前半戦は『シジュウカラ』『しもべえ』『神木隆之介の撮休』が面白く、大豊作を予感させると言いましたが、その予感はハズレではなかったようです。

では、後半戦行きましょう。例によって見始めた順です。


『ミステリと言う勿れ』
これは初回は「キターーー!」という感じでしたが、第2エピソードのバスジャック事件で化けの皮がはがれてきたと感じました。

遠藤憲一さんを追いつめた第1話は安楽椅子探偵ものとして屹立していましたが、バスジャック事件はいろんな穴がありますよね。

謎解きがくだらないというのもあるけど、まず、白石麻衣が終点まで乗ったときの乗客を集めるためにバスを偽装して同じ乗客を集めたというけれど、どうやってあのときの客だけを乗せることができたんでしょうか? 他のまったく関係ない乗客を排除することは不可能でしょうし(実際、菅田将暉という無関係の人間が乗ってきた)狙いの乗客全員があの日も乗るとはかぎらない。

それから、警察は何のためにあの屋敷へ突入してきたんでしょう? 強引に入ってきたからには捜索令状は取っているはずですが、それなら入ってきたあと、犯人や主人公の言葉をただ突っ立って聞いてるだけなんてマヌケすぎませんかね? バスジャックの事実を知っているならとっとと任意同行で引っ張っていこうとしなきゃ。


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私は第1話の警察署の取調室のセットがやたら豪華に作られていたし、安楽椅子探偵ものとして完璧だったので、全話この取調室がメイン舞台なんだとばかり思っていました。

でも、いきなり次のバスジャック事件で今度は豪華な屋敷内のセット。衣裳も肖像画も手間暇かかってそうだし、美術にかなりの予算を割いているな、と。その割には第2エピソードがあまりにずさんなので正直見るのやめようかと思いました。


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しかし、その時点でまだ第3話の半分しか終わっていない。何だこれはと思ったら、白石麻衣の兄・永山瑛太が、白石麻衣が生前、香川県の漂流郵便局(こんな場所があると知れただけでもこのドラマを見た甲斐があった)に手紙を書いて送っていたことを知り、実際に足を運んで手紙に書かれてある「ジュート」という人間を男を探し出す、そして普段はバスなど使わない白石麻衣がなぜバスに乗ったかを突き止めると決意し、そしてだいぶ時間が経過したあと主役の菅田将暉と再会する。

しかも、その再会の前に菅田将暉は第1話のようにいろんな事件を解決するらしいんですね。そのどれもにあの豪華な取調室は出てきそうにない。ひとつひとつのエピソードに美術費をケチることなくふんだんに使っているこの作品には興味が湧くし、何より、ジュートが何者なのか。なぜ凝った時間構成にしているのか。そして『ミステリと言う勿れ』というタイトルの意味は何か。久能整はどんな秘密を隠しているのか等々、バスジャック事件単体は落第点としても、物語全体としてはがぜん興味が出てきたので、これはもう完走するしかない。

そして、この女優がなぜいままでと違うイメージの役に抜擢されたのか。それも知りたい。


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少しも美人じゃないのに、なぜこの顔はこんなにも魅力的なのだろうか。月曜日が待ち遠しい。


『恋せぬふたり』
アロマンティック・アセクシャルの男女が同居して……という今風の物語ですが、『逃げ恥』などの契約結婚ものをアレンジしただけという感じで乗れない。岸井ゆきのはいいけど、高橋一生の生気のない顔がいやで1話でリタイア。


『錆喰いビスコ』
これは恩師である村井さだゆきさんがシリーズ構成ということで見始めました。『風の谷のナウシカ』と同じような世界観で、常日頃から「うまくパクれ」と言っていた村井さんの面目躍如と言っていい作品かと思いますが(原作があるようだけど)私はこういう異世界アニメが最近苦手で。とか言いながら『鬼滅の刃』見てますけど。村井さんには申し訳ないけど2話でリタイア。


『ファイトソング』
これはツイッターのフォロワーさんが「清原果耶と間宮祥太朗が出会ってからが面白い!」と言っていたけど、私はそこまでもたなかった。出会うまでが長すぎて1話の途中でリタイア。もっと速く展開させろ、君みたいな展開のさせ方だと視聴者がチャンネルを替えてしまう、とはある高名な脚本家から言われた言葉ですが、このドラマはあまりに遅い。遅すぎる。耐えきれず停止ボタンを押し、次週の録画予約も削除してしまいました。


『平家物語』
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古川日出男さんの原作というか新訳の『平家物語』は読み始めたものの早々に挫折しました。私にはついていけない。
しかし! 尊敬してやまない脚本家・吉田玲子さんと山田尚子監督が久しぶりのタッグ作としてこれを選んだというのは僥倖というか何というか。アニメの世界で『平家物語』を楽しませてもらおう。ってな気楽な気持ちで見始めました。
原作にはないキャラを主人公にもってくるとか、なかなかやることが大胆。これは完走できそう。



『となりのチカラ』
『家政婦のミタ』の遊川和彦さんの新作ということで見始めましたが、最初の25分くらいでリタイアせざるをえませんでした。いくら「テレビドラマは映像付きのラジオドラマ」だといっても、あのナレーションのオンパレードには辟易しました。松本潤という役者も役柄もまったく好きになれないし、目当ての松嶋菜々子はゴミ屋敷の婆さんみたいだし、早めのリタイアを決断しました。



『妻、小学生になる。』
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堤真一、石田ゆり子、蒔田彩珠が出てるなら何でも見ようと思い、見始めたものの、妻・母に死なれてゾンビと化した父と娘を再生させるのが子どもとして転生した妻というのは、ちょいと後ろ向きすぎませんか? というのが正直なところで、それはまぁ見始める前からわかっていたことだけど、もう少しで停止ボタンを押すところだった。
小学生の妻の母・吉田羊(彼女は自分の娘が誰かの妻だなんて少しも知らない)の登場、そして堤真一が10歳の小学生にプロポーズするにいたって、この作品がはらむキケン度にようやく気づき、これは少なくとも第2話を見ねば、と心を新たにした次第。


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それにしてもこの顔は少しも美人じゃないのになぜこんなにも魅力的なのでしょうか。


というわけで、前半戦の『チェリまほ』は2話でリタイアしたので、全部で13本見始めてリタイアしてないのは6本。これは私としてはかなりの高確率。去年から見始めた『鬼滅の刃』も合わせれば14本中ちょうど半分の7本。今期のテレビドラマ・アニメは大豊作と言っていいんじゃないでしょうか。


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