2020年10月28日

『5時に夢中!』エンタメ番付7月場所で紹介されていた、新潮新書の労作『番号は謎』を読んだ。


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『番号は謎』というタイトルが秀逸すぎる。

これが『番号の謎』だったら何てことない。番号にはいろんな謎があるけど、そのすべてを調べ尽くしたのでお教えしましょう! という著者の鼻息の荒さは感じるけれど、「謎が解明されてしまった」という一抹の淋しさも感じる。

しかし実際は『番号は謎』なのである。

助詞がひとつ違うだけじゃないかと笑うなかれ。

「の」が「は」になっただけで、番号にはいろんな謎があり、そのすべては解明されておらず、そして永久に解明されない謎もある、という「永遠の謎」感が漂い始める。助詞ひとつだけで意味も違えば、読む人によっては心に一大浪漫が展開されるのが日本語というものがもつ不思議である。日本語は謎。

さて、ではこの『番号は謎』で展開される「番号に関するトリビア」はいったいどんなものであるか。

私の印象に残ったものだけ挙げると、


①郵便番号トリビア
郵便番号は1964年から始まったという。それまではなかったの⁉ と逆に仰天した。郵便番号なしで仕分けるなんて……それも手作業で……。昔の人の根気に完敗。
全郵便量の3割が東京発着のため、一番読み取りやすい「1」から始まる郵便番号を付したとか。なるほど。首都だからとかそういうことじゃないんだ。

そういえば、1997年に郵便番号が5桁から7桁になったけど、その頃の新聞の経済面に「郵便番号7桁を読み取る機械を東芝が開発、郵政省に納入」と小さく載っていた。行政が何か新しいことを始めるときは、決まって特定の業界や企業を儲けさせてそこに天下りのポストを作るんですよね。(ゴミの分別も同様)7桁なくても届いてたんだし、7桁になってもちゃんと住所書くわけだしね。

話は変わるが、1964年までは郵便番号を書く習慣がなかった日本人でも新しく導入された郵便番号をちゃんと書く人が圧倒的多数派だったとか。それは日本人が真面目だからとかではなく、「赤く囲った」ことで記入しやすくなったということが実情らしい。いまはやりの行動経済学で言うところの「ナッジ」というやつですね。なるほど!


②ナンバープレートのトリビア
車のナンバーの左端に平仮名が一文字だけ書かれているけれど、あれに「お」「し」「へ」「ん」の四文字だけは使われていないとか。
「お」……「あ」と間違えやすいから。
「し」……「死」を連想するから。
「へ」……「屁」を連想するから。
「ん」……発音しづらいから。

なるほど、いろんな理由があるんですね。


③番線トリビア
日本で一番番線の多い駅はどこか。

これは誰でもわかる。東京駅で在来線と新幹線を合わせて23番線まで。総武線や京葉線の地下ホームの番線を合わせると全部で28もあるという。

しかしながら、〇番線の〇の数字が一番大きい駅はどこか。つまり東京駅の23番線よりも大きい数字をもつ駅があるのです。

正解は京都駅。何と34番線が存在するそうな。それでなぜ東京駅より路線の数が少ないかというと、15番線から29番線までの計15番線がすべて「欠番」になっているかららしい。へぇー! これは知らなかった。

京都駅にはもうひとつ謎があって、0番線が存在するのに1番線がないとか。駅を改修した際に1番線の線路をつぶしてホームを広げた関係で線路につけられた番号とホームの番号が合わなくなり「駅の運営上混乱の元になる」という理由からどちらも「0」に合わせたらしい。ふうん。

ここで出てきた「欠番」と「0」についてはすべての番号にまつわるキーワードで、以下にも登場します。


④住所トリビア
皇居の住所が「東京都千代田区1ー1」であることは広く知られている。しかしこれはいわゆる「一丁目一番地」ではなく、千代田区に「丁目」というものが存在しないので正しくは「一番一号」らしい。

それはともかく、東京都のすべての一丁目一番地は、そのブロックで皇居に一番近いところなんだとか。東京の多くの一丁目一番地が超一等地なのに対し、渋谷・新宿・秋葉原の一丁目一番地が街の中心地からはずれているのはそういうことらしい。ふうん。


⑤背番号トリビア
楽天は10番、千葉ロッテは26番を欠番にしている。それぞれ、試合に出場する9人に次ぐ存在、ベンチ入りできる25人に次ぐ存在として「ファン」を大事にしたいとの考えからだそうな。こういう欠番はとても心が温まる。


⑥欠番トリビア
「忌み数」というのがある。日本なら「4」は「死」、「9」は「苦」を連想させるということで忌み嫌われる。実際、104号室や204号室がないアパートやマンションはあるし、キリスト教を信奉する欧米ではキリストが磔にされた13日を忌み嫌って「13」が忌み数として有名。しかし聖書にそのような記述はない。確かに。20年近く前に聖書を通読したけど書いてなかった。忘れていた。ではなぜ「13」が忌み数になったのか。詳細は不明らしい。番号は謎。

一番有力な説は、ヨーロッパでは時間や月日など12進数の文化が浸透していて、1ダースも12個。その次ということで、とても半端で厄介だから不吉と思われたのではないか、ということらしい。ほんとか?

英語で「13恐怖症」を「トリスカイデカフォビア」というらしいが、何とアメリカだけで約2000万人もいるとか。でも15人に1人だからそれほど多くはないかも。

不覚にもまったく知らなかったが、バスケでは2015年まで1番から3番までの背番号は欠番だったらしい。3秒ルールというのがあるでしょ。あれに違反すると主審が指を3本立てるため、背番号3番までの選手を指しているのかどちらかわからなくなるから、ということらしい。

だから『スラムダンク』では各校のキャプテンが背番号4をまとっていたとか。可能な限りで一番若い背番号の選手が主将というのが慣例だったらしい。


⑦0番の謎
背番号でも「0」があったり、映画でも『エピソード0』というのがあったりするけれど、それはつまり「1」を最小としていた頃よりあとで作られたものですよね。「0」から「1」が生まれたのではなく、「1」から「0」が生まれた。アイザック・アシモフが考案したロボット三原則にも「第零法則」なるものがあるらしい。どんな内容かは書いてなかった。(書いてよ)

でも、最初が「0」だった稀なケースがあって、それが紙などのサイズを表すA4やB5。あれは一番大きいサイズがA0、B0というらしい。しかしなぜ「1」からでなく「0」スタートになったのかは書いていない。(書いてよ)

まぁ、それだけやはり「番号は謎」ということなのだろう。

ちなみに日本のゼロ戦。正式名称「零式艦上戦闘機」の「零」というのは正式採用された1940年が皇紀2600年で、最後が「0」だかららしい。なるほど。


いろんなトリビアに満ちた労作『番号は謎』だったが、ちなみに、私の最も好きな数字は何か。





100

1番の「1」、100点、100%を表す完全なる数字「100」、そして、ないのに数字はある、数字はあるけど何もない。色即是空、空即是色的な「0」。

かつて「37」が好きだという友人がいた。「3」と「7」が好きだからと言うので、じゃあ「73」は? 「3377」は? などと追及しまくったらキレられてしばらく口をきいてくれなかった。

マイナンバーのように「国民背番号制には反対!」という声もあれば、サッカーでエースナンバー10番を金で買った選手もいる。

まさに「番号は謎」なのである。


番号は謎(新潮新書)
佐藤健太郎
新潮社
2020-08-19




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