もうすぐ新作の『初恋の悪魔』の放送が始まる坂元裕二さんから教わった「キャラクター設定の際に絶対にやってはいけないこと」を開陳いたします。


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私が通っていた専門学校で坂元さんは特別講師として2週間に1回のペースで授業をしてくださったのですが、主人公の履歴書を書く、という課題がありました。

履歴書というのは、わからない人のために説明すると、就職の際に書く履歴書とはまったく別物で、その人物がどういう人生を歩んできたかをかなり細かく書いたものです。普通の履歴書のように項目別に箇条書きしたりせず、文章で書きます。

私が最初教えを請うた『大魔神』『ああ独身(チョンガー)』などの吉田哲郎先生は、「その人物のおじいさんおばあさんから初めて、両親の人生を考え、それから初めてその人物の履歴を考えると深みが増す」とおっしゃっていましたが、私はさすがにそれをすると7人もの人生を考えないといけなくなるので、両親からにしておきました。怠惰な私にはそれでもしんどかったですが。

坂元裕二さんの課題では、どこからという指定はありませんでした。祖父祖母からでもいいし、両親からでもいいし、主人公からだけでもいい。

私は例によって両親から書きましたが、履歴書のほかに、キャラクター設定表をつけねばならず、それは、その人物の核になるもの、すなわち、年齢、職業、趣味、そして最も大事な性格などを簡単に記したものです。

坂本さんは私たちの履歴書はそれなりに面白く読んだそうですが、ある生徒が記した主人公の「性格」にはかなり厳しいことを言いました。


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その生徒が記した主人公の性格とは「神経質」というものでした。

これが決定的にダメだと坂本さんはダメ出ししました。

なぜか。

「人間というのはみんな神経質なんですよ。え、ぜんぜんそういうタイプじゃない人を見たことあるけど? と思う人もいるかもしれないけど、大多数の人とは違う方向に神経質な人もいるんです。例えば、床に落ちたものは食べずに捨てる人がほとんどだけど、平気で食べる人もいる。そういう人を無神経だ、神経質とはほど遠い人だと言ったりする。でも、そういう人が例えば他人の些細な言葉をものすごく気にして胃潰瘍になったりする。壁にかけた額縁の絵のほんの少しの傾きを我慢できない人が、映画館でたまに目にするスマホの明かりには無頓着だったりする(⇐これは私のことですが)」

「だから、裏を返せば、どういう方向にどれだけの大きさで神経質か。それが『キャラクター』なんです」


なるほど! と膝を打ちました。

脚本家を目指してらっしゃる方はどうぞ参考にしてください。


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脚本家 坂元裕二 (-)
ギャンビット
2018-10-11


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