『エイリアン2』(1986、アメリカ)
脚本・監督:ジェームズ・キャメロン
出演:シガーニー・ウィーバー、マイケル・ビーン、ランス・ヘンリクセン

もともと『1』より『2』のほうが好きだった『エイリアン』シリーズですが、今回、BSプレミアムで2作とも放送されて見直してみると、『1』は私にとってはほとんどどうでもいい映画に成り下がってしまい、『2』はやはり傑作だと思いました。

その理由をつらつら考えているとき、ふとツイッターのフォロワーさんの『ブレードランナー』に関する言葉を思い出しました。




意匠に工夫を凝らした『1』と人間重視の『2』という対称性は変わりません。でも『ブレードランナー』は1作目のほうが断然面白く、『エイリアン』は『2』のほうが面白い。なぜでしょう?

まず、なぜ1作目はどちらも意匠重視なのか。1作目の監督がとぢらもリドリー・スコットというのは大事な点かもしれません。彼はいつでも人間描写よりもヴィジュアル重視ですから、彼の映画の続編を作るとなると、新しく雇われた監督はついそれに反発して人間描写に重きを置いてしまうのかも。(ちなみに、私が『エイリアン2』を初めて見たのは地元の名画座で、『ブレードランナー』との2本立てでした)

『ブレードランナー』は意匠重視といっても、レプリカントの哀しみも描かれているし、「人間とは何か」という問いがある。そこが『エイリアン』シリーズとの大きな違いかと。結局、原作者のフィリップ・K・ディックという名前が大きくものを言ってる気もします。


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『2』は、冒頭、57年ぶりに目覚めたリプリーの「感情」に寄り添いますよね。とにかくあの体験は恐ろしかったとエイリアンに腹を喰い破られる夢も見るし、絶対あの化け物を生かしちゃおけないと、研究目的でまたあの星に行くのは反対だが、殺しに行くならぜひ行きたいと志願する彼女に我々観客は感情移入しまくりで見てしまいます。

『1』はノストロモ号の意匠を見せるカットが異様に長かったり、エイリアンのいる星での探索シーンがこれまた異様に長い。すべてはセットデザインを見せるため。最初に見たときは何が起こるかわからないし、グロテスクかつ美しいデザインに魅了されましたが、何度も見るうちに退屈なシークエンスになってしまった。

『2』では星にすぐ着いて、目覚めた乗組員たちの人物描写が楽しめますよね。バスケスという名の、『1』でベロニカ・カートライト(『鳥』のあの女の子ですね)が担っていたような役のヒスパニック系の女性兵士がリプリーのことを揶揄したり、いろんな人間模様が面白い。最初は端役かと思われたマイケル・ビーンが徐々に徐々に前面に出てくる作劇もうますぎるほどうまい。ジェームズ・キャメロンが脚本家としても有能であることが如実に示されています。

そりゃ『1』だって人間模様はあったけど、イアン・ホルム、ジョン・ハート、ヤフェット・コットーなど芸達者をそろえながら、人間模様の色が薄かった。やはり、リドリー・スコットは人間にはあまり興味がないんでしょう。脚本家を目指していた私はもう『1』に魅了されることはありません。

でも『2』は違う。

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ニュートと名乗る女の子との心の交流もよかった。初めてまともに言葉を交わすシーンのカットバックは惚れ惚れしてしまいますね。

『1』が人間軽視、『2』が人間重視なのは、リプリーを演じたシガーニー・ウィーバーの演技からも読み取れます。

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『1』ではただ脚本に書かれた通り演じていただけですが、『2』では鬼気迫るというか、「この映画の屋台骨は私一人で支えてみせる!」と言わんばかりの大熱演。allcinemaでも「この手の映画では珍しくアカデミー主演女優賞にノミネート」と書かれています。

というわけで、ここで唐突に、映画史に燦然と輝く名演トップテン!

①『フレンチ・コネクション』のジーン・ハックマン
②『ゴッドファーザーPARTⅡ』のロバート・デ・ニーロ
③『野獣死すべし』の松田優作
④『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスター
⑤『エイリアン2』のシガーニー・ウィーバー
⑥『ハスラー』のポール・ニューマン
⑦『博奕打ち 総長賭博』の鶴田浩二
⑧『曽根崎心中』の梶芽衣子
⑨『ベン・ハー』のチャールトン・ヘストン
⑩『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオナルド・ディカプリオ

ってなところでしょうか。上位5人以外はほとんど思いつきですが。

そういえば、人造人間のビショップを演じるランス・ヘンリクセン。あの役自体はいいんですが、後半、降下艇は俺にしか操縦できないとか言って、細いダクトを通って外へ出るじゃないですか。初めて見たとき、もし自分があんなことしないといけないならエイリアンに食われたほうがいいとさえ思いましたね。だって閉所恐怖症なので。あれはきつい。

でも、今回はあまりそういう恐怖は感じなかった。いまはやっぱりどこか引いて映画を見てるのでね。のめりこんで見ていた若かりし日の自分がうらやましい。


メイキング・オブ・エイリアン2
J.W. Rinzler
玄光社
2021-03-02



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