昨日の『情報7days ニュースキャスター』で、赤木かん子さんという図書館プロデューサーが紹介されていました。

何でも、小学生の読書量が30年前の3分の1に減っている活字離れの昨今において、お客さんを70倍に増やした実績もあるとか。
レイアウトや本の配置には、なるほどと膝を打つことが多かったです。そして、「そんなバカな!」と憤ったことも……
まずは、なるほどと思った点からご紹介しましょう。
①入り口からの動線

画像のように、入り口から見て奥のほうまで動線が通っていると、人は入りたくなるらしいんですね。
逆に、↓こんなふう↓だと…

本棚が通せんぼしている状態。人間が手を広げて入ってくるなと言ってるようで、こういうボディランゲージはダメだそうです。わかりやすいですね。
②分類のシールを二つ
図書館の本って「M074」とか分類番号が貼ってあるじゃないですか。あれは司書さんにとってのものだから必要ではあるけど、利用者のためのものじゃない。図書館利用者、特に子どもから出るクレームでダントツに多いのが「どこに何の本があるかわからない」だそうです。
だから、分類のシールをもうひとつ貼る。動物に関する本なら犬や猫のシールとか、植物の本なら花のシールとか。少しでも子どもに興味をもってもらう地道な工夫。
確かに、昔の図書館って「あんたらが読みたい本は仕入れた。あとは勝手に借りていってくれ」みたいな感じでしたからね。大人でもそう感じるんだから子どもには敷居が高いんでしょう。
③無理に本を詰めこまない。

本をどんどん仕入れていると、どうしても天文学の本棚の横が空くから、じゃあそこに生物学の本をねじ込もう、という発想になりがちですが、そうしてしまうと、その棚が何の棚かわからなくなってしまう。
だから「ひとつの本棚にひとつのジャンル」が赤木さんの鉄則だそうです。空いたスペースがあれば、画像のように、お薦めの本を表紙が見えるように横に置いて手に取りやすくする。なるほど! 私は図書館で働いたことはなく、もっぱら借りるだけですが、そういうふうに本が配置されていたら、思いがけない新しい本や著者との出逢いがあるかもしれないし、何より探しやすい。
そして目からうろこの配置方法がもうひとつ!
④上のものは上に、下のものは下に
これはどういうことかというと、天文学は夜空を見上げるものだから、足元にあるのはおかしい。だから必ず一番上の棚に置く。
一方、草花や魚は下の棚に置く。なるほど、これはすごいと思いましたね。星空に関する本なのにしゃがまないと取れないとなると、体が無意識に拒否反応を示してしまいそうです。
さて、以下は私からひとつだけクレームです。

赤木さんの本の配置哲学に通じるものですが、「本を間引くことが大切」というもの。
いや、その考え方自体は間違っていないと思います。いまさら舛添要一が政治学者時代に書いた『自民党が野党になる日』なんて置いててもしょうがない。そんな本は間引いて、空いたスペースは上述のように活用すればいい。
しかし、赤木さんはこう言っていました。
「3年前にブラックホールが撮影されたでしょう? ブラックホールは本当にあったと証明された。それまでの本はブラックホールがあるかないかについて書かれていた。だからそういう本はすべて捨てます」
いやいやいやいや、ちょっと待って。
だとすれば、哲学書なんてずいぶん「古い」ことが書かれてますよ。
古代ギリシア哲学の四元素、つまり、この世は、火、空気、水、土の四つの元素から成る、なんて古いも何も事実と異なりますよね。
『古事記』『ギリシア神話』などの神話や伝説も「古いから捨てる」んですか? 違いますよね?
神話で語られていることはすべて「嘘」です。でも、嘘の中にこそ「真実」がある。古代の人々がこの世界をどう見ていたかを知ることができる。
それと同じように、「ブラックホールはない」と主張した本にだって、物理学の本質や楽しさ、著者の情熱は詰まっているはずだし、間違った情報が書かれているのをわかったうえで読むと、なぜこの著者は間違ったのかを知ることもできる。
赤木さんは「正しいことにしか意味がない」と思っているのでしょうか? だとしたら、数万冊の本を読破したと番組で紹介されてましたが、いったいそれだけの本を読んで何を勉強していたの? と言いたくなります。
「この本は間違った情報が書かれているけど宇宙論が好きな人は読み始めたら止まりません」などと書いたポップを貼れば、手に取る人はいると思います。
それを全部捨てるなんて「もったいない」! 何冊かは捨ててもいいけど、捨てるべきでない本もあるはずです。そういう本は残すべきです。まさか読まずに捨ててる? それはちょっと……


何でも、小学生の読書量が30年前の3分の1に減っている活字離れの昨今において、お客さんを70倍に増やした実績もあるとか。
レイアウトや本の配置には、なるほどと膝を打つことが多かったです。そして、「そんなバカな!」と憤ったことも……
まずは、なるほどと思った点からご紹介しましょう。
①入り口からの動線

画像のように、入り口から見て奥のほうまで動線が通っていると、人は入りたくなるらしいんですね。
逆に、↓こんなふう↓だと…

本棚が通せんぼしている状態。人間が手を広げて入ってくるなと言ってるようで、こういうボディランゲージはダメだそうです。わかりやすいですね。
②分類のシールを二つ
図書館の本って「M074」とか分類番号が貼ってあるじゃないですか。あれは司書さんにとってのものだから必要ではあるけど、利用者のためのものじゃない。図書館利用者、特に子どもから出るクレームでダントツに多いのが「どこに何の本があるかわからない」だそうです。
だから、分類のシールをもうひとつ貼る。動物に関する本なら犬や猫のシールとか、植物の本なら花のシールとか。少しでも子どもに興味をもってもらう地道な工夫。
確かに、昔の図書館って「あんたらが読みたい本は仕入れた。あとは勝手に借りていってくれ」みたいな感じでしたからね。大人でもそう感じるんだから子どもには敷居が高いんでしょう。
③無理に本を詰めこまない。

本をどんどん仕入れていると、どうしても天文学の本棚の横が空くから、じゃあそこに生物学の本をねじ込もう、という発想になりがちですが、そうしてしまうと、その棚が何の棚かわからなくなってしまう。
だから「ひとつの本棚にひとつのジャンル」が赤木さんの鉄則だそうです。空いたスペースがあれば、画像のように、お薦めの本を表紙が見えるように横に置いて手に取りやすくする。なるほど! 私は図書館で働いたことはなく、もっぱら借りるだけですが、そういうふうに本が配置されていたら、思いがけない新しい本や著者との出逢いがあるかもしれないし、何より探しやすい。
そして目からうろこの配置方法がもうひとつ!
④上のものは上に、下のものは下に
これはどういうことかというと、天文学は夜空を見上げるものだから、足元にあるのはおかしい。だから必ず一番上の棚に置く。
一方、草花や魚は下の棚に置く。なるほど、これはすごいと思いましたね。星空に関する本なのにしゃがまないと取れないとなると、体が無意識に拒否反応を示してしまいそうです。
さて、以下は私からひとつだけクレームです。

赤木さんの本の配置哲学に通じるものですが、「本を間引くことが大切」というもの。
いや、その考え方自体は間違っていないと思います。いまさら舛添要一が政治学者時代に書いた『自民党が野党になる日』なんて置いててもしょうがない。そんな本は間引いて、空いたスペースは上述のように活用すればいい。
しかし、赤木さんはこう言っていました。
「3年前にブラックホールが撮影されたでしょう? ブラックホールは本当にあったと証明された。それまでの本はブラックホールがあるかないかについて書かれていた。だからそういう本はすべて捨てます」
いやいやいやいや、ちょっと待って。
だとすれば、哲学書なんてずいぶん「古い」ことが書かれてますよ。
古代ギリシア哲学の四元素、つまり、この世は、火、空気、水、土の四つの元素から成る、なんて古いも何も事実と異なりますよね。
『古事記』『ギリシア神話』などの神話や伝説も「古いから捨てる」んですか? 違いますよね?
神話で語られていることはすべて「嘘」です。でも、嘘の中にこそ「真実」がある。古代の人々がこの世界をどう見ていたかを知ることができる。
それと同じように、「ブラックホールはない」と主張した本にだって、物理学の本質や楽しさ、著者の情熱は詰まっているはずだし、間違った情報が書かれているのをわかったうえで読むと、なぜこの著者は間違ったのかを知ることもできる。
赤木さんは「正しいことにしか意味がない」と思っているのでしょうか? だとしたら、数万冊の本を読破したと番組で紹介されてましたが、いったいそれだけの本を読んで何を勉強していたの? と言いたくなります。
「この本は間違った情報が書かれているけど宇宙論が好きな人は読み始めたら止まりません」などと書いたポップを貼れば、手に取る人はいると思います。
それを全部捨てるなんて「もったいない」! 何冊かは捨ててもいいけど、捨てるべきでない本もあるはずです。そういう本は残すべきです。まさか読まずに捨ててる? それはちょっと……


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