許せない映画シリーズ、久しぶりの第7弾は『タイタニック』。ファンの多い映画ですね。地元の名画座では、もうすぐ権利が切れるとかで最終上映があるそう。何度も見てるファンで埋まるのでしょう。

私も封切ではかなり熱狂的に見た口ですが、何度も見直すうちに釈然としない気持ちになり、それがいつしか「許せない」という気持ちへと変化していきました。


『タイタニック』(1997、アメリカ)
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脚本・監督:ジェームズ・キャメロン
出演:ケイト・ウィンスレット、レオナルド・ディカプリオ、ビリーゼイン、グロリア・スチュアート、ビル・パクストン


この映画ではこの架空の登場人物の悲恋がメインプロットとして描かれるわけですが、その物語はかなり面白いとはいえ、面白いがゆえにたちが悪い。タイタニック沈没というまぎれもない史実を架空の人物の悲恋物語を盛り上げるための「背景」に利用しているだけだと思うからです。


『ベルサイユのばら』
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史実に材を取った物語はあまたありますが、例えば『ベルサイユのばら』なら、マリー・アントワネットなど実在の人物が多数出てくるうえに、世界史上に名高いフランス革命が描かれます。その中心にいるのはオスカルという名の架空の人物。でも、オスカルの物語を盛り上げるためにフランス革命を利用したりしてませんよね? あくまでもオスカルの目を通してフランス革命を描いている。

実在の人物を主人公にして、その人物の目を通して歴史上の大事件を描くのもひとつの手でしょうが、架空の人物の目を通したほうが歴史の実相に迫れる可能性が高いのかもしれない。それはどういう史実をネタにするかで変わってくるのでしょう。

いずれにしても、『ベルサイユのばら』は『タイタニック』とはまったく違います。

同じ意味で↓この映画↓もあまり好きではありません。


『アンストッパブル』
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トニー・スコットの遺作になってしまった『アンストッパブル』。

これは大惨事を防いだ実在の男たちを主軸に据えています。彼らの目を通して事件を描いている。でも、やっぱり釈然としない。大惨事は確かに起こらなかったけれど、起こったかもしれないわけで、その原因を追究する切り口にするならともかく、結果的にハッピーエンドという物語を見世物として語るやり口に「本当にこれでいいのだろうか」とずっと思いながら見ていました。

先日、BSプレミアムで放送されたので再見したら、劇場鑑賞時ほどの釈然としない感じはなかったけれど、やっぱり「本当にこれでいいのだろうか」という思いはいまもつきまとっています。でも「許せない」とまで思わないのは、やはり大惨事が起こらなかったからなのか。


再び『タイタニック』
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『タイタニック』を許せないと思うのは、やはり前述のとおり。
2000人もの人が亡くなった、実際に起こった大惨事を、架空の物語を盛り上げるために利用するというのは倫理的に許されないと考えます。


「許せない映画」シリーズ
①『ダーティハリー2
②『L.A.コンフィデンシャル』
③『グレイテスト・ショーマン』
④『ゴースト・ドッグ』
⑤『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
⑥『ダイ・ハード』
⑧『恋は光』


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