見てきました、大賛辞でネット上が溢れ返っている『シン・ゴジラ』。

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ほんとにもう大絶賛の嵐で、それもむべなるかな。ここまで「政治」「戦後日本」ときちんと向き合った映画はかなり久しぶりではないでしょうか。

原発とか、日本はアメリカの属国であり、かの国のお墨付きなしには何もできない国だとか、はたしていまのままの憲法でいいのかとか、そのような政治的側面に関しては多くの人が語ってますから私は何も言いません。その通り! と諸手を挙げて賛同するのみです。

新ゴジラの造形も素晴らしく、長いしっぽをどう見せるかにかなり腐心しているところにもしびれました。というようなことも多くの人が語っていることなので、これ以上何も言いません。

私が言いたいのは、「石原さとみのミスキャスト」についてです。


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おいおい、それこそ誰もが語っていることじゃないか。って声が聞こえてきそうですが、「英語がまずい」とか「気負いすぎて空回りしている」とかそういうことじゃありません。もっと「映画の本質」に関わることです。

彼女はアメリカ合衆国特使ということで日本にやってきた人間で、内閣官房副長官を演じる長谷川博己と対等に渡り合う役どころです。

先述したように、大作での大役ということで気負いすぎて空回りしてるし、アメリカ人ということで日本語の合間合間に挟まれる英語をそれらしく発音しようとしすぎててプッと来ちゃうんですよね。

だけど、そういうことははっきり言って些末なこと。

クロースアップやバストショットではただ気負いすぎてるだけで別にガッカリはしない石原さとみでしたが、これがフルショットになった途端ガッカリしちゃうんですね。

それは「身長が低い」から。

どうしても背の高い長谷川博己や他の男たちと並ぶと背が低いので見た目でかなり劣った印象を与えてしまうんです。

これはもう「演技力」などではカバーできません。映画は映っているものがすべて。何人もの男たちと対等に渡り合うという役柄なのに、体格的にどうしても「対等」に見えないんです。いや、対等ではありません。彼女は日本の宗主国アメリカの特使なんですから他のすべての人物より立場が上。なのに、そういうふうに見えないんです。

これはどう見てもミスキャストでしょう。

同じ年頃の女優なら、綾瀬はるかとか長澤まさみならもっと背が高いし、年増でもいいなら、米倉涼子とか藤原紀香とか水野美紀でもよかったのではないでしょうか。歳は違うけど真木よう子も背が高かったはず。長谷川博己の背も高すぎますよね。もっと背が低い男優をキャスティングして、アメリカと日本の力関係を役者の体格差で表現してほしかった。

ゴジラの造形にはあそこまで心血注いでるのに、アメリカの代表という要所のキャスティングになぜ神経を配らなかったのか。

画竜点睛を欠く。残念でなりません。


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シン・ゴジラ
長谷川博己
2017-03-22



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