『田中陽造著作集 人外魔境篇』を読みました。
この本は前半と後半があまりに違っていてそこが面白いんですけど、後半の「異能人間」や「犯罪調書」ももちろん面白いんですが、私は前半の映画の話のほうが好きです。
なかでも「石井輝男論」が面白かった。
つい先日、石井監督の『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』を見まして、やや他の猟奇ものに比べて迫力が劣るかなとは思いましたが、やはり面白いことには違いなく、このような題材を扱う(阿部定にインタビューまでしている)人ってどういう人なのか、これまで石井輝男の作品は何本も見てますが、その人となりはまったく知らなかったので、陽造さんの「石井輝男論」を面白く読んだ次第です。
まったく知りませんでしたが、石井輝男はあの成瀬巳喜男の弟子だったそうです。成瀬の名作に『おかあさん』という田中絹代主演の作品がありますが、石井輝男は『続おかあさん』でデビューするはずだったそうです。
驚き! 結局、会社の都合でその企画は中止になり、まったく違うアクションものでデビューを果たすそうですが、もし『続おかあさん』でデビューしていたら石井輝男という映画監督はまったく違う道を行っていただろうと陽造さんならずとも思ってしまいますね。
そして、石井輝男は成瀬のことをめちゃくちゃ尊敬していて、スタッフを少しも叱らない成瀬が、石井輝男にだけはきつく叱ったことがあるらしく、
「成瀬さんが俺にだけ心を開いてくれた」
と、やたらうれしかったとか。
成瀬が死んだとき、撮影を中止にして社葬に駆けつけたらしく、陽造さんが「それじゃあ、あなたは少しも異常じゃなくてまるっきり正常じゃないですか」と問うと、
「そうです。正常じゃなけりゃ異常に興味は向きませんよ」
とサングラスの奥でニヤッと笑んでいたとか。
含蓄に富んだ言葉ですね。
この本は前半と後半があまりに違っていてそこが面白いんですけど、後半の「異能人間」や「犯罪調書」ももちろん面白いんですが、私は前半の映画の話のほうが好きです。
なかでも「石井輝男論」が面白かった。
つい先日、石井監督の『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』を見まして、やや他の猟奇ものに比べて迫力が劣るかなとは思いましたが、やはり面白いことには違いなく、このような題材を扱う(阿部定にインタビューまでしている)人ってどういう人なのか、これまで石井輝男の作品は何本も見てますが、その人となりはまったく知らなかったので、陽造さんの「石井輝男論」を面白く読んだ次第です。
まったく知りませんでしたが、石井輝男はあの成瀬巳喜男の弟子だったそうです。成瀬の名作に『おかあさん』という田中絹代主演の作品がありますが、石井輝男は『続おかあさん』でデビューするはずだったそうです。
驚き! 結局、会社の都合でその企画は中止になり、まったく違うアクションものでデビューを果たすそうですが、もし『続おかあさん』でデビューしていたら石井輝男という映画監督はまったく違う道を行っていただろうと陽造さんならずとも思ってしまいますね。
そして、石井輝男は成瀬のことをめちゃくちゃ尊敬していて、スタッフを少しも叱らない成瀬が、石井輝男にだけはきつく叱ったことがあるらしく、
「成瀬さんが俺にだけ心を開いてくれた」
と、やたらうれしかったとか。
成瀬が死んだとき、撮影を中止にして社葬に駆けつけたらしく、陽造さんが「それじゃあ、あなたは少しも異常じゃなくてまるっきり正常じゃないですか」と問うと、
「そうです。正常じゃなけりゃ異常に興味は向きませんよ」
とサングラスの奥でニヤッと笑んでいたとか。
含蓄に富んだ言葉ですね。
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。