話題の36年ぶりの続編映画『トップガン/マーヴェリック』を見てきました。

前作同様、物語も演出もたいしたことなくて眠くなりましたが、いくつか胸アツな点があったのも事実。それについて書きましょう。


『トップガン/マーヴェリック』(2022、アメリカ)
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製作:ジェリー・ブラッカイマー
キャラクター原案:ジム・キャッシュ&ジャック・エップスJr
脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー&クリストファー・マッカリー
監督:ジョゼフ・コシンスキー
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ヴァル・キルマー


トニー・スコット
エンディング・クレジットに「In Memory of TONY SCOTT」と献辞が出たとき、涙腺が潤みました。あの衝撃の自殺からもう10年になるんですね。いまでも「嘘だと言ってよ、トニー!」と叫び出しそうになるときがありますが、この映画の前作はトニー・スコット監督作品。つい先日、再見しましたが、まだ覚醒前なのでやっぱりつまらなかった。世間的には1993年の『トゥルー・ロマンス』で覚醒したと言われてますが、私にとっては次の『クリムゾン・タイド』が覚醒第一作ですね。


ドン・シンプソン
もっとグッときたのは、オープニング・クレジットに1996年に亡くなったドン・シンプソンの名前を見たときですね。もちろん故人なので製作に関わっているわけではありません。「A DON SIMPSON/JERRY BRUCKHEIMER PRODUCTION」と出るんですよね。

よく、アメリカ映画で「A 何々 PRODUCTION」の何々に当たるのはプロデューサーの名前だと思っている人がいますが、あれは製作会社の名前です。

クリント・イーストウッド製作作品なら、彼の製作会社はマルパソ・プロダクションなので「A MALPASO PRODUCTION」と出ますよね。「A CLINT EASTWOOD PRODUCTION」とは出ません。

では、なぜドン・シンプソン亡きあと、ジェリー・ブラッカイマー製作作品に「A JERRY BRUCKHEIMER PRODUCTION」と出るかというと、ハリウッドでは、ジェリー・ブラッカイマーのような独立系プロデューサーが製作する場合、その映画一本のための会社を設立するんですね。映画が完成したら畳んでしまう。だからジェリー・ブラッカイマーは映画を作るたびに自分の名前を冠した製作会社を興して映画製作しているわけです。マルパソのような恒常的に映画を作る会社とは違う。

で、『トップガン』の続編を作るにあたって、ジェリー・ブラッカイマーはかつての盟友と一緒に映画を作っていたときと同じ名前の製作会社を興して『トップガン/マーヴェリック』を作ったのでした。まったく知らなかったので胸が熱くなりました。もしかしたら、『許されざる者』の「DEDICATED TO SERGIO & DON」より感動したかも。

とはいえ、はっきり言って私はジェリー・ブラッカイマーの映画が好きじゃない。この映画でももっとカメラを引いて、フルショットで役者の芝居を見せる場面があってしかるべきなのに(特にジェニファー・コネリーの店の場面とか)顔のクロースアップを矢継ぎ早の編集で見せる手法を崩さない。

芝山幹郎さんなどは「末梢神経を刺激する手法」といつも揶揄してますが、まったくその通りだと思います。監督がフルショットの落ち着いた画を撮っても編集権をもっているジェリー・ブラッカイマーがカットしてしまうのでしょうね。何ともやり切れなくなります。


ジェニファー・コネリー
さて、顔のクロースアップばかりで辟易すると言ったばかりですが、この映画はいい顔ばかり集めてるのでまったく飽きさせません。

ヴァル・キルマー、エド・ハリスも素晴らしいですが、マイルズ・テラーをはじめとした若手トップガン訓練生もいい顔ばかり集めてます。


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しかし、一番魅力的なのは、ジェニファー・コネリーでした。


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私はかねてより、映画の中で一番魅力的に見える女性は、2008年のミッキー・ローク主演『レスラー』のマリサ・トメイだと思ってますが、これからは『トップガン/マーヴェリック』のジェニファー・コネリーも同率1位で名前を挙げねばなりません。

前作にちょい役で出てた人なのかと思いましたが、違うんですね。ペニーという役名の人は前作にはいないようですし。じゃあ誰? 最後までトム・クルーズとの関係がよくわかりませんでしたが、いいんです! そんなことは。『レスラー』のマリサ・トメイは44歳。今作のジェニファー・コネリーは52歳(撮影時はもう少し若いのかな)のはずですが、いやいや、年齢に関係なくいい勝負ですよ。

主役のトム・クルーズがキャリアワーストと言っていいくらい精彩も華もなかったのでがっかりでしたが、ジェニファー・コネリーが素晴らしかったので見に行ってよかったと思いました。もちろん、エド・ハリスやヴァル・キルマーもね。

今作が予想以上の大ヒットなので3作目の話が出てるらしいですが、それはやめていただきたいとも思う梅雨直前の雨空でした。





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