昨日のLINEニュースを見て開いた口がふさがらなくなりました。

嵐の櫻井翔と相葉雅紀が同時に結婚を発表したのを受け、「失恋休暇」なるものを設けた会社があるというんですね。

失恋で休暇⁉ 意味がわからない。そもそも好きなアイドルが結婚したのははたして「失恋」なのかどうか。

噴飯物だと思ったんですが、いろいろ考えると笑い事じゃないな、と思い、筆を執りました。


実はブラック企業?
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私も直近の職場で2回失恋しました。そりゃ気落ちはするけど別に休むほどのものじゃなかったし、ああいうのは独りでグッと耐え忍ばなきゃダメでしょう。

失恋休暇なんて取ったらまず失恋したことがばれてしまうじゃないですか。そりゃ振られた相手が言いふらす可能性はあります。でもそんなのは確率的に低いですよね。かといって誰にも言わないというのも考えにくい。言いふらさずとも仲の深い人にだけ打ち明けるというのが普通のパターン。で、聞いた人は誰にも言わない。言ったら約束を破ることになってしまう。

その場合、せっかくそこで止めてくれた秘密を自分から会社中に言い触らすことになってしまいます。そんなことしたら休暇でリフレッシュどころか、よけい会社へ行くのが億劫になってしまいませんか?

今回「失恋休暇」なるものを言い出した会社は、どうもアイドルの結婚にかぎってのものらしいんですが(詳しくは知りません)リアルな失恋よりもそういう「失恋」のほうが恥ずかしくないですか? なのに「それはいい!」「何て素敵な会社なんだ」と声が上がるのは、リアルな失恋よりバーチャルな失恋のほうが日本人にとってはるかに割合が多い事態になっているということなのかな、と最初は思ったんですが、たぶん違います。

「○○休暇」というものに日本人は弱くなっていると思うんです。日本人は働きすぎ、過労死するのは日本人だけ、と自虐的に言い続けた結果、会社が公式に休暇をくれるのは無条件にいいことだと思っている。ほとんど何も考えずに「素敵」と言っていると思われます。

会社もそれをわかったうえで「失恋休暇」などと言い出したのではないか。つまり、「うちの会社は失恋しただけで休暇を与えるとてもホワイトな会社ですよ」との看板を掲げたい。だからその会社は、実はとてもブラックな可能性があります。


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昨日ニュースになった会社だけでなく、失恋休暇なるものを打ち出した会社はもう数年前から存在しているようです。画像のような日数を取れるとか。この会社の失恋休暇は前述のアイドル失恋とは違ってリアルな失恋に適用されるものらしいですが、離婚した際にも使えると。これは好評のようです。離婚の場合は各種手続きのため役所へ行ったりいろいろせねばならないのでかなりありがたいらしい。これはいいんじゃないですかね? 離婚なら遅かれ早かれ知られることになるんだし。

だけど、普通の失恋の場合はハラスメントの温床になる可能性が高い。


ハラスメントの温床
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失恋したら休んでもいい。百歩譲ってそれが心からのものであるとしても、休んだんだから「失恋した痛手は治った?」などと絶対訊かれますよね。普通に体調が悪くて休んだ場合でも次の日に行ったら「どうですか体調は」と訊かれるじゃないですか。あれと一緒です。別に悪気はなくとも会社は訊いてくる。訊く口実を与えてしまう。

今回は失恋で休んだ。次の月はまったく別の理由で休んだ。それでも訊かれますよ。「先月失恋休暇使ってたから今回もまた振られたのかと思った」とかって。一回でも失恋休暇を取ったらその後休暇を取るたびに言われることになる。そこまで行くともうハラスメントですよね。

毎年必ず社員旅行に行くとか、アットホーム感を前面に打ち出しているところほどブラックとよく言われますが、失恋休暇の会社も同様と思われます。従業員へのハラスメントだけじゃなくて商売的にもあくどいことやってるんじゃないか。

調べてみると、失恋休暇を導入している会社は他にもあるらしいんですが、ある会社の失恋休暇取得率はゼロとか。そりゃそうだろうな。

であれば、これはもうそれこそ「看板」ですよね。会社も従業員がそんな休暇を取らない(取れない)ことを知ってて「こんな素晴らしい制度を導入します」とやっている。陰湿。

どこが素敵やねん。そんな会社で働きたくないわ!



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