ブックオフをぶらぶらしていて110円コーナーで見つけた『壇蜜日記』を読んでみると、やはり彼女、なかなかユニークな感性をしていて一気に読んでしまいました。


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壇蜜といえば、冠婚葬祭の会社で働いていた経験があり、壇は仏壇の壇だと何かで読んで記憶があったんですが、じゃあ蜜は? ということで調べてみました。

蜜って仏さまに供えるお供え物という意味もあるそうです。また、「神様の飲み物」という意味もあるとか。神様と仏様は違うじゃないかって? 神仏習合といって日本では神も仏も一緒ですよ。

そんな壇蜜が書いた日記なので、当然ながら宗教に関する記述も出てきます。

「個が滅びる前の覚悟やその後から目を背けず理解するためにいまわかる範囲で神の考えを、神と人との付き合い方を学ぶ。私はその学び方がいわゆる『宗教』だと思っている」

あと、神社のことを「神様の所属事務所」と言ったりね。表現が個性的。


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2009年に29歳でグラビアアイドルとしてデビュー。ブレイクしたのはやはり映画『私の奴隷になりなさい』なんですかね。私は公開から数年後にCSで見たんですが別に面白いとは思わなかった。

ブレイクしても決して天狗にならず、逆に「どうせ自分なんて数年後には忘れ去られる」なんてマツコ・デラックスと同じようなことを言ってたりして好感をもっていました。

芸能人はみんな「好きなことをして大金を稼いでいる」というイメージがあって、

「給料をあぶく銭といわれる」

というたった一言で終わる日記もあります。何だか哀しいよな可笑しいような。しかも「あぶく銭」という表現がいまは亡き車谷長吉さんを思わせますな。あの人はバブル景気のことを「あぶく景気」と言っていました。

「寝ないで働くことが偉いのか」

という一節には思わず笑ってしまいました。いまの職場でも昼の1時間休憩と有給の10分休憩をきっちり取ってるのって私だけなんですよ。なぜ日本人は休むことを悪いことだと思っているのか。一億総玉砕と言ってた頃から何も変わってない。原爆落とされてから降伏しても遅いんだぜ。

「私は常に目に見えない誰かに謝っているな、と日記を書きながらふと思う」

この本で一番共感をもって何度も読み返したのはこの一節かもしれません。

私はよく「何も考えていない」「能天気」みたいな陰口を叩かれます。何か言うと「また馬鹿にする」と文句を言われる。「あなたはいつも他人を下に見ている」と言われることも珍しいことではありません。

しかしながら、壇蜜のように「誰かに謝りながら生きている」ような気がするもの事実。さすがに尊大なだけなら誰も笑顔で話しかけてくれないでしょう。

東京の映画の専門学校に行っていた頃、講師から「おまえには謙虚さが足りない」と言われました。確かにそうかもしれない。しかし、その講師も何だかんだ言いながらも私のブログを更新されるたびに読んでいて、メールで感想をくれたりしていました。ただ謙虚さが足りないだけなら最初から見放されていたでしょう。

しかしそこで「自分には人にはない何かがある」とやや鼻高々になってしまうのが壇蜜のように成功した人との違いなのでしょう。

ずっと前に、吉本の学校でキム兄の特別授業がテレビで放送されていました。

「芸能界で成功するには何が何%必要か、円グラフに書きなさい」というお題が出ました。

「実力50%、性格40%、運10%」と書く人もいれば「実力100%」と書く猛者もいました。

キム兄の答えは、「100%運です」というものでした。しかし次の一言を付け加えて。

「でも、いま『運が100%』と書いた人は絶対に成功できません」

なるほど。運は大事。でも運に頼るのではなく運を引き寄せる努力をせよという至極まっとうな教えでした。

壇蜜はおそらく「自分が成功したのは100%運だ」と自覚しているのでしょう。いや、成功している人はみんなそう思っているのかもしれない。神と仏から学んだからこその感性。

彼我の差をひしひしと感じさせられる一冊でもあったこの『壇蜜日記』の、「へぇー、こんな書き方があるのか」「普通とは違う感覚だな」と感嘆した一節をいくつかご紹介して筆をおきます。

「フリクションボールペンが家出をして一か月たったので、新入りとして家出人と同じ品種のものを迎える」

「チキンカツ弁当を食べ終わったあとでソースの袋を見つける。味付きだと信じていたかった」

「決定事項もコンプライアンスとかいう謎の言葉ひとつでなかったことになるご時世だ。ホボケツなんて言葉は赤い服のプレゼント配り爺さんより存在が怪しい」
 
「何故内腿ばかりを狙うのか。蚊よ、隣にいる制作の女のほうが若いぞ」


最後のなんて、『プレバト!』の俳句コーナー、夏井いつき先生が読んだら喜びそうですよね。俳句じゃないけど。

「内腿ばかりを狙う」のは誰か。痴漢か、はたまたカメラマンか。と思わせておいて「蚊よ」と呼びかける。夏井先生は常に「意外性を求めよ」と言ってますからね。






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