もう終わってしまったワイドナショーで、かつて「三点リーダー症候群」なるものが取り上げられていました。

文末に「…」をつけて断定するのを避け、相手に判断をゆだねる言い方。いかにも日本人らしいと言えば言えるのかもしれません。
私はメールやLINEで三点リーダーを活用することはたまにはありますが、それほどではありません。ワイドナショーでも問題としていたのは三点リーダーそのものではなく、あくまでも「三点リーダー症候群」ですからね。そればっかり多用する人が増えている、と。
しかし、私はメールやLINE以外で三点リーダー症候群だったことがあるのです。
他でもない。映画の脚本を書いていたときです。
虚を突かれるセリフを言われた側は言葉に詰まるから、
「……だからさ、それは~」
のように、間をあけてほしいという意味で使っていました。(ちなみに、メールなら「…」だけでいいですが、脚本では「……」と三点リーダーを二つ書くのが鉄則です)
ワイドナショーで問題にしていたのは「文末の三点リーダー症候群」ですが、私は文末ではなくセリフ頭の三点リーダー症候群でした。
セリフ頭の三点リーダーを多用するプロの脚本家で有名なのはやはりクドカンこと宮藤官九郎さんでしょうか。

いまでも同じ書き方なのかどうかは知りませんが、少なくとも約20年前、『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』のシナリオ集が出たころはそうでした。むさぼるように何度も読み返しましたが、とにかく三点リーダーの多用が目立ちました。ほとんどのセリフ頭に三点リーダーがあるんじゃないかと思うくらいの多用ぶりでした。
私はその影響を受けて三点リーダーを多用していました。やはりクドカンの影響力はすさまじかったのですね。
その数年後、あるプロデューサーにシナリオを読んでもらったところ、
「何で君のシナリオにはこんなに点点点ばっかりなの?」
なんて真顔で尋ねられて困ったことがあります。脚本家志望者の知り合いも何人かいてお互いの作品を読みあうこともありましたが、三点リーダー症候群の人は多かった印象があります。
しかし!
ある人のシナリオ集を読むことで、それがきれいさっぱりと治ったのです。

日本脚本界の巨匠中の巨匠、新藤兼人さんです。
新藤さんの未発表シナリオ集である『遺言シナリオ集』は2011年刊行だからもう14年前ですか。私はこのシナリオ集に収められた脚本を読んで、セリフ頭の三点リーダーはダサいと痛感させられました。
いくら虚を突かれても、間をあけてほしいときであっても、カギ括弧のあとはすぐセリフ。それがとてもかっこよかった。別に三点リーダーなんか使わずとも、ここは虚を突かれてるから間をあけるんだろうな、とか、ここは余韻がほしいから間をあけるんだろうな、などと、すぐわかる。
ちゃんとドラマが描かれていれば、その人らしさが描かれていれば、三点リーダーなど無用の長物であることを思い知らされたのでした。
セリフ頭に「……」と書くことは、「(間をあけて)」とか「(言葉に詰まり)」などと書くのと同じで、脚本にそのようなことは書く必要はありません。そういうのは現場の演出家と俳優に任せるべきです。
というわけで、私はもう脚本家の道は諦めましたが、これから志す人にはぜひセリフ頭の三点リーダー(セリフ尻も)を禁じ手にして習作を書いていってほしいと切に望む次第なのであります。
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文末に「…」をつけて断定するのを避け、相手に判断をゆだねる言い方。いかにも日本人らしいと言えば言えるのかもしれません。
私はメールやLINEで三点リーダーを活用することはたまにはありますが、それほどではありません。ワイドナショーでも問題としていたのは三点リーダーそのものではなく、あくまでも「三点リーダー症候群」ですからね。そればっかり多用する人が増えている、と。
しかし、私はメールやLINE以外で三点リーダー症候群だったことがあるのです。
他でもない。映画の脚本を書いていたときです。
虚を突かれるセリフを言われた側は言葉に詰まるから、
「……だからさ、それは~」
のように、間をあけてほしいという意味で使っていました。(ちなみに、メールなら「…」だけでいいですが、脚本では「……」と三点リーダーを二つ書くのが鉄則です)
ワイドナショーで問題にしていたのは「文末の三点リーダー症候群」ですが、私は文末ではなくセリフ頭の三点リーダー症候群でした。
セリフ頭の三点リーダーを多用するプロの脚本家で有名なのはやはりクドカンこと宮藤官九郎さんでしょうか。

いまでも同じ書き方なのかどうかは知りませんが、少なくとも約20年前、『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』のシナリオ集が出たころはそうでした。むさぼるように何度も読み返しましたが、とにかく三点リーダーの多用が目立ちました。ほとんどのセリフ頭に三点リーダーがあるんじゃないかと思うくらいの多用ぶりでした。
私はその影響を受けて三点リーダーを多用していました。やはりクドカンの影響力はすさまじかったのですね。
その数年後、あるプロデューサーにシナリオを読んでもらったところ、
「何で君のシナリオにはこんなに点点点ばっかりなの?」
なんて真顔で尋ねられて困ったことがあります。脚本家志望者の知り合いも何人かいてお互いの作品を読みあうこともありましたが、三点リーダー症候群の人は多かった印象があります。
しかし!
ある人のシナリオ集を読むことで、それがきれいさっぱりと治ったのです。

日本脚本界の巨匠中の巨匠、新藤兼人さんです。
新藤さんの未発表シナリオ集である『遺言シナリオ集』は2011年刊行だからもう14年前ですか。私はこのシナリオ集に収められた脚本を読んで、セリフ頭の三点リーダーはダサいと痛感させられました。
いくら虚を突かれても、間をあけてほしいときであっても、カギ括弧のあとはすぐセリフ。それがとてもかっこよかった。別に三点リーダーなんか使わずとも、ここは虚を突かれてるから間をあけるんだろうな、とか、ここは余韻がほしいから間をあけるんだろうな、などと、すぐわかる。
ちゃんとドラマが描かれていれば、その人らしさが描かれていれば、三点リーダーなど無用の長物であることを思い知らされたのでした。
セリフ頭に「……」と書くことは、「(間をあけて)」とか「(言葉に詰まり)」などと書くのと同じで、脚本にそのようなことは書く必要はありません。そういうのは現場の演出家と俳優に任せるべきです。
というわけで、私はもう脚本家の道は諦めましたが、これから志す人にはぜひセリフ頭の三点リーダー(セリフ尻も)を禁じ手にして習作を書いていってほしいと切に望む次第なのであります。
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