不登校ユーチューバーのゆたぼんが、全国の不登校児に会いに行って彼らに元気と勇気を与える「ゆたぼんスタディ号プロジェクト」を始めたとニュースになっていました。


自分に値札をつける
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そのためのクラウドファンディングを始めたとかで、目標額は380万円とか。なかなかの額が集まっているそうですが、資金援助してくれた人には「リターン」があるらしく、「30字程度のメッセージをトラック外装に載せる」が500円(小中学生が対象)、「ゆたぼんと直接会って話ができる」が1万円、「ゆたぼんがご自宅にお邪魔して一緒にご飯をごちそうになる」が2万円、「ゆたぼんとユーチューブでコラボ」が15万円。

端的に、アホかと。こんなことを言い出す奴も言い出す奴だが、ホイホイと金を出す奴も出す奴である。「ゆたぼんがご自宅にお邪魔して一緒にご飯をごちそうになる」って、彼にご飯をふるまって逆に食べた彼が2万ももらえるの? 寝言は寝てから言え。

何がダメといって、自分に値札を付けるのがダメですね。

それは違う。例えば、就活なら入りたい会社に自分自身を売り込まなきゃいけない。自分を売り込む術を幼いうちに身につけるのは「教育」として正しい。

と言いたくなる新自由主義者も多いでしょうが、私自身はついこの間まで失業していていろんな会社に応募しては落ち続けていました。ある会社で「君はうちの会社に自分を売りに来たんだろ? もっとうまく売りこんでみろ」と言われたんですが、「そのような考え方は私にはありません。こちらからお断りします」と、さっさと帰りました。

自分を売る。

例えば、売春で体を売ることは激しい非難にさらされるのに、労働力を売ることは称賛される。それはおかしい。結局どちらも自分に値札をつけているのに、片方は非難され、片方は称賛される。


ヴィニシウスの言葉
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スペインのレアル・マドリードというサッカークラブに、ヴィニシウスというブラジル人選手がいます。

彼は3年半前、18歳のときにブラジルからスペインにやってきました。足が速く、足元の技術もうまい。切り裂くようなドリブルに最大の特長がありましたが、いかんせん、シュートが少しも決められない。クロスを上げることすらできない場面も多々ありました。

そのため先発メンバーに選ばれることも少なくなり、名のあるスター選手ばかりが重用されることもありましたが、彼は腐ることなく毎日まじめに練習に取り組み、今季は課題の決定力不足を克服し、ゴール数もアシスト数も昨季までとは段違いの活躍ぶり。有名選手から完全にポジションを奪い、押しも押されぬスターになりました。

彼は最近、ある記者に訊かれたそうです。「自分の市場価値はいくらだと思う?」と。

ヴィニシウスは「自分に値札をつけるような真似はしたくない」と答えました。私は昔から優等生発言というものが嫌いで、マラドーナのようなオレ様発言のほうが好きなんですが、ヴィニシウスの謙虚な姿勢には純粋に心を打たれます。

自分に値札をつけたくないというヴィニシウスは、おそらく「自分はまだ何者でもない」と思っているのでしょう。

自分に値札をつけるゆたぼんは「自分はもうひとかどの人物である」と思っている。その「上から目線」を正さないかぎり彼に未来はないでしょう。

自分に値札をつけるのは自分以外の人です。そう彼に諭してあげるのが「教育」のはずなんでが、彼の言動を称賛する人が多くいることに、私は心の底から寒気を覚えるのです。


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