新海誠監督の映画はもう金輪際見ないと誓ったはずなのに、超大ヒットと聞いて駆けつけてしまった『君の名は。』。

期待した私がバカでした。金返せと言いたくなるしかない映画でした。(以下ネタバレあります)



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男子高校生と女子高校生の体が入れ替わるというよくある仕掛けですが、これ自体は少しも悪いと思いません。

ただ、単に入れ替わるのは新味がないと思ったのかどうかは知りませんが、この二人は生きている時間が違うんですね。実は女の子のほうが3年前を生きている。

つまり、体が入れ替わるだけでなく、タイムトラベルもしているんです。

これ自体も別に悪いわけではありません。

問題は、その事実に二人とも気づかないことです。

ある日を境に入れ替わりがなくなって、女のことが気になってしょうがない男が、わざわざ東京から飛騨高山まで逢いに行くんです。

ここで驚愕の事実判明!!!

何と、女の子は3年前に彗星群の衝突により死亡していた。そこで初めて違う時間軸を生きていたことがわかるんですが、これっておかしくないですか?

だって3年前/3年後の世界に行くんですよ。ニュース見たりクラスメイトと喋ったりしてたらいくら何でも自分がもともと生きてる時間と違うことに気づきますよね。

それとも入れ替わりは夢の中の出来事だから別にいいってことなんでしょうか? しかし、「知ってもらわないと困る事実」と「知ってもらっては困る事実」とを作者が選別してませんかね? ご都合主義です。

このへんからアホらしくて見る気を失ってしまいましたが、冒頭からすごく気になっていたのが、新宿や代々木の街並みをものすごく正確に再現していることなんですよね。

四ツ谷は一度しか降りたことないからよく知らんのですが、少なくとも新宿西口のヤマダ電機とか山手線の駅ホームの描写とか、ほぼ現実どおり。

でも、あそこまで現実と同じにする必要がどこにあるんでしょう? アニメなんだから架空の「こんな街あったら面白いだろうな」っていう感じのものにしてもいいんじゃないかと。

別に絵が現実と寸分変わらぬ精緻な絵でもかまいません。が、現実らしさ、もっともらしさをもっと内容に向かって追求してほしいんですよね。

あそこまで絵に現実どおりのものを追求するなら、なぜ筋立てにもっと現実らしさを盛り込まないのか、と。

神は細部に宿るという言葉があるのだから、もうちょっとこだわってほしかった。

というのが正直な気持ちです。


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