とんでもない映画を見ました。今年のベストワンはもちろんですが、21世紀の最高傑作といって過言ではないでしょう。その日の気分では、いままで見た1万本以上の映画の頂点に選んでもまったくかまいません。

その映画とは、世にも珍しいコロンビア映画です。


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『MONOS 猿と呼ばれし者たち』(2019年、コロンビア・アルゼンチン・オランダ・ドイツ・スウェーデン・ウルグアイ・スイス・デンマーク)
原案:アレハンドロ・ランデス
脚本:アレハンドロ・ランデス&アレクシス・ドス・サントス
出演:ソフィア・ブエナベントゥーラ、モイセス・アリアス、ジュリアンヌ・ニコルソン


週刊文春と芝山幹郎さんへの感謝
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まず、週刊文春と翻訳家の芝山幹郎さんに感謝申し上げます。

芝山さんは週刊文春のシネマチャートで長らく(ほんとに長らく)新作映画の星取りをやってるんですが、私と好みが似てるんですね。アメリカ映画が大好物で、ヨーロッパ映画やアジア映画はそこまで好きじゃない。

芝山さんの場合、アメリカ映画なら四つ星が平均です。アメリカ映画で四つ星なら「まぁ普通だったのかな」と思います。でも非アメリカ映画なら三つ星が平均です。非アメリカ映画で四つ星ついていたら「お、これは見たほうがいいのでは」と、ある程度の判断基準にさせてもらっています。

満点の五つ星なら何を差し置いても見るのは当然ですが、好きな監督や俳優の新作でもともと「絶対行く」と決めていたものなら一つ星でも行きます。気になるけど微妙だな、と迷うときだけ参考にしています。アメリカ映画なのに三つ星だと平均以下なのでやめとこう、とか。(しかし、初夏、『アオラレ』が三つ星だったので行くのやめたんですが、別の見たい映画と二本立てで名画座でやっていたので行ったところ、やたら面白かった。当然ですが、芝山さんがほめているから私も気に入るとはかぎりませんし、逆もまたしかりです)

そんな芝山幹郎さんが非アメリカ映画、それも馴染みのないコロンビア映画に満点をつけている。完全にノーマークでしたが、「これは見ねば」と予定に入れました。

だからシネマチャートで取り上げられなかったら私は一生この映画を見ていなかった可能性が高い。実際、かなりコロナが収まってきたのに(ほんの少しぶり返してきているのが不気味ですが)お客さんが7人くらいしかいませんでした。ツイッターでも見たと言ってる人を見たことがないので、東京や他の地域でも客が入っていないのでしょう。

週刊文春と芝山幹郎さんにスペシャルサンクス! これからもこういうあまり知られていない映画を取り上げてください。

いま文春オンラインで芝山さんのコメントを読みました。先入観が入るからコメントは見る前は絶対読みません。先入観は「雑音」です。そんなものはあらかじめ排除したほうがいい。

驚きました。翻訳家をしているだけあって表現方法が実に多彩な芝山さんのコメントがあまりに普通だったので。しかも、全部で6人いる評者のうち、5人が満点五つ星。1人だけ三つ星。やはり見たらすごさに打ちのめされるようです。話題にさえなればこの映画もたくさんの人の目に触れる。そんな思いでこの日記を書いています。


元町映画館さんへの感謝
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上映してくれた元町映画館さんにも多大なる感謝を申し上げます。

東京と違って神戸はミニシアターが二つしかありません。スクリーンも四つだけです。東京や大阪では公開されるけど神戸では上映なし、なんて少しも珍しくない。なのにこの映画をやってくれた元町映画館さんにはいくら感謝してもしきれません。ありがとうございます。

やはりスタッフさんも『MONOS』のすごさに脳天カチ割られたんでしょうね。「これは上映しなきゃ」と使命感にかられたことは想像に難くありません。


言葉を失った
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『MONOS 猿と呼ばれし者たち』あまりにすごすぎて、すごいとしか言えません。本当にすごいものはすごいとしか言いようがないと改めて痛感しました。

見ている間、ずっと言葉を失っていました。これまで見たどの映画にも似ていない。100%の独創性。地球の裏側にこんな映画を作る異能がいたということに驚きを禁じえません。

いつもは帰ってきてすぐ内容についての感想を書いていますが、今回はレベルが違います。考えがまとまらないというか、あまり考えたくないのです。興奮と感動をもてあまし、ただボーっとしていたい。そんな気分。内容についてはまた後日。


うまい飯とデザート
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実はいま失業していまして、失業保険で暮らしています。だから食費はできるだけ節約せねばならない。外食なんかできません。吉野家にすら行ってません。

そんな家計状況なのに、今日は大好物のトンカツ定食を食べてしまいました。普通のトンカツ屋よりは安い店で、私はいつも一番安い780円のロースカツ定食しか食べないのに、1200円超の一番高いめちゃ豪華なやつを食べました。あんなの失業する前だって食べたことない。しかも、そのあと喫茶店で高めのデザートまで食べました。

なぜかって? もちろん『MONOS』を見たからです。あんなすごい映画を見たときにケチケチしたくない。ケチケチしなきゃいけない状況だけど、やっぱりしたくない。そこまで落ちぶれたくない。こういうときに贅沢しなくていつするんだ。生涯に数回しかないほどの映画体験だったのだから。

貧乏人とは金のない人間を言うのではない。豪快に金を使うべきときにケチケチする人間こそ本当の貧乏人である。


クリーニング受け取りを忘れる
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面接に着ていくスーツを先週クリーニングに出しまして、その受け取りを何度も忘れています。本当は先週の水曜日から受取可なんですが、行こう行こうと思っていても忘れてしまう。

今日はだから電車の回数券に「クリーニング」と付箋に書いて貼っておきました。これなら忘れないだろう、と。何しろ駅の改札を出たところにクリーニング屋があるのでね。

しかしまた忘れてしまった! 財布から回数券を出す。付箋が貼ってあるので預り票も出して自動改札を通る。なのに忘れてしまったのです。『MONOS』のことで頭がいっぱいで、わざわざ付箋を貼った意味を忘れてしまったというわけです。

それほどまでに『MONOS 猿と呼ばれし者たち』はすごい映画でした。

このブログを始めて6年になりますが、内容に触れない感想(感想になってないけど)を書いたのは初めてです。この記事を読んだ方で、未見の方がいらっしゃったらぜひ!

オールタイム・ベストワンというのは大げさかもしれないけど、「21世紀最高傑作」というのは少しも大げさじゃないですよ。まだ20年しかたってないし。20年間のベストワンでも充分すごいことです。

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