昨日、大阪ガスから通知が来ました。

原油高によるコスト高騰により、企業努力ではどうしようもないところまで来ている、値上げせざるをえない、ついては、5月に基本価格(正式名称忘れた)を改定する。一気に上げるのではなく、段階的に上げると。

それはいいのだけど、最終的に半年後の5月と今月の基本価格を比較すると、何と54%も増えるとのこと!

2000円が3000円ですよ。3000円が4500円ですよ。毎月ですよ。たまらんわ。

ガスだけでなく電気も値上がりしてるし、もちろん、食品も。いろんなものが値上がり値上がり。


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出来合いのお惣菜を買ってたときも値上がりを実感してたけど、今月から具だくさんのお味噌汁を作るようになって、八百屋で野菜を見たり、スーパーで豆腐やいろんな食材の値段を見ることが多くなりましたが、何か真綿で首を絞められてるかのようにちょっとずつちょっとずつ値段が上がってますよね。物価の優等生と言われいた卵ですら値上がりしています。

大阪ガスが言うように「一企業の努力ではどうしようもない」というのはウソではないでしょう。問題はただでさえ生活が苦しいときに増税するとか血迷い事を言ってる岸田某ですよね。政府の無能無策ぶりというより愚策ばかり連打する頭の悪さに、もうこの国はダメなのかな、とあきらめムード。

そんなことより、「企業努力だけではどうしようもないから値上げ」ということは、値上げせずともすむように何とか努力していたわけで、それはちょっと前から言われている「日本人は値上げを嫌うから」というのが理由ですよね。


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この先生の話によると、90年代半ばまで物価が上がるのは当然のことだった。資本主義経済は物価が上がることを前提としているわけですしね。

でも95年ごろから値段は上がらず、例えばポテトチップスの中身が減って値段は据え置くという「実質値上げ」という手法がまかり通ってきた。

そういう手法がまかり通るというのは、値上げは許さないけど実質値上げは許すってことですよね。実質的には値段は上がっているのに、これはどういうわけでしょうか。グラム当たりの値段は上がってるんですよ。でも商品そのものの値段、つまり見かけ上の値段はそのまま。それならかまわないと大半の日本人は思っている。

ここからは私の仮説というか、ほとんど妄想ですけど、「値上げは嫌うくせに実質値上げなら許容する」、そういう特殊な心性に大きな影響を与えているのは、ひと昔前から大流行の「アンチエイジング」だと思います。


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私も歳を食ってきて、春の健康診断でだいぶ重い脂肪肝になっていました。確かに食べすぎの傾向はあったけど、あの程度なら昔はコレステロール値が異常に上がったり、ましてや脂肪肝の状態が悪化して肝硬変の検査をしないといけなくなるとか、そんなことはなかったはずなんですよ。

どうしても歳をとると筋肉の量が減ってくる。基礎代謝が減る。同じ量の食事をとっていてもあまったカロリーが脂肪として蓄積される。それで脂肪肝が悪化した。ということだと思うんですよね。体の内部はどんどん老化していることに気づいていなかった。

アンチエイジングって「見た目の若さ」を重視するじゃないですか。シワやたるみがこんなに取れたとか、「とても70歳には見えない!」とか。

でも、いくら外面を若くしたところで、体の内側はどんどん老化していってるんですよね。

内側から若返ろうと、アンチエイジングにいい食べ物なんかを紹介するサイトもあるようですが、いくらそういうものを食べたところで老化は止められません。

歳相応に見られることを極端に嫌がり、40代なのに「10代みたいですね」と言われると異常に喜ぶ。同じことを20代後半の北欧女性に言ったら「あんた何を言うの!」と激怒してるテレビ番組を見たことがあります。日本人だけが見た目の若さを異常に尊ぶのです。

見た目の年齢は、商品でいえば、物価。
体の内部の本当の年齢は、商品の量あたりの物価、つまり実質の物価。

ということになります。

いまの女性は(男でも)年齢を訊かれるのを異常に嫌がります。私が子どもの頃はそれほど失礼なことじゃなかったと思う。いまでは歳を訊かない・言わないのは当たり前になりました。それはつまり歳を取らないってことですよね、建て前の上では。

実際には誕生日が来ると歳を取るし、それでなくとも一日一日体の内部では細胞がどんどんガン化し、白血球がそれを抑え、ということが繰り返されている。

我々日本人はそういう体の内部の変化を「なかったこと」にして久しい。

企業努力ではどうしようもないところまで来てしまったから値上げせざるをえない。これを年齢に当てはめると、いくらアンチエイジングをしてもどうしようもないところまで来てしまうということ。

それはつまり、「死」です。

緩やかに老化し、緩やかに死んでいくのではなく、一気に老化し、一気に死んでいく。

最近、有名人で、ついこないだまで元気だったのに突然……なんてケースが多いのは、そういう背景があるからではないか。

物価だって、昔のようにちょっとずつちょっとずつ値上がりしていれば、今回の値上げにもそれほど困惑することはなかったのではないでしょうか。

歳相応を心がけていきたいもんです。




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