくわからないけど、「現在」かどうかはともかく、映像に「過去」と「未来」はない、という点は一致しています。いま見ている映像が「過去」かどうかは文脈に依存していますよね? 遺影として登場した岸本加世子が生きて喋っていたら、そのシーンは「過去」つまり回想シーンと断定できる。

でも、そういうのって「説明」に終わることが多いじゃないですか。私が書いてたシナリオもそういうの多くて、よくプロの脚本家から指摘されました。だから「禁じ手」にして、回想シーンを書いたほうが面白くなると確信できたとき以外は書かないと自分に縛りをかけました。で、その縛りをかけて以降、一度も回想シーンは書かなかった。書けなかった。つまり、回想シーンを書いたほうが面白くなる場合なんてごくごくたまにしかないのです。

この『星降る夜に』はあまりに安易に回想シーンを書きすぎと感じました。1話でリタイア。


『夕暮れに、手をつなぐ』
これはもちろん広瀬すず目当て(⇐そんなんばっか)。北川悦吏子がどうのとか別にどうでもいい。でも、もう20年近く前の『オレンジデイズ』は面白かったな。

しかし、これは乗れなかった。

例えば、『タイタニック』なら、ケイト・ウィンスレット演じる女の子が主役ですよね? あの子が年老いてお婆さんになった現在から若かりし頃を回想するんだから、女の子が主役なのは明らかです。ケイト・ウィンスレットの視点からディカプリオが描写されるわけで、ディカプリオはあくまで脇役です。

この『夕暮れに、手をつなぐ』もそういうふうに、主役の永瀬廉の視点から、がさつで人の目を気にしないヒロイン(⇐このキャラ設定自体が古いと思うけど)を描写すればよかったんじゃないでしょうか。

最初のイヤホンを介した出逢い方はすごくよかったと思うんですが、あのシーンは永瀬視点で広瀬すずを描いてましたよね。でも次は広瀬すずの視点で高速バスで大口あけて寝ていて口に蜘蛛のおもちゃを入れられてのけぞるシーンがあり、かと思えば、噴水の近くで座っていた永瀬廉のすぐ横に広瀬すずが来て顔を洗うなど、視点があっちへ行ったりこっちへ戻ったり、いったいどっちから描きたいの? とイライラしました。

視点はあまり動かさないほうがいいと思う。散漫になってしまうし、視聴者がどっちに乗って見ればいいのか混乱してしまうので。それはつまり、どっちが主役かわからないということです。

それとカメラ。

広瀬すずが婚約者に振られて自暴自棄になったとき、カメラがやたら揺れますが、あんなのいらない。彼女の心が揺れているのは話の流れでよくわかっているので、そこでカメラまで揺らしてしまうのは過剰演出です。ドラマが充実してたらカメラを不必要に動かさなくても人物の心の揺れは伝わります。

それに、あまりに偶然が多すぎる。もうついていけないのでリタイアします。


というわけで、後半戦は『パパとなっちゃんのお弁当』と『罠の戦争』は完走を確信。前半戦で生き残っていた3本のうち、『ブラッシュアップライフ』はどんどん面白くなるうえに、1話でどうかと思った『ヒヤマケンタロウの妊娠』が2話でエンジン全開になったのでこれも完走を確信。『久保さんは僕(モブ)を許さない』は微妙だけど、いまのところ3話以降も見るつもり。

1クールで完走作品が3本もあれば上々なので、今期は大豊作と言っていいんじゃないでしょうか。

何といっても當真あみですよ、當真あみ。あの子は絶対に大ブレイクします。予言します。もし予言が外れたらこの私が責任を取って頭を丸めます。(もう丸めてるわ!)

でも、そう言いたくなるくらいの逸材ですね。末恐ろしい。


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