怒り狂い、悶絶しながら見ていた『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(略して『ひげひろ』)』がとうとう最終回を迎えました。(以下ネタバレあります)

いやぁ、前回か前々回くらいで見るのやめようかと思ったほどなんですが、完走してよかった。ラストはほんとに感動しました。これはやはり「吉田の物語」だったのですね。
物語のあらまし

わかりやすく時系列で説明すると……
女子高生の沙優は仲のよかった友だちの自殺と、世間体しか考えてない母親との葛藤から北海道の家を飛び出して東京まで流れてくる。いろんな家を泊まり歩いてきたが、家主の男に体を提供すると誰でも泊めてくれた。そこでサラリーマンの吉田に出逢う。吉田にも体を提供して泊めてもらおうとするが吉田は「ガキには興味ねえ。俺は年上の巨乳しか」と拒否。でも泊めてはくれる。沙優は料理を作ってあげたり吉田に尽くす。でも吉田は決して沙優を抱かない。一緒に寝れば男は何でも言うことを聞くと思い込んでいるこいつを救ってやらねば、との思いもあり、探しに来た沙優の兄と一緒に北海道へついていくことになる。
というのが前々回までのあらすじですが、ここまでではっきりしているのは、沙優は間違った価値観を植えつけられたアンチヒーローであり、彼女を救うのが主人公の吉田で、ユング心理学で言うところの「霊のアーキタイプ」ですね。無条件でダークサイドに堕ちた沙優を救おうとする。
この構図自体はいいんですが、やはりどうしても「吉田みたいな男がいるか?」と思ってしまうんですよね。
吉田のリアリティのなさ

だってこんなかわいい顔で迫ってくるんですよ。体はもう充分大人だし、半年も同じ屋根の下で暮らしていて何もしないという神経がわからない。
でも最終回ではついに二人は結ばれるのか⁉ という期待があったんですよね。実際、沙優が最後くらいは一緒に寝ようということで同じベッドに横になり、さらに胸を吉田の背中に押しつけてくる。私なんかこの時点で野獣と化してると思うんですが、吉田は「何やってんだ」とにべもない。
沙優は、「一度やっとく? お互い忘れないために」というのに、吉田は「そんなもん、しなくても忘れねーよ」とこれまたにべもない。
沙優はさらに「おっぱいぐらい揉んどく?」と迫るも、吉田は拒否。

沙優は吉田を殴りたいくらいの気持ちだったでしょうなぁ。でも大好きな吉田の言うことだから従わざるをえない哀しさ。
というか、私は怒りましたよ。これだけ女から抱いてと言ってるのに抱いてやらないのは逆にかわいそうだろう!
いくら霊のアーキタイプといっても、普通の男子としてリアクションがおかしい。私はこんな物分かりのいい話ではなく、女子高生を家に連れこんで同棲して妊娠もさせて、それが発覚して会社もクビになりすべてを失ってしまうような、そういう「愚か者」の話が見たいタイプなのでね。立派な人のフィクションなんてつまらない。映画やアニメはやはり愚か者や半端者を主人公に据えてこそ、と思う。
東京の自宅に戻った吉田は、沙優が作ってくれたレシピノートを見て味噌汁を作るんですが、味見をした途端、涙を流し、くずおれてしまう。「俺のほうがガキじゃねーか」って、そうだよ、抱きたかったんじゃないの、吉田さん? まったくつきあってられない。
エンディングクレジットが始まり、えー、このまま終わっちゃうの? やっぱり見なきゃよかった。
と思っていたら、ラストのラストでまさかの!
吉田が会社から帰ろうとすると、あの第1話と同じシチュエーションが……

1話ではこんな感じで自販機のそばでうずまっているところを吉田に拾われたのでしたが、今回は沙優が確信犯として吉田を待っていました。
吉田はうれし涙を流し、沙優は「家が遠いので泊めてください」と笑顔で言うところでエンドマーク。
この二人はこのあと野獣のようにヤリまくったのでしょう。いままで我慢に我慢を重ねていたのだから何度も何度もすんごいことになったのでしょう。
『ひげひろ』の野心的試み

ラストまで見てこの『ひげひろ』の野心的試みが明らかになりました。
ダークサイドに堕ちた沙優を吉田が救うのではなかった。そう見せかけて沙優が吉田を救う話だった。
吉田は「ガキ」「年上」などの「記号」に重きを置いています。沙優や、片想いを寄せる同僚女性など、「その人自身」を見ていない。吉田こそダークサイドに堕ちたアンチヒーローだったわけです。そんな彼を「私自身を見て」と必死に訴える沙優が救う。
でも、同時に、ぎりぎりまで吉田が沙優を拒否したことで、沙優も誤った考えを改め、本当に好きな人にだけ抱かれることが大事とわかった。お互いがお互いを救ってめでたしめでたし。
確かに、先述した「愚か者」の話はそれなりに面白いでしょうが、いままでさんざんやられてきたタイプの話。でもこの『ひげひろ』はそのはるか先を行ったのでした。
完全に脱帽です。最後まで見てよかった。


いやぁ、前回か前々回くらいで見るのやめようかと思ったほどなんですが、完走してよかった。ラストはほんとに感動しました。これはやはり「吉田の物語」だったのですね。
物語のあらまし

わかりやすく時系列で説明すると……
女子高生の沙優は仲のよかった友だちの自殺と、世間体しか考えてない母親との葛藤から北海道の家を飛び出して東京まで流れてくる。いろんな家を泊まり歩いてきたが、家主の男に体を提供すると誰でも泊めてくれた。そこでサラリーマンの吉田に出逢う。吉田にも体を提供して泊めてもらおうとするが吉田は「ガキには興味ねえ。俺は年上の巨乳しか」と拒否。でも泊めてはくれる。沙優は料理を作ってあげたり吉田に尽くす。でも吉田は決して沙優を抱かない。一緒に寝れば男は何でも言うことを聞くと思い込んでいるこいつを救ってやらねば、との思いもあり、探しに来た沙優の兄と一緒に北海道へついていくことになる。
というのが前々回までのあらすじですが、ここまでではっきりしているのは、沙優は間違った価値観を植えつけられたアンチヒーローであり、彼女を救うのが主人公の吉田で、ユング心理学で言うところの「霊のアーキタイプ」ですね。無条件でダークサイドに堕ちた沙優を救おうとする。
この構図自体はいいんですが、やはりどうしても「吉田みたいな男がいるか?」と思ってしまうんですよね。
吉田のリアリティのなさ

だってこんなかわいい顔で迫ってくるんですよ。体はもう充分大人だし、半年も同じ屋根の下で暮らしていて何もしないという神経がわからない。
でも最終回ではついに二人は結ばれるのか⁉ という期待があったんですよね。実際、沙優が最後くらいは一緒に寝ようということで同じベッドに横になり、さらに胸を吉田の背中に押しつけてくる。私なんかこの時点で野獣と化してると思うんですが、吉田は「何やってんだ」とにべもない。
沙優は、「一度やっとく? お互い忘れないために」というのに、吉田は「そんなもん、しなくても忘れねーよ」とこれまたにべもない。
沙優はさらに「おっぱいぐらい揉んどく?」と迫るも、吉田は拒否。

沙優は吉田を殴りたいくらいの気持ちだったでしょうなぁ。でも大好きな吉田の言うことだから従わざるをえない哀しさ。
というか、私は怒りましたよ。これだけ女から抱いてと言ってるのに抱いてやらないのは逆にかわいそうだろう!
いくら霊のアーキタイプといっても、普通の男子としてリアクションがおかしい。私はこんな物分かりのいい話ではなく、女子高生を家に連れこんで同棲して妊娠もさせて、それが発覚して会社もクビになりすべてを失ってしまうような、そういう「愚か者」の話が見たいタイプなのでね。立派な人のフィクションなんてつまらない。映画やアニメはやはり愚か者や半端者を主人公に据えてこそ、と思う。
東京の自宅に戻った吉田は、沙優が作ってくれたレシピノートを見て味噌汁を作るんですが、味見をした途端、涙を流し、くずおれてしまう。「俺のほうがガキじゃねーか」って、そうだよ、抱きたかったんじゃないの、吉田さん? まったくつきあってられない。
エンディングクレジットが始まり、えー、このまま終わっちゃうの? やっぱり見なきゃよかった。
と思っていたら、ラストのラストでまさかの!
吉田が会社から帰ろうとすると、あの第1話と同じシチュエーションが……

1話ではこんな感じで自販機のそばでうずまっているところを吉田に拾われたのでしたが、今回は沙優が確信犯として吉田を待っていました。
吉田はうれし涙を流し、沙優は「家が遠いので泊めてください」と笑顔で言うところでエンドマーク。
この二人はこのあと野獣のようにヤリまくったのでしょう。いままで我慢に我慢を重ねていたのだから何度も何度もすんごいことになったのでしょう。
『ひげひろ』の野心的試み

ラストまで見てこの『ひげひろ』の野心的試みが明らかになりました。
ダークサイドに堕ちた沙優を吉田が救うのではなかった。そう見せかけて沙優が吉田を救う話だった。
吉田は「ガキ」「年上」などの「記号」に重きを置いています。沙優や、片想いを寄せる同僚女性など、「その人自身」を見ていない。吉田こそダークサイドに堕ちたアンチヒーローだったわけです。そんな彼を「私自身を見て」と必死に訴える沙優が救う。
でも、同時に、ぎりぎりまで吉田が沙優を拒否したことで、沙優も誤った考えを改め、本当に好きな人にだけ抱かれることが大事とわかった。お互いがお互いを救ってめでたしめでたし。
確かに、先述した「愚か者」の話はそれなりに面白いでしょうが、いままでさんざんやられてきたタイプの話。でもこの『ひげひろ』はそのはるか先を行ったのでした。
完全に脱帽です。最後まで見てよかった。

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