昨日から始まった日テレの連続ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』が素晴らしいロケットスタートを見せてくれました。


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互いを「さん」づけで呼ぶお堅い夫婦というだけでかなり浮世離れしているうえに、夫が仕事のできない男だと結婚してしばらくするまで気づかなかった妻の勘の鈍さはどうなんだ、とツッコミのひとつも入れたくなりますが、しかし、粘菌が大好きで「キノコ博士」というあだ名を付けられて独り山奥でキノコ採集していた男と、そんな男と山奥でばったり出会って感激して思わず抱きついてしまった天然女なのだから、それぐらい普通なのかもしれません。

ミソはやはり、錦戸演じる主人公がただの能無しではないところですね。掃除のおばさんを気遣ってあげたり、転んだ子どもの世話を焼いたり、デザイナーの母親が危篤と知るや「すぐ帰ってあげてください」と言ったりするところなど、人のよさが災いしてるだけ、というところがね。
(ずっと以前働いていた会社でとても尊敬できる人がいたんですが、掃除のおばちゃんに偉そうに怒鳴ってるところを見て、気持ちが萎えたことがあります。これはまた別の話ですが)

「枷は主人公の心のあり方にこそ求めるもの」とは、あの『仁義なき戦い』の脚本を書いた笠原和夫の「骨法十箇条」にある言葉ですが、困っている人に手を差し伸べようとすることが仕事の邪魔をする、というのが大変いいと思います。

いまどき、自分中心というか会社中心にならないと仕事ができない社会ですし、それはやはりおかしいんじゃないか、というのが作者たちの思惑なのでしょう。


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錦戸亮も大変すばらしいんですが(あの情けない顔は彼ならではなものですね)妻役の松岡茉優がこれまた素晴らしい。
いままで彼女を見てかわいいとか色気があるとか思ったことなかったんですけど、昨日は石原さとみに見える瞬間が何度かあり、たまらんかった。

錦戸のお姉さんが江口のりこというのが、これまたいい。何かやらかして彼らを窮地に追い込んでくれそうな匂いがします。期待。

夫の姉と同居するのも平気、というのが松岡茉優のこれまた浮世離れした感じというか、「こんな女いないだろ!」とツッコミたくなる要素ですが、やはりこのような「ありえない夫婦」、つまりファンタジックな存在じゃないと厳しい現実を撃つことはできないということなんでしょうか。

いまはまだ「こんな夫婦いねーだろ」ですけど、そのうち「こんな夫婦がいたらいいな」、いやもっと進んで「自分たちもこんな夫婦になりたい」というふうに展開してくれることを切に望みます。

来週が待ち遠しい!

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②ジェンダー論に切り込んだ第2話
③タフとやさしさ
④主人公を甘やかしてはいけない
⑤堕落していく…
⑥久々のスマッシュヒット!
⑦ジェンダー論のさらなる発展!?
⑧善意で勝利した主人公、そして…




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