2020年02月29日

妖精と謳われた女子テニス界のアイドル、マリア・シャラポワが引退を表明してもう3日たち、ようやく心の整理がつくようになったので書きます。


最初は見た目から
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そりゃ私も最初は見た目から入った口ですよ。彼女のファンは誰でもそうでしょう。こんなにかわいいとつい肩入れしたくなるというもの。

しかしですね、17歳でウィンブルドンを制した彼女の本当の魅力は美しいとかセクシーとかそういうところにあるのではないのです。


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シャラポワといえば、ショットのたびに雄叫びを上げることで有名です。あの声に乱される選手が続出し「打つときの声を制限すべき」なんてアホな声が出てきたりもしました。

もしシャラポワが声を出すのを制限されていたら、生涯グランドスラムなど成しえなかったでしょう。力いっぱい打つのと雄叫びはセットですから。


メンタルの鬼
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そしてあのメンタル。WOWOWで解説をやっている神尾米さんがシャラポワのファンであることはテニスファンなら誰でも知っているでしょう。いつも彼女に肩入れした解説をしてくれてファンとしてはうれしいかぎりでした。

その神尾さんが常々口に出していたのが「シャラポワのメンタルの強さ」でした。

メンタルの強さこそ彼女の一番の魅力だと言っても誰も信じてくれません。どうせ見た目なんでしょ、という冷たい目で見られます。そりゃ最初は見た目から入ったのだから否定できませんが。

でも、マリア・シャラポワというアスリートの試合を見ていると「気合いだけで逆境を跳ね返す」のが見ていて一番痛快なわけです。


シャラポワのベストゲーム
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そんなマリア・シャラポワのベストゲームは何かと問われたら、みなさんは何と答えますか?

大方のファンは、2006年の全米だったか2008年の全豪だったか、とにかくシャラポワが優勝した大会でのジュスティーヌ・エナンとの死闘を挙げるでしょう。

私もそれに同意するにやぶさかではありませんが、あえて2010年の全仏準々決勝を挙げます。

え、何それ。ぜんぜん憶えてない。

そう言いたい人はたくさんいるでしょう。何しろ、肩の怪我から復帰した最初の大会で、ベスト8まで来たのが精いっぱいだったシャラポワは、この試合、完全なスタミナ切れで0-6、2-6で負けているのですから。

何がそんなに記憶に残るのか。

相手が誰だったか憶えてないんですけど、トレーニング不足で肩で息をしているシャラポワをコテンパンにやっつけました。

で、相手から見れば6-0と第1セットを取り、第2セットも5-0と大きくリードしました。あまりのワンサイドゲームに誰もがシャラポワの敗退を信じたそのとき……!

シャラポワのショットがラインぎりぎりオン・ザ・ラインと判定され、相手選手が徹底的に抗議した。全仏はいまでもチャレンジシステムはありませんから。

もう勝ちは見えているのに執拗に抗議した相手選手にフランスのお客さんはブーイングの嵐。そこからシャラポワが不屈の闘志を見せます。

ほとんど動けない体だけれど、少しでも甘い球だと無駄のないスイングでウィナーを取る。観客はやんややんやの大喝采。そこから2ゲームを連取したとき、私は「もしかしたら大逆転勝ちするかも」と本気で思いました。観客もみんなそれを願いながら「マリア! マリア!」の大合唱。ほんとに奇跡が起きかねない雰囲気でした。

実際はそこでジ・エンドとなったわけですが、マリア・シャラポワというアスリートの「底力」を感じたそのゲームを、私はいままで何度思い出したかしれません。


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もう彼女の雄姿は見れませんが、心からありがとうと言いたい。そして、お疲れさまでした。


マリア・シャラポワ自伝
マリア シャラポワ
文藝春秋
2018-06-29








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