今クールは小説執筆のため、綾瀬はるかが出てるなら何でも見る派の私も体の入れ替わりとかいまさらな感じがしたため『サイコなふたり』には最初から手を出さず、他にもいろいろ落としていくはずだったのに、なんやかんやで6本も見始めてしまいました。

見た順に感想などつらつらと。


『裏世界ピクニック』
なぜこれを見ようと思ったのかよく憶えていません。第1話はそれほど面白いというわけでもなく、かといってつまらないというわけでもなかったんですが、後述の『ワンダーエッグ・プライオリティ』が素晴らしいので、今クールのアニメはそっちだけでいいかと早々とリタイア決定。


『おじさまと猫』
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これははっきり言って武田玲奈が目当てで見始めたんですが、まさかの猫がぬいぐるみとは! といういい意味で裏切られたのと、そのぬいぐるみの福丸がやたらかわいいのと、何より草刈正雄がはまり役で私自身が現在この作品にはまっています。

うちの犬も生まれて初めて鏡で自分の姿を見たときは怒ってたなぁ。などと思い出にも浸れました。

草刈正雄はその昔、『0093女王陛下の草刈正雄』というタイトルのおバカ映画に自分自身の役で出演していて「懐が深い」と思っていました。二年前の『モンローが死んだ日』の草刈さんもよかったし。作品そのものは何のこっちゃという感じでしたが。


『ワンダーエッグ・プライオリティ』
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これは野島伸司さんが脚本を書いているという興味だけで見始めましたが、完全にやられました。何しろ実写ばかりやっていた人が初めてアニメに挑戦するのだから「アニメにしかできないこと」をやっているんだろうとは思ってましたが、本当にそうでした。

トラウマを根っこに設定というのはちょいと古い気もするけど、あまり気になりません。子ども以上大人未満の思春期特有のあれやこれやが腹に響いてきます。やはり「作品」というものは鑑賞者の腹を撃たないとね。

頭でっかちな作品には即座に退場してもらいたい。


『ペンションメッツァ』 
WOWOWのオリジナルドラマですが、うーん、脚本と監督の松本佳奈さんはなるほど『パンとスープとネコ日和』の人なんですね。あれは不思議と最後まで見れたんですが、これはもういいですわ。

第2話の石橋静河は見れば見るほどいい女優さんだと思う。まさにサラブレッド。賢そうで性格もよさそうで。


『ここは今から倫理です。』
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これはタイトルと予告を見たときから「きてる!」と思いましたが、ほんとにきてましたね。主役の山田裕貴という役者はよく知りませんが、役にとても合っています。

私は煙草を吸いませんが(二回だけ酔っぱらった勢いで吸ったことがあるけど、あまりに気持ち悪くてすぐ酔いが醒めた)喫煙者を排除する社会のあり方には疑問を感じているので(刺青があったら銭湯に入れないというのも同じ。最近は刺青をしていたボクサーが厳重注意処分になりました。まったくもってナンセンス!)この先、あの鼻持ちならない禁煙ファシストを哲学的に、ということはつまり論理的にやっつけてほしいですね。

しかし「論理的に」ということは頭脳的にということで、はたしてそれで鑑賞者の腹を撃てるのかどうか。期待と不安が入り混じります。


『俺の家の話』
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クドカンが再び長瀬智也とタッグ。さらに『タイガー&ドラゴン』の西田敏行も再び。

ということで期待していたんですが、ごく普通の面白さでした。クドカンに「普通の面白さ」など期待していない私はちょいと不満でしたが、でもぶっ飛んだ作風で鳴らしたクドカンももう50歳。ぶっ飛んだものより『ゆとりですがなにか』(もう5年前!)みたいなごく普通の人間ドラマをありえないほど深く掘り下げる作風にチェンジするのかもしれません。『いだてん』は未見ですが、低視聴率とは裏腹にかなり評価が高かったようですし、ぶっ飛び感全開の『監獄のお姫さま』は完全な失敗作でしたしね。

さらなる深掘りクドカンを期待!

ただ、気になるのは映像演出。金子文紀さんが演出した第1話では、クロースアップ(またはバストショット)の切り返しからカメラがポンと引くとシーンが変わる、というのがやたら目立ちました。特に室内シーンで、人物たちが集まっている部屋の隣にカメラを置いて遠くからのフルショットになると必ずシーン替わりでした。

かつてヒッチコックがトリュフォーとのインタビューで言っていました。

「私が最近の映画を観ていて我慢ならないのは、二人の人物が座って会話をしているシーンで、それぞれのクロースアップをカットバックして見せる。それ自体はいいのだが、会話のボルテージが高まる、あるいは収まったところでカメラがポンと引いて二人のフルショットになると、必ずどちらかが立ち上がる。引いた瞬間に立つのが予想できてしまう。そういう見せ方はだめだと思う」

この『俺の家の話』はシーン替わりが予想できてしまうところが多くてちょいと萎えましたね。また引くのか、またシーン替わりか、と。

家族の話のうえに親を介護するのがメインだからこれからも室内シーンが多い。それをどう撮っているかもクドカンの脚本同様、注視していきまっしょい。

というわけで、6本見始めてリタイアは2本だけ。なかなかの確率ではないでしょうか。





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